「健康のために、主菜は肉ばかり食べずに魚も食べましょう」とよく言われます。
肉も魚は、どちらも栄養価が高く、大切なたんぱく源ですが、
他の脂質やビタミンなどの健康効果の具体的な違いは?
肉と魚、それぞれ良し悪しのさまざまな説もありますが、本当はどうなのでしょう。
肉と魚の違い【タンパク質】はどちらも良質
肉も魚は、人間にとって、どちらも栄養豊富で良質なタンパク源。
「主菜」と聞くと、「肉か魚」を思い浮かべる方が多いと思いますが、
そもそも「主菜」とはどのようなものかご存知ですか?
主菜とはメイン料理のことで、具体的にはタンパク質が豊富な、
- 肉
- 魚
- 卵
- 大豆製品
などを使ったものです。
人間の体の約70%は水分、20%以上はタンパク質で構成されています。
人間の髪の毛や爪、筋肉や臓器のあらゆる組織はたんぱく質で形成されているので、
身体の材料になる主菜は毎食欠かさずに補給することが必要なんですね。
肉や魚のタンパク質を「食品」として考えた場合、
私たちの体のタンパク質の組織として、キチンと体に吸収されるかどうかが一番大切です。
タンパク質は、体の中で一旦アミノ酸に分解されますが、
私たちの体が合成できないアミノ酸、つまり「必須アミノ酸」がどれだけ多いのかが、
質の良いタンパク質を判断するための判断材料になるのです。
タンパク質の[質]はアミノ酸スコア!
アミノ酸スコアとは、あらゆる食品中の必須アミノ酸の含有比率を評価するための数値。
肉や魚などの動物性たんぱく質は、どちらも必須アミノ酸の量を十分取ることができ100点満点の食材です。
一方、大豆や穀物などの植物性タンパク質の場合はそうはいかず、余分にタンパク質の摂取が必要となります。
肉と魚の違い【脂質】が健康的なのは魚
肉も魚を比較すると、一番の違いは脂肪(脂質)の内容です。
この脂肪酸の違いが魚との大きな違いのひとつです。
肉のあぶらは飽和脂肪酸
肉に多く含まれている不飽和脂肪酸は、常温では固形の状態になります。
動物性の脂が、冷めると白く固まった油の塊ができるのは、このためですね。
飽和脂肪酸は、体内に蓄積され体脂肪になりやすい性質を持つため、
体内のコレステロールや中性脂肪を増加させるので、摂り過ぎは生活習慣病を招きます。
魚のあぶらは不飽和脂肪酸
魚に多く含まれている不飽和脂肪酸は、冷やしても液体状のまま。
魚が冷たい海の中でも脂肪が固まらないのは、このためですね。
魚の不飽和脂肪酸はおもに、
・イコサペンタエン酸(IPAまたはEPA)
・ドコサヘキサエン酸(DHA)
があり、どちらも優れた健康効果が期待できるため、市販のサプリメントでも人気の成分です。
ちなみに、
IPA(EPA)は血液や血管の状態を正常に保つ働きがあり、血液サラサラ効果があると言われています。
DHAは脳や網膜などの神経系に必要な栄養素で「DHAをとると頭がよくなる」と言われるのはそのためです。
▼IPA(EPA)とDHA詳しくはこちら▼
肉と魚の違い【ビタミン】
肉と魚は、それぞれビタミン類も豊富に含まれています。
肉にも魚にも共通して言えるのが、ビタミンB12。
ビタミンB12 は、
- 神経細胞を修復
- 精神を安定させ、記憶力や集中力を高める
- 造血作用といって正常な赤血球を作りだす
- 貧血や冷え性の予防に
などの働きがあるビタミン。
ビタミンB12の主な含有量をいくつか挙げてみました。(単位μg)
- しじみ:62.4
- あさり:52.4
- 牛肉のレバー:52.8
- 豚肉のレバー:25.2
- 鶏肉のレバー:44.4
- 鮎:12.0
- いわし:29.3
- 生牡蠣:28.1
- 焼き海苔:57.6
- 牛乳:0.3
- オイスターソース:2.0
肉類、魚介類・海藻類などの食材は、特にビタミンB12は豊富に含まれています。
肉のビタミン⇒代謝アップに最適
肉には代謝を助けるビタミンB1やビタミンB2などのビタミンが豊富に含まれます。
ビタミンB2は「発育のビタミン」ともいわれ、皮膚、髪、爪などの細胞の再生にも関与しています。
どの肉にも含まれますが、とくにビタミンBは豚肉に多く含まれています。
魚のビタミンの特徴⇒骨を丈夫にする
魚には豊富に含まれているが肉にはほとんど含まれない栄養素に「ビタミンD」があります。
ビタミンDはカルシウムの吸収を促し、骨を丈夫にするビタミン。
厚生労働省の国民健康・栄養調査によれば、日本人はビタミンDの約4割を生魚から摂っているといいます。
ビタミンDは、もともと肉や野菜からはあまり摂取できない栄養素なので、魚から取るしかありません。
▼ビタミンDの宝庫といえば干し椎茸▼
肉の摂りすぎ・魚の摂りすぎは?
「肉と魚どちらが健康に良いのか悪いのか」ということはよく議題に挙げられます。
肉と魚、たんぱく質はどちらも同じくらい良質ですが、脂質やビタミン類に明確な違いがあります。
肉の摂りすぎで起こる弊害
お肉を食べすぎると、飽和脂肪酸である動物性脂肪のとり過ぎにつながります。
動物性脂肪は、脂肪が体に蓄積しやすく、腸内の悪玉菌を増やして、腸内環境を悪化させます。
さらに、肉ばかりに偏った食生活は、大腸がんのリスクにつながるともいわれています。
赤身肉やハム・ソーセージなどの加工肉を食べ過ぎている人は、糖尿病の発症リスクが上昇することが判明した。
引用:日本生活習慣病予防協会
また、お肉はお肉でも加工肉(ハム・ソーセージなど)はとくに、
複数の信頼できる研究結果で、健康を害するという報告があります。
魚の摂りすぎで起こる弊害
一方「魚のとり過ぎ」はどうでしょう?
実は、魚も肉と同様、とり過ぎには注意が必要です。
身体によい成分を多く含むとされる魚にも意外とカロリーが高いものもあります。
さんま、いわし、あんこう、ぶり、うなぎなど、カロリーの高い魚のとり過ぎはもちろん中性脂肪が増加して肥満に繋がります。
また、昔から言われているのが、水銀濃度が比較的高い魚(マグロ・金目鯛など)の摂りすぎは、
小さい子供や妊婦さんは食べる量に気を付ける必要があります。
魚と肉はどっちが比較的健康にいいの?栄養素や脂・タンパク質量の違いまとめ
お肉とお魚、どちらも体にとっては優良なタンパク質ですが、それぞれに含まれる栄養素や脂には違いがありました。
特にお肉の脂は飽和脂肪酸といって、加工食品や乳製品にも多く含まれている脂ですので、摂りすぎには注意しましょう。
肉も魚もどちらも身体にとってたくさんの健康効果がありますが、
どんな食材も偏ってどちらかを摂取し続けることは望ましくありません。
肉にも魚にも良い点がある一方で、とり過ぎるとよくない点もあります。
どちらが優れているというのではなく、どちらも適度にバランスよく摂取することが大切なのです。
コメントを残す