和室を歩くとき

「畳の縁や敷居を踏んではいけない」

「畳の縁は親の頭」

など、例え方はいろいろですが、

畳の縁=踏んではいけないもの

として、しつけられた人も多いと思います。

家には、畳の縁だけではなく、玄関の引き戸、ふすま、障子など、様々な敷居があります。

昔からこれらを踏んではいけないと言われるのには、幾つかの理由があります。

日本人のマナーとしてぜひ確認しておきましょう。

 

 敷居や畳の縁(へり)を踏んではいけない理由5つ

 

和室の畳に限らず、家の敷居など、

「縁を踏んではいけない」

と言われる理由は一つだけではありません。

 

理由1)家の格式を重んじ権威を象徴するため

 

「敷居をまたぐ」「敷居が高い」という言葉は

「敷居がその家の象徴である」

という考えから来ています。

 

百人一首の絵を見ても分かるように、かつて畳の縁には、その家の家紋をあしらったり、

金糸や銀糸で織られた豪華な模様をちりばめたりして縁を高くし、主人の地位の高さを誇っていました。

 

ですから、『畳の縁を踏む』という行為自体が、その家の主人に対してまたご先祖様に対しても失礼に当たるという考えに繋がっています。

 

理由2)染物の縁(ふち)をすり減らさないため

 

衣服などの「縁(ふち、へり)」とは、現在では一般的にはスカートの裾の折り代部分や、

袖口、シャツの裾、フリルの外縁のことなどを意味します。

 

昔の縁に使われた染物は、植物などの草木染で作られたものもありました。

 

染物の縁を意識せずに踏みつけてしまうと、色が薄くなったり縁が傷んでしまうため、

踏まないようにとの心配りが生まれました。

 

理由3)武士が身を守るため

 

昔は、泥棒(忍びの者)が座の下に忍びこみ、畳の縁や敷居の隙間から漏れる光で相手の所在を確かめ、

タイミングを見はからって刃を刺すこともありました。

 

こうして命を落とすことは武士としては致命的に恥ずかしいことで、

殺されないためにも畳の縁を踏まないようにしたことがマナーとなったといわれています。

 

理由4)空間の様式を崩さないため

 

敷居には世間と家、部屋と廊下などを隔てる結界(境界のこと)の役目があると言われ、

畳の縁には客と主人を区別する結界の意味があると考えられてきました。

 

結界を踏むことは空間様式を崩すことになるため、踏んではいけないとされています。

 

理由5)家を大切にするため

 

「縁」は「へり・ふち・えん」とも呼ばれますね。

 

畳の縁(ふち)は、まわりに、縁(へり)をつけてつなぎ合わせる縁(えん)の役割があります。

 

昔は畳自体がそれほど丈夫ではなかったため、

縁(へり)は隣り合う畳のいぐさ同士が擦れ合い傷んでしまうのを防ぐ役割もあり、

縁(へり)を踏まないことで、敷居を磨り減らし家の建てつけまで歪むことを防止すると考えられました。

 

このことから、その家全体を大切にする心遣いの表れとして、敷居や畳の縁を踏まないようにするのです。

 

和室のマナーで「畳の縁を踏むな」という真意

 

・家の格式を重んじ、権威を象徴
・染物の縁(ふち)をすり減らさないため
・武士が身を守るため
・空間の様式を崩さないため
・家を大切にするため

先ほどお話ししたように、昔から「縁を踏んではいけない」と言われる理由はさまざまありました。

 

ですが、一番の真意としては、家の主人が、住み込みで雇われて家事などに従事する「奉公人」に対して、

「縁を踏んではいけない」=相手を思いやる気持ちを込めた言葉

とも言われています。

 

奉公人(女中)は、主人に食事を運ぶとき、お膳を顔の前に掲げて運ぶため、足元がよく見えません。

 

畳の縁は高くなっていてつまずきやすいので、

『踏むとつまずくから注意して!』

という相手を思いやる意味で、伝えられてきたと言われています。

 

畳は段差に注意!

 

現在では、この理由が一番納得できるかもしれませんが、縁は畳の表面よりも少し分厚くなります。

 

豪華な糸を使った織物の縁は現代の畳より立派で段差があり、つまづいてしまいます。

 

子供に小さいころから親が縁を踏まないように注意することは、

子供が転ばないためでもあり、大切な躾の一つでもありました。

 

茶道の稽古での縁の役割

 

他にも畳縁を踏まない理由はあります。

 

和室では畳の縁の意義を大切に守りつつ、作法が作られています。

 

煎茶道の稽古では1枚の畳を六歩で歩くように指導されます。

 

これも着物姿で美しく振る舞えるようにしながら、縁(へり)を意識して踏まないようにとの心掛けから守られているものです。

 

「縁を踏んではいけない」と言われる理由はたくさんありましたが、

すべては相手を思いやり、モノを大切にする気持ちの表れであり、

それが人と人との心を結ぶご縁(えん)のありがたさに繋がるのですね。

 

畳の上をスリッパで歩くのはNG?

 

自宅に和室がなくても、訪問先などが畳ということもあるかもしれません。

 

他の家に訪問した際には、玄関でスリッパを出されると思います。

 

そのまま案内された先の部屋が和室だった場合、あなたはそのスリッパをどうしますか?

 

もちろん、和室に入る前にスリッパは脱いで揃えておくのが、マナーですね。

 

また、畳の上をスリッパで歩いてしまうと畳が傷みやすくなるので、ご自宅の和室であっても同じです。

 

縁を踏んでいたり素足だったりしたら、それまでの印象がどんなに良かったとしても、

「一般常識が無い人」

と相手の方に評価されてしまいますので注意しましょう!

 


畳の上で素足もマナー違反

 

畳の上で素足になる…自宅であればいいかもしれません。

しかし訪問先や座敷で食事をする際は、相手への心遣いとして

  • 男性なら靴下
  • 女性なら靴下かストッキング

であることが望ましいです。

 

普段、足の裏は、思ったより大量の汗をかいています。

 

素足のままでは、見た目も悪いだけではなく、足からのにおいが漂いやすくなってしまい畳も汚してしまいます。

 

特に夏場は、足元の蒸れを避けるため、サンダルに素足で歩く人も多いと思いますが、

マナーとして外出先で畳に座るときは必ず靴下やストッキングをはきましょう。

 

和室のマナーで畳の縁(へり)を踏んではいけない&素足とスリッパNGの理由まとめ

 

畳や敷居を踏んではいけないとされる理由や背景をご紹介しました。

時代はどんなに変わっても

「ふるまい」
「気遣い」
「マナー」

というのは、他人との関係を円滑にする潤滑剤の役割をしています。

日本人は古くから畳の上で生活をしていたので、その生活の中で独特の考えや躾というのが生まれたと考えられます。

相手を思いやる気持ちや、畳が傷まないようにという気遣いが日本人らしくて素敵ですね。

畳の上を歩くときはちょっと緊張してしまいそうですが、踏んではいけない理由を考えると自然と避けることができそうな気がしませんか?

↓コチラも畳のマナーを紹介しています。ぜひお役立てください

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