「こないだ」という言葉は、ビジネスシーンで正しい日本語なのか？方言なのか？
気になったことのある人も多いのではないでしょうか。
「このあいだ」という意味を表す「こないだ」という言葉ですが、
じつは方言のひとつで、全国方言辞典のなかにも「こないだ」はちゃんと含まれているんです！
「こないだ」はどこの地域の方言？
方言「こないだ」は、もともと
- 茨城県多賀郡
- 山梨県
- 静岡県
- 佐渡
など、茨城県～中部地方で発祥した方言とされています。
ただ、じっさいは、文献によって諸説あり、
三松堂大辞林では
- 「甲州弁」
- 「大阪弁」
- 「和歌山弁」
- 「鳥取弁」
との記載もあります。
ネットの声では、
北海道、東北地方、岐阜県、愛知県なども「こないだ」という言葉を日常で使う声は多く、
「こないだ」という言葉は『方言』と言われているものの、
実際に使われている地域は多岐にわたります。
そのため、実態としては方言というよりもむしろ
「こないだ」＝日本全国で使われている言葉
と言って良いでしょう。
「こないだ」と「このあいだ」の意味の違いは？
そもそも「こないだ」は「このあいだ」を縮めた言葉と言われているため、
この２つに意味の違いはありません。
どちらも、
「以前」「少し前に」「ちょっと前に」
という意味です。
こないだ＝このあいだの省略形
話し言葉の「このあいだ」、書き言葉の「このあいだ」
「こないだ」は全国的に使われている言葉ですが、
やはりビジネスシーンなどで相手が言ったり、書き言葉で表すと
一瞬「ん？」と違和感を感じる人も多いのではないでしょうか。
というのも、「こないだ」は話し言葉として用いられることがほとんど。
口頭で「このあいだ」というのは、面倒だし発音しにくい！と感じるため、
簡略化した表現として生まれたのが「こないだ」だというワケですね。
いっぽう「このあいだ」は書き言葉として用いられることが多く
書き言葉として「以前」「少し前」を表す表現の代わりに
「このあいだ」とする人がほとんどなのではないでしょうか。
ふだんは「こないだは…」と話してる人も、
文章で文字に起こす際は「このあいだ」という表現を選ぶ人がほとんどだと思います。
（もちろん、友人や家族など、親しい間柄だった場合は別ですが）
おそらく、これはどの地域の人も書き言葉では「このあいだ」の方が適切と感じている人が多いはず。
書き言葉と話し言葉で無意識のうちにコトバを変えるのは、面白い発見ですね。
「こないだ」は「このあいだ」を簡略化した言葉
「こないだ」は、書き言葉としては用いないのが一般的
「こないだ」言い換え表現5選
「こないだ」の丁寧語や敬語を含む、言い換え表現をいくつかご紹介します。
- 先日
- 先般
- 過日
- 以前
- この前
- ちょっと前
- 少し前
- 近頃
- むかし
- かつて
「こないだ」はあくまで話し言葉、文章を書くときやフォーマルな場では言い換え表現を用いるのが無難ですヨ
方言についての面白書籍3選
「こないだ」にも言及されている、全国の方言についてまとめられている有名書籍を紹介します♪
都道府県別・全国方言辞典
各地の方言を都道府県別に詳しく解説。総項目数は約3800。
各地の話者による方言例文の音声ＣＤで、発音・アクセントなどを正確に確認できますよ。
方言の日本地図
方言の日本地図ーことばの旅 （講談社＋α新書） [ 真田 信治 ]
日本語の原点とも言われる方言を、75種類もの地図で方言をやさしく解説。
日本に古くから伝わる方言を大切にしているこの本で学んでみてください。
方言について興味がある人ならぜひ！
誤解されやすい方言小辞典
東京のきつねが大阪でたぬきにばける 誤解されやすい方言小辞典 [ 篠崎 晃一 ]
共通語と同じ語形ながら実は地域独特の意味がある181語を五十音順に掲載。
校方言や交通安全・防犯対策で活躍する方言など、テーマ別のコラムも必見です。
「こないだ」は間違い？「この間」との意味の違いまとめ
「こないだ」は、もともと方言と言われていますが、
実際は全国各地で使われている言葉です。
ただ、「こないだ」はあくまで「このあいだ」を簡略化したコトバのため、
フォーマルな相手との話し言葉・書き言葉には、注意が必要になることもあるでしょう。
「こないだ」は、話し言葉としてはとても便利なので、
ぜひ日常生活に取り入れてみてくださいね。
