モツ鍋、キムチ鍋、ちゃんこ鍋、みぞれ鍋など、日本にはおいしい鍋料理が沢山ありますよね!
そして、冬の鍋料理と言えば牡丹鍋。
牡丹鍋とは猪のお肉が使われた鍋料理のことです。
「ぼたん」といえば牡丹の花が思い浮かびますが、なぜそれが猪の肉につながるのでしょうか。
今回は牡丹鍋の由来や語源、そして猪肉の別名なども探っていきたいと思います。
猪肉の読み方や別名は?
「猪肉」と書いて、一般的な読み方は「ししにく」。
ですが、他にも「いのししにく」「ちょにく」とも読みます。
そして「猪肉」は、別名「牡丹肉」とも呼ばれますが、なぜボタンなんでしょう。
猪肉=ぼたんの由来や語源
猪肉と花の牡丹(ぼたん)、なかなか結び付きづらいですよね。
ほかにも
など、日本には「植物の名前を使った鍋」がいくつかあり、風情を感じる素敵な名前ですよね。
説1)隠語説
猪肉は、「ぼたん肉」という別名の他
「山鯨(やまくじら)」
という別称もあります。
これは、獣肉食を避けた名残で猪肉の「隠語」として使われていた言葉です。
猪肉は、江戸時代頃に、宗教上の理由等から食べることをタブー視されていた歴史があり、
役人に目を付けられたり、罰せられたりすることを恐れて、植物の名前で呼んでいたとされる説。
説2)牡丹鍋がぼたんの花のようだから
猪肉をつかったお鍋を「牡丹鍋」と言われる理由。
それは
「生の猪肉をお皿に盛りつけると牡丹の花のような色どりに見えるから説」
「煮込むとちぢれた紫紅色の脂肉になるのが牡丹の花のようである説」
などがあります。
説3)花札の絵柄説
花札(はなふだ)は、日本のかるたの一種であり「花かるた」とも呼ばれています。
花札の6月の役札には、牡丹の花に猪が描かれています。
この絵柄から「猪=牡丹」のイメージが付いて、猪鍋を牡丹鍋と呼ぶようになった説。
ただこの花札由来説は信憑性が低く、俗説の可能背が濃いですね。
説4)「獅子に牡丹」説
「獅子に牡丹」という言葉があります。
これは、堂々とした獅子の姿に、華麗な牡丹の花を配した図柄で、「取り合わせのよいもの」のたとえ。
近世に流行した取り合わせの良いものを意味する成句から、獅子を縁語として猪に置き換えた説です。
牡丹鍋について
猪肉を「ぼたん」と言われる由来はさまざま諸説ありましたが、
説1)でお話しした、お肉の「隠語」として使われたという説が一番有力です。
そして、猪肉と言えばぼたん鍋!
お皿に牡丹の花のように並べられた猪肉はとってもきれいですね。
牡丹鍋の歴史は古く、明治時代にまでさかのぼります。
牡丹鍋とは猪の肉を白菜、ごぼう、人参、茸などの野菜などを、醤油や味噌で煮込んだ鍋料理で、
兵庫県丹波篠山地方の冬を代表する郷土料理です。
猪肉の獲れる地域
日本の猪肉の主な産地としては
- 栃木県那珂川町
- 群馬県中之条町
- 三重県大台町
- 兵庫県丹波篠山市
- 島根県美郷町
- 広島県呉市
- 長崎県佐世保市
- 沖縄県竹富町
など、猪の獲れる地域は全国的に数多くあります。
牡丹鍋がグルメとして盛んなのは、静岡県の伊豆、岐阜県の群上と兵庫県の丹波篠山が名産地。
丹波篠山地方では毎年11月中旬になると猪猟が解禁され、翌年2月中旬まで猟が行われ、
すぐに地元の料理店や旅館に卸され、天然で新鮮な猪鍋料理が提供されています。
「デカンショ節」と「阿波踊り」
「ぼたん鍋」は、兵庫県の篠山の盆踊り民謡の「デカンショ節」に、猪は徳島県の「阿波踊り」にも登場しています。
♪雪がチラチラ丹波の宿にししが飛び込むぼたん鍋”
“♪ささやまとおれば笹ばかり、イノシシ豆喰てホイホイ”
とそれぞれ歌われています。
徳島県の「阿波踊り」に、なぜ兵庫県・篠山の猪が登場するかというと、
昔徳島を統治していた蜂須賀(はちすか)という日本の氏族が関係しています。
蜂須賀氏は分家が徳島を統治していて、宗家は篠山藩の家老を勤めており、
徳島の分家が篠山の地を思って歌ったのではないかという説が残っているからです。
猪肉の栄養の特徴
猪肉は栄養価が高く、カロリー控えめな理想的なお肉。
イノシシ肉を他のお肉と比較すると、
- 水分、ミネラル、タンパク質は猪肉の方が豚肉より豊富
- ビタミンB2は豚肉の2倍以上
- カロリーは牛肉・豚肉よりも低い
という特徴があるのは驚きです。
猪肉が「ぼたん」の語源や由来・読み方は?牡丹鍋の名産地は篠山?まとめ
牡丹鍋は兵庫県の丹波篠山に代表される猪肉を使った代表的な郷土料理です。
「山鯨(やまくじら)」という隠語の別名もある猪肉。
猪肉が「牡丹」と言われる由来は同じく『隠語』説が有力ですが、
盛り付けた猪肉は牡丹の花のように美しいなどの他の説もあり、
牡丹鍋の深い歴史や、牡丹鍋を愛する人の気持ちも民謡から感じられます。
栄養価も高い牡丹鍋、近いうちにあなたも食べに行ってみてはいかがでしょうか。
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