就活やビジネスメールにで「ご縁がありましたら~」という文がよく使われます。
「ご縁がありましたら」の「ご縁」は「機会・チャンス・相手との縁」などと同じ意味の敬語で、
- 未来の関わりに期待するとき
- 辞退(お断り)するとき
など、相手も自分も、さまざまな場面で使うことの出来る便利な言葉です。
敬語「ご縁がありましたら~」は、ビジネス面でどのような意味を持っているのでしょう。
万能に使える「ご縁がありましたら」ですが、場合によっては相手に不快な思いをされるケースも!?
今回は、正しい「ご縁がありましたら」の意味について解説します。
ご縁がありましたら【就活・面接・採用編】
「ご縁がありましたら」は、就活、面接の採用などのシーンでは
- (企業が)不採用を知らせる
- 内定辞退を伝えたいとき
- 不採用などの返事として
の使い方があります。
1.不採用を知らせる
1つ目の使い方は、企業側がメールや手紙で不採用を知らせる時です。
採用結果が”不合格”だったとしても、子会社や別支店、取引先などの採用試験を受けて合格し、
その企業と”ご縁”をもつ可能性もあります。
「あなたはNGでした、ごめんなさい」の意を柔らか~く表現するために、
「ご縁がありましたら…」と伝えることで、不合格となった相手を労わることができるのですね。
2.内定辞退を伝えたいとき
2つ目の使い方は、あなたが内定辞退を伝えたい時です。
就活でせっかく内定をもらったのに、何の連絡をせずに他の会社へ就職するのは失礼ですよね。
今後、内定辞退した会社が取引先になる可能性もありますし、
どんな良い”ご縁”に繋がるかは誰にも分かりません。
内定辞退の連絡に「ご縁がありましたら」と添えることで、
相手の会社を否定しているわけではなく、
「採用していただいてありがとうございました」という意思を伝えることもできます。
3.不採用の返事として
3つ目の使い方は、不採用や採用辞退をされた企業への返事としてです。
不採用の通知や採用辞退の連絡を受けた時に、
「かしこまりました。お時間いだだきありがとうございました。
またご縁がありましたらよろしくお願いいたします。」
と添えて返信します。
不採用というネガティブな結果でも、キチンと余裕を持った丁寧な対応をすることで、
相手に対して良い印象を残すことができます。
ご縁がありましたら【退職編】の注意点
退職時の挨拶に「ご縁がありましたら」を使うことについては、
ネットで下記のような興味深い書き込みがありました▼
退職の挨拶に「またご縁がありましたらよろしくお願いします」は印象が悪いのでしょうか?
先日パート退職された方が挨拶をされたのですが、後で「また来るなら辞めなければいいのに」と悪口を言われていました。
「ご縁がありましたら」=相手に不快な思いをさせないための敬語なのに、
これでは本末転倒、何が問題だったのでしょうか。
結論として、退職の挨拶に「ご縁がありましたら」を使うのは、
- 辞める人の役職や勤務態度
- 退職理由
- 社内の雰囲気
によっても答えが違ってくると思うので、一概には言えませんが、
使うときにはやや注意が必要だと思います。
何が違和感?退職挨拶に「ご縁がありましたら」を使うデメリット
今は、一度退職しても、再雇用・再就職されて本当に”ご縁がある”ケースもありますが
共通して言えることは、退職の挨拶に「ご縁がありましたら」を使うことは、
(退職する人が)今後の”ご縁”を期待している、ということ。
そして、この場合の”ご縁”は、会社の場合と、その職場で働いている人たちとの、どちらにも受け取ることができます。
「辞めるけどこの職場が嫌で辞める訳じゃない」
「辞めても皆さんとの縁が完全に切れるわけではありません」
という、
今までの関係性に感謝を残しつつ、退職するというニュアンスを伝えることができます。
一見、何の問題も無いように思えますが、
受け取る側によっては、その職場の人間関係が殺伐としていたり、
退職する人がパート勤務で、あまり交流が無い人だったとしたら…?
「なんで“またご縁がありましたらよろしく”なんだろう?変わった人だな」
と、捉える人もいるかもしれませんね。
冒頭のパート勤務の方の挨拶だと、
「大変お世話になりありがとうございました」
「素敵な会社に勤められて良かったです!」
というような言い方が良かったかもしれませんね。
筆者個人的には、退職の挨拶に「ご縁がありましたら」=社交辞令と聞き流す派ですが
受取るニュアンスは人それぞれなんですね!
ご縁がありましたら【仕事・ビジネスメール例文】
「ご縁がありましたら」はさまざまなビジネスシーンで使えます。
具体的なメール例文を紹介しましょう。
商談・打合せ
1つ目の例文は、商談のビジネスメールです。
プレゼン内容や商品の良さだけで、商談が良い結果になるとは限りません。
会社としての担当者の人柄やビジネスマナーなども、商談結果に影響します。
「ご縁がありましたら」をビジネスメールで使うことで、丁寧で謙虚な姿勢を伝えることができます。
商談を断る際の例文
「先日は、新商品のご提案いただきありがとうございました。社内で検討させていただいた結果、大変恐縮ではございますが、今回のご提案は見送らせて頂くこととなりました。またご縁がありましたら、よろしくお願い致します。」
商談が成立した後の例文
「この度は、〇〇をご契約頂きありがとうございました。××様のご要望に沿った商品を引き続き提案して参りたいと思いますので、ご縁がありましたら、またよろしくお願い致します。」
就活中のやり取り
就活中のビジネスメールでも「ご縁がありましたら」は大活躍。
不合格や内定辞退というネガティブな報告だからこそ、
採用側(会社)、就活側ともに、相手を敬い思いやる気持ちを持つことが大切です。
「またご縁がありましたら」と添えることで、
事後に快い気持ちを残すことができます。
就活側
「先日はお忙しいところお時間いただきありがとうございました。至らなかった点を反省し、今後の就職活動に活かして参ります。またご縁がありましたら、よろしくお願いします。」
採用側(会社)
「先日は弊社の採用面接にお越し頂き、ありがとうございました。選考の結果、誠に残念ではございますが、今回は採用を見送らせていただくこととなりました。またご縁がありましたら、よろしくお願い致します。」
ご縁がありましたら【言い換え&類語】
「ご縁がありましたら」という敬語は次のように言い換えて表現することもできます。
- 機会がありましたら
- チャンスがありましたら
- その折は(その際は)
- また何かの折には
1.機会がありましたら
1つ目の言い換えは、
「機会がありましたら」
です。
何か良いきっかけで、またご一緒できたら…という期待を込めて使います。
商談を再度設けたい時や、良い時期を見定めたい時などにおすすめです。
2.チャンスがありましたら
2つ目の言い換え表現は
「チャンスがありましたら」
です。
「機会」という単語を英語chanceと言い換えただけなので、「機会がありましたら」とほぼ同義です。
ただ、カタカナ表現になるため、面接の不採用通知や取引先などにはあまり使わないほうが良いでしょう。
社内でプレゼンをした後や、上司に仕事上のアピールをもう一押ししたい時に、ぴったりの表現ですね。
3.その折には(その際は)
「その折は」「その際は」
は、未来の機会や時期に対して使用します。
「その折(その際)はよろしくお願いします」
という言葉には、
「そのような機会があった場合にはよろしくお願いします」
と言うニュアンスで使われます。
4.また何かの折には
最後の言い換え表現は、
「また何かの折には」
です。
「また」は、他にも同じことが起こることを期待する言葉。
「何か」は、はっきりしない未来のことを表します。
「折」は、ある時点、機会のこと。
また別の機会にもヨロシク、ご贔屓にしてください、また別のときにも関係を持ちましょう、といったニュアンスです。
良いタイミングがあればという、気持ちを込めて使う敬語表現で、
「また何かの折には、どうぞよろしくお願い致します」
「また何かの折にはサポートさせて頂きたいと思いますので、いつでもお声掛けください」
などの使い方をします。
「ご縁がありましたら」使い方や言い換え例文まとめ!
「ご縁がありましたら」を使った敬語表現や言い換えを紹介しました。
ビジネスメールでは「よろしくお願いします」とともに使うと相手に
丁寧な印象を残すことができるとても便利なフレーズです。
ぜひ上手に活用をして、仕事仲間や取引先の方とも気持ちよく仕事をしていきましょう!
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「ご自愛ください」「ご多忙とは存じますが」も便利なフレーズなので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
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