シャツ(洋服)ボタンの掛け方の男女の違い!左右逆向きの意味や理由4説!

ボタン

 

 

男女のボタンの掛け違いは、永遠に埋まらない…

しばしば、男女の価値観や、人間関係による意見の食い違いの比喩表現で使われる

「男女でボタンは掛け違う」

というのは、面白いことに物理的にも違いがあるんです!

ボタン付きのスーツやポロシャツ・レディースシャツ、ブレザー、スーツなど、

あらゆる”洋服”は男性用と女性用で、

“ボタンの掛け方が左右逆という違いがある“

というのは、意外とご存知ない方も多いのではないでしょうか。

男女のボタンの左右の違い、そのルーツや理由は一体なんなのでしょう。

 

シャツ(洋服)ボタンの掛け方は男女で違う

 

男性用のシャツと女性用シャツで違いを比べると決定的な違いが1つあります。

男性用のシャツ

(画像は【Face Mix(フェイスミックス)メンズニット長袖シャツ】)

男性の洋服は、前ボタンについています。

 

女性用のシャツ

(画像はレディース ノーアイロン シャツ・ブラウス 

女性の洋服は、前ボタンについています。

 

世界共通・老若男女問わず、今でも多くの人は「右利き」という事実があるのに、

男性用はボタンが自分からみて右側、

左手(利き手と反対)でボタンホールを固定して、右手でボタンを動かす
という一連の動作で、つまり

右利きの男性が、最もボタンを留めやすいようにデザインされています。

ボタン

 

 

 

 

男性のデザインに対して、女性用は逆

 

男女とも大多数の人が右利きだから、女性のシャツも男性と同じ「右側」にすればいいのに、

なぜ女性の方は、わざわざ逆のデザインになっているのでしょうか。

 

実はこれにはいくつか「諸説あり」。

 

ざっと挙げただけでも…

【女性】「すぐに授乳ができるように左側にボタンを付けた」説
【女性】「馬に乗ったときに服がはだけないように」説
【女性】「昔の貴族の女性は服を召使いに着せてもらっていたから」説
【男性】「戦いのときに、剣を抜き銃を取り出しやすくするため」説
【男性】「昔の貴族の男性は一人で服を着ていたから」説

ということで、いくつか有力説を見ていきましょう。

 

説1)[女性は左前]すぐ授乳ができるようにするため

 

子供の授乳時に、ほとんどの母親は左手で赤ちゃんを抱き、

利き手である右手をフリーの状態にします。

ボタン

ですから、泣いている子供にすぐ授乳が出来るように、

右手でスムーズにシャツをはだけるようにするためとされています。

“自分でボタンを留める動作“よりも、

“自分でボタンを素早く外す動作“に重点をおいた結果

ということですね。

 

説2)[女性は左前]馬に横乗りだったから

 

今でも人が馬に騎乗するときは、

鞍(くら)=サドルステッチ(Saddle stich)
といって、丈夫な皮で縫い合わせ、お尻の下に敷いて足を引っかける部分が一体となった、

専用の馬具

を使います。

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引用:wikipedia 乗馬用の鞍

 

その昔、ロングスカートを履いた女性の多くは、男性のように

『馬にまたいで乗る』

のではなく、

『馬に横向きに座って、頭を進行方向に向けて乗る』

というスタイルがあり、横乗り専用の鞍(くら)のことを、

サイドサドル(Sidesaddle)

と言いました。

 

右利きの女性が、サイドサドルで馬に乗ると体の右側が前方を向いています。

前から吹く風がなるべく服に入り込まないように、

風の抵抗を受けにくくするため

ボタンを左側につけた

という説です。

 

説3)[男性は右前]軍服が由来

 

男性用の服は、軍服に由来していることも多いとされています。

右手で胸のあたりに忍ばせた武器をサッとすぐに取り出せるように、男性の服は右にボタンがつけられた

という説。

 

説4)中世の欧州貴族が起源?

 

最後の説が、一番有力と言われています。

 

今も“ファッションの都“と言えば、パリ・ロンドン・ミラノ、

気品と風格の高い有名ブランドというとシャネル・グッチ・プラダなど、

ヨーロッパが、世界のファッションの流行最先端であることは今も昔も変わりませんね。

 

ボタンをつけた洋服が最初に誕生したのも、13世紀頃の中世ヨーロッパと言われていて、

ボタンの位置も、当時の欧州貴族の洋服と深い関係があります。

 

昔の[衣服]ってどんなデザイン?

 

それまで古代の男女服と言えば、共に“一枚の布“を体に巻きつけるだけだったり、

穴を開けてかぶったりするのが「衣服」だったので、

デザインは皆同じようなもので、衣服自体に男女や身分の差もほとんど見られませんでした。

ボタン

引用:Wikipedia-ギリシャ文明時代の衣服-

 

しかし、ヨーロッパでは11世紀過ぎ頃からだんだんと、

上流階級の男女の衣服に、違いがあらわれ始めます。

 

ボタン=高級な装飾品の一部

ボタン ボタン

 

当時、縫製に手間と時間がかかるボタンがついているような、

高級な服を着ることができたのは上流階級の貴族のみ。

 

上流階級の女性の服は、絵画や映画などでもよく描かれているように、華やかで裁縫が複雑。

 

ボタンは装飾品として、洋服のあちらこちらに取り付けられていて、

フロントボタンだけで何十個も付いているものもあり、自分で着るのは手間と時間がかかっていました。

 

男性は自分で洋服を着ていましたが、

裕福な女性たちは自分で服を着ず、使用人(召使い)に服を着せてもらうのが一般的な習慣。

対面から相手が留めやすいように、女性服はボタンが左側に付けられた

という説です。

 

ボタンの男物は右、女物は左はいつから定着?

 

誰しも必ず持っている洋服ですが、

「ボタン付きの洋服」

が世界で初めて誕生したのは13世紀ごろの中世ヨーロッパが最初と言われています。

 

ただ、現代のように「ボタンは男物は右、女物は左」と世界的に定着したのは、もっと後になってから。

 

実は、18世紀ころに描かれたナポレオン(1769~1821年)の肖像画を見ると、

右側にボタンが付いてるのもあれば、左側についてるものもあるそうです。

 

現在のように男女のボタン位置ははっきりと違うと明記されているのは、

諸説ありますが、1892年創刊の米大手ファッション雑誌「VOGUEヴォーグ」で完全に定着したとされています。

 

男女兼用(ユニセックス)シャツのボタン位置は?

 

現在は、ファッションもずいぶん多様化し、男女兼用のシャツも販売されるようになりました。

 

ふと気になりましたが、男女兼用(ユニセックス)のシャツは、右前・左前のどちらなのでしょう?

 

調べてみたところ、一般的にどのメーカーも、

ボタンの位置は右(男性仕様)で統一されているようです。

 

▼ミズノの男女兼用スポーツ用ポロシャツ、ボタンの位置は右(男性仕様)ですね

 

 

こちらの女性がモデルになった作業服も、ボタンの位置は右(男性仕様)

 

今は、男性用女性用と明確に分けず、

体形が大きめの女性は、メンズシャツを着る人もいますし、

逆に小柄で華奢な男性の中には、レディース用のシャツを着用する人もいるようですよ。

 

現在は、

「そもそも人のシャツのボタンの位置なんていちいち気にしてない」

と言う意見も多いですし、男性用女性用とこだわるよりも、

自分好みのファッションに、どんなものでも自分らしく着こなせる人のほうがオシャレですよね。

 

ボタンは今も昔も特別なモノ

 

同じような形や素材の洋服でも、ボタン在り・無しの2つを比べると、

ボタンが一つでもある方は

“なんとなく背筋がシャキッとして1ランクアップした服“

と感じるのは不思議ですよね。

ボタン 男女

 

ボタンホールが無くても『飾りボタン』として、

装飾目的のみで留めてあるシャツもあります。

 

和服は男女とも[右前で着付け]

ボタン

そういえば、和服(和装)はどっちだったかな?とついでに調べてみました。

 

和服は、男女でどちらを前にするかに違いは無く、男女どちらも「右前」にて着ています。

 

これは西洋とは違って、

日本は男女どちらも自分で服を着ていたため。

やはり右利きの人が、右手で懐に入った物を出しやすくしたため。

とされています。

 

 

現在では「左前の着付け」は

『死装束(しにしょうぞく)』

として、死人を生き返らせてはいけないという意味から、

着物を左前にして着せるのが慣習として残っています。

 

ボタンの言葉の起源

ボタン

「ボタン(釦)」の言葉の起源は、諸説ありますが、

現在のヨーロッパ・イベリア半島に位置するポルトガルの言語

『botão』

が起源というのが最も有力説と言われています。

 

 

[西洋人]が初めて日本に来たのはいつ?

 

西洋文化が初めて日本に入ってきたのは、1543年に鉄砲を持ったポルトガル人が種子島に漂着した時で、

“この時が日本に鉄砲が伝来した瞬間だった!“

という日本史の授業で習った遠い記憶…。

 

それから約100年間、三代将軍・徳川家光が1639年にポルトガル人の来航禁止令を出すまで、

宗教や貿易を通じて、日本国はポルトガルからさまざまな文化を受け取ったとされています。

 

ポルトガル語が由来と言われている日本語

 

『言葉』もそのひとつ。

 

今は日本語のように漢字を当てて普通に使っている言葉も、

多くはポルトガル語から由来していると言われています。

ボタン(botà) ・ 煙草(tobaco) ・パン(pào) ・ コップ(copo) ・ 煙草(tobaco) ・ オルガン(orgào) ・  ビスケット(biscoito) ・ ブランコ ( balanço) ・ カボチャ(Camboja)・かるた (carta)・カステラ  (castella)…

と調べてみると、びっくり!

出てくる出てくるポルトガル!

まだまだあります。

これらは、今でも両国の生活の中でよく使われている言葉です。

 

ベッドとベット-

ベットかベッドの違いと正しいのはどっち?英語スペルBedの意味も!

2020年6月2日

ボタンの日は11月22日

ボタン

ところで皆さんは、毎年11月22日は何の日かご存知ですか?

 

そう!いい夫婦(1122)の日、日本語の語呂合わせですが、1988年に制定されたそうです。

 

 

わざわざこの日を結婚記念日にするカップルも多く、今ではすっかり馴染みがあります。

 

しかし!

 

11月22日はそれだけではありません。

 

実は『ボタンの日』でもあるんですよ。

 

11月22日は良い夫婦の日&ボタンの日!

 

『ボタンの日』は1870年11月22日に国産のボタンが海軍の制服に採用されたことを記念して、

いい夫婦の日よりも以前の、1987年に制定されました。

ボタン

 

女子学生にとって男子の『第二ボタン』といえば特別なもの。

 

男子の制服のなかでも、その人の心臓に一番近いことから、

卒業式のときに好きな女の子に渡したり、憧れの先輩のボタンをもらったり…

なんだかほろ苦い青春時代を思い出します!

←昭和50年代生まれの筆者の頭の中。今の若い世代はどうなんでしょう笑

 

シャツ(洋服)ボタンの掛け方の男女の違い!左右逆なのはなぜ?まとめ

 

ボタン一つ・和装の着方一つ取り上げてみても、

そこにはいろんな時代の背景や、文化が隠されていて興味深いものがあります。

いろいろ偶然が重なっているかもしれませんが、

『ボタンと男女の関係』

も考えてみるとなかなかロマンチック!

今は服を自分で着るというのは当たり前ですが、ボタンが初めてこの世に誕生したときは、

洋服の装飾品としての役割が大きく、

欧州の貴婦人たちはていねいに着替えさせてもらっていたのかな~と想像してみると、

ちょっとだけマリーアントワネット王妃の気分に。

洋服におけるボタンの存在って、改めて奥深くて不思議だなぁと思いました。

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