食べた瞬間、じゅわわぁ~っと出る肉汁…!唐揚げが嫌いな人っていないと思います。
ただ、一般的な鶏もも肉の唐揚げのカロリーは、1個(25g)で50kcalもあるので食べ過ぎには要注意!
いっぽう『竜田揚げ』は唐揚げとはまた違った味と食感で美味しく、
北海道のほうでは『ザンギ』というよく似た食べ物もあり、
『とり天』という“鶏のから揚げ“も、丸亀製麺にはあります。
似たような名前のオイシイ揚げ物たち、
- 食材
- 使う衣
- 下味
- 発祥地や由来
などの視点から違いをハッキリさせましょう!
揚げ物の違いや見分け方
唐揚げ・竜田揚げ・ザンギ・とり天・フライドチキン、
これら全ての共通点といえば
「素材に衣をつけて油でカラッと揚げている」
という調理法。
しかし、細かい違いを考えると
- 素材(野菜・肉・魚介など)
- 衣(片栗粉・小麦粉・卵など)
- 下味(ニンニク・醤油・酒など)
- 発祥地や由来
これら4つの微妙な違いによって、違う料理として呼び方が分かれています。
レシピや材料の違いだけでなく、地域や文化によっては似たようなものでも呼び名が違うこともあります。
まずは、一番間違いやすい「唐揚げ」と「竜田揚げ」の違いから、はっきりさせましょう!
唐揚げ・竜田揚げの違い
まずは唐揚げ・竜田揚げの違いから。
一言で言うと、
唐揚げは素材も粉も割と自由ですが、竜田揚げは調味料も粉も決まっています。
唐揚げ | 竜田揚げ | |
食材 | 肉・魚介・野菜何でもOK | 肉・魚 |
衣 | 片栗粉・小麦粉などを薄くまぶす | 片栗粉 |
下味 | 醤油・みりん・酒・ニンニク何でもOK | 醤油・みりん・酒 |
発祥地・由来 | 中国(唐) | 奈良県竜田川 |
唐揚げとは
“日本唐揚協会”の定義によると
唐揚げ(から揚げ、空揚げ)とは、食材に小麦粉や片栗粉などを薄くまぶして油で揚げたもの。魚の唐揚げも、野菜の唐揚げも、鶏以外の肉の唐揚げもすべて唐揚げです。
つまり、
唐揚げ=鶏のから揚げに限定されない
ということなので、たとえばタコの唐揚げも「唐揚げ」となります。
また、名前の由来は「唐」がつく名前からも分かるように、唐揚げの起源は中国料理。
江戸時代初期に伝わった精進料理にはすでに「唐揚」という名前があり、当時の「唐揚げ」は豆腐を小さく切ったものを揚げて味付けをして煮たものだったそう。
今でいう一口サイズの揚げ出し豆腐のようなものでしょうか。
竜田揚げとは
竜田揚げの定義も確認してみましょう。
醤油とみりん、もしくは酒が、竜田揚げを作るためのつけダレとなります
-日本唐揚協会-
醤油で下味をつけた肉や魚に片栗粉をつけて油で揚げた料理。醤油による肉の赤い色と衣の白い色の混ざった様子を、紅葉の名所である奈良県の竜田川の白い波に浮かぶ紅葉に見立てたもの。-コトバンク-
竜田揚げは、素材に野菜は使わず、魚や肉をしょうゆベースのたれに漬け込み片栗粉をまぶして油で揚げた料理。
片栗粉を使うことで、小麦粉よりも厚い衣でより一層カラッとなり、下味が逃げにくくなるのです。
また、竜田揚げの語源は、百人一首も詠まれている紅葉の名所・奈良県竜田川。
竜田揚げというと、なんとなく“濃い色の甘辛いから揚げ”というイメージがありましたが、
それは「醤油」やみりんに漬け込んでいるからなんですね。
その色が、紅葉の色にも似ていたことから「竜田揚げ」の名がついたそうです。
唐揚げと竜田揚げの違いがクリアになったので、つぎは「ザンギ」を見てみましょう。
唐揚げ・ザンギの違い
ザンギ | |
食材 | 鶏以外の肉(豚・羊・鹿)や魚介(タコ・イカ)もOK |
衣 | 片栗粉か小麦粉、または両方・卵 |
下味 | 醤油・生姜・ニンニクなど |
発祥地・由来 | 北海道・釧路地方 |
ザンギは、北海道の郷土料理の一つで、北海道では唐揚げ(のような食べ物)を「ザンギ」と言います。
日本唐揚協会や北海道ザンギ愛好会は、「ザンギ」と「唐揚げ」の区別が曖昧なこともあり、ほぼ同じものを意味するとしています。
唐揚げと同じもの、または少し味付けが濃い目のから揚げの北海道の郷土料理として、
「唐揚げの方言」として使われている要素が強くなります。
唐揚げとザンギの違いは?
ザンギと唐揚げの区別はない…なんていうと、北海道の人に怒られてしまいそうですが、
実際は個人によっても意見が分かれるそうです。
・味付けが濃いか薄いかで区別
・味付けの調味料で区別
・使う衣(小麦粉or片栗粉)で区別
・衣に「卵」を使うか否かで区別
このようにさまざまな判別方法があり、そのどれもが「正解」というのはありません。
ただし、北海道に伝わる魚介類の唐揚げを「ザンギ」というのは確かで、
知名度が高いものでは「タコのザンギ」があります。
ザンギの語源・由来
「ザンギ」の由来(語源)は、中国料理の唐揚げを意味する
「炸鶏」=ザーチー・ザーギー・ジャージー
から来ているのだとか。
くしろザンギ推進協会によると、昭和35年に北海道釧路にある末広歓楽街の鳥料理の「鳥松」というお店で、
骨付き鶏肉を揚げてソースをそえて出したのが、ザンギのはじまりだそう。
これが広まって、他のお店や各家庭ごとに独自に進化してきているのが「ザンギ」です。
その過程で、独自のタレの開発が進み、ザンタレなるタレをかけて提供するスタイルも現在では定番となり、
「ザンギ」は北海道で家庭料理のひとつとして確立していきました。
釧路近海で取れる魚介類を油で揚げたものでも○○ザンギと呼ばれて親しまれていて、
片栗粉の代わりにそば粉を使った「そばザンギ」など、レパートリーが拡大しています。
唐揚げ・天ぷらの違い
天ぷらとは、魚介類や野菜の食材を小麦粉と卵・水でといた衣で包み、油で揚げて調理する日本料理。
唐揚げは、小麦粉や片栗粉などの粉類をまぶして油で揚げる調理法なので、使う衣が天ぷらとは異なります。
また、肉類の唐揚げは生姜やニンニク、酒、醤油などで下味をつけて唐揚げにする場合も多いので
「下味をしっかりつける」と言う点でも、唐揚げと天ぷらには大きな違いがあります。
唐揚げ・天ぷら・とり天・かしわ天の違い
とり天 | |
食材 | 鶏のむね肉が多い |
衣 | 卵と小麦粉を水で溶いた衣 |
下味 | 醤油・生姜・ニンニクなど |
発祥地・由来 | 大分県 |
とり天は、鶏肉に衣をつけて揚げた大分県中部の郷土料理。
粉に卵を加え水で溶いた衣を使うことで、ふんわりと衣の厚い天ぷらにし、
天つゆ、酢醤油、ソースなどにつけて食べます。
とり天と天ぷらの違い
とり天は「鶏肉の天ぷら」ではありますが、実は普通の天ぷらとは少々異なります。
天ぷらとは、食材に卵と小麦粉を水で溶いた衣をつけて揚げるもので、この衣はとり天も同じなのですが、
とり天は唐揚げのように、下味をつけるのが基本です。
とり天の下味は、店や家庭によって味付けはそれぞれ異なるため、独自の味わいになります。
唐揚げととり天の違い
唐揚げととり天を比べると、一般的にはやはり衣に大きな違いがあります。
唐揚げは基本的に、粉類をまぶして揚げたものであるのに対し、
とり天は卵をたっぷりと使った天ぷら衣を使って揚げた食べ物。
衣を水で溶かないのが「唐揚げ」、水で溶くのが「とり天」です。
衣が違えば食感もことなるため、唐揚げは衣そのものよりも肉感がメインでジューシーな食感、
いっぽうとり天は、サクサクとした衣と、柔らかな鶏肉のコラボが楽しい食感です。
鶏肉の部位でいうと、唐揚げはもも肉を使うことが多いのに対し、
とり天は鶏むね肉を使うことが多いのも違いがあります。
とり天とかしわ天の違い、丸亀製麺はこだわりが強い!?
唐揚げも竜田揚げもザンギも、食材は鶏肉意外の肉や魚介でもOKだったのに対して、
「鶏肉のみ」を衣で揚げるのが「とり天」および「かしわ天」です。
じつは、鶏の天ぷらを「かしわ天」と呼ぶのは、香川県特有の方言だそうで、
地元では、香川名物の讃岐うどんのトッピングとして愛されています。
「かしわ天」=「香川県発祥のとり天」
とする説が一般的のため、要するに二つは同じもの…と言いたいところですが、
讃岐うどんチェーン店の丸亀製麺では、「かしわ天」と「とり天」の2つの違いを明確にしています。
「かしわ天」=むね肉の天ぷら
「とり天」=もも肉の天ぷら
として、うどんのトッピングメニューとして両方が並んでいます。
※一部メニューの取り扱いの無い地域もあります。
唐揚げ・フライドチキンの違い
フライドチキン(fried chicken)は、鶏肉に小麦粉やスパイスなどを絡めた衣をまぶして、
食用油で揚げた食べ物、つまり「鶏のから揚げ」と同じことです。
もともと「鶏のから揚げ」という言い方があるのに、この表現が広まり定着した理由は、
ケンタッキーフライドチキンなどアメリカの外食産業の影響が強かったから。
今では「フライドチキン」といえば、コンビニ各社もブランド作り競争が激しくなっていますね。
唐揚げのご当地あるある!
「鶏肉を油で揚げた料理」は他にもたくさん美味しいものがあります。
手羽先唐揚げ
名古屋で「手羽先」といえば、鶏肉の部位ではなく、手羽先の唐揚げのことを意味することが多いそうですよ。
手羽先唐揚げは、名古屋発祥の手羽先を唐揚げにした料理。
出来立ての唐揚げに、甘辛いタレを塗って塩やゴマを振りかけます。
パリパリの食感とスパイスが特徴でお酒のアテにもぴったりです。
チキン南蛮
チキン南蛮は、宮崎県発祥の鶏肉料理。鶏南蛮(とりなんばん)とも言われます。
衣は小麦粉を振って卵液を絡めたものを揚げ、甘酢に浸すのが特徴です。
チキン南蛮と言えば「ジューシーなお肉にたっぷりタルタルソース」というイメージですが、
本来は鶏のムネ肉を使い、タルタルソースも無いものなのだか。
だんだんとボリューム感を追求したことで、脂肪分の多いモモ肉を使ったり、
タルタルソースをかけたりと進化していったそうです。
揚げ物のカロリー順とヘルシーにするコツは?
鶏肉を油で揚げる料理といっても、
唐揚げ・竜田揚げ・ザンギ・とり天・天ぷら・フライドチキン…
などなど、衣や下味、食材(部位)、発祥地にそれぞれ違いがありました。
でも、1個食べれば少なくとも50kcalもある唐揚げ、
何とかヘルシーに食べたい!というのは誰しも思いますよね。
少しでも唐揚げのカロリーを減らすには、どんな工夫をすればよいでしょうか。
お肉を選ぶ
お肉はなるべく脂身の少ない赤身部分のお肉を選ぶといいでしょう。
鶏肉だと、ムネ肉よりモモ肉のほうが脂肪分が多くカロリーが高めです。
調味料を選ぶ
お肉の下味をつけるとき、定番なのは
ニンニク・生姜・醤油・お酒・みりん・砂糖・スパイス類
などありますね。
この中でカロリーが高いのは、みりんや砂糖の甘い調味料です。
生姜やスパイスはお肉の臭みを消して、体の代謝も良くしてくれるので必ず使いたい下味の材料です。
揚げ衣を選ぶ
唐揚げでカロリーが一番多い部分は「衣」。
衣は言ってみれば油のかたまりです。
ですから油の吸い込みが多い順でカロリーは高くなるため、カロリーが低い順から言うと
素揚げ< 唐揚げ< フライ< 天ぷら<フリッター
といったイメージでしょうか。
天ぷらに浸した麺つゆは最高に美味しいですが、食べ過ぎ注意ですね!
唐揚げ・竜田揚げ・ザンギ・とり天・フライドチキンの違いまとめ
『唐揚げ』…鶏肉に限定されず、野菜や魚に小麦粉をまぶして揚げる
『竜田揚げ』…肉や魚を醤油ベースの下味をつけて片栗粉をまぶして揚げる
『ザンギ』…北海道釧路市が発祥で、北海道の「ご当地唐揚げ」
『とり天』…下味をつけて天ぷら粉で揚げる
レシピや材料の違いだけでなく、地域や文化によって似てるものでも呼び名に違いがあるのは面白いですね。
唐揚げを中心に、たくさんレシピや呼び方の範囲が広がるのは、
それだけ日本人に親しまれ、愛されているということですね。