「今日はお肉にしよう♪」と思ったら、豚肉・牛肉・鶏肉がパッと浮かびますが、
と聞かれたら、違いがハッキリ分かる人は少ないと思います。
“ローカロリーで良質なタンパク質”という見方をすれば、
豚肉や牛肉の赤身・皮を除いた鶏肉は、いずれもローカロリーで栄養満点。
それぞれのお肉の栄養価には、もちろん違いや特徴があるので、カラダへの健康効果にも違いがあります。
お肉ごとの栄養を上手に摂り入れ、あなたの今の体調に合ったお肉を選びましょう。
豚肉・牛肉・鶏肉…結局どれがいいの?
豚肉・牛肉・鶏肉にはそれぞれ含まれている栄養価に違いがあるため、カラダへの影響も違いがあります。
どのお肉も、タンパク質が豊富で、人間の健康維持に必要なその他の栄養素もたっぷり!
豚肉・牛肉・鶏肉のうち、どのお肉が一番いいのかというのは、あなたの今の健康状態によっても異なります。
詳しくみていきましょう
良質なタンパク質とアミノ酸スコアとは
身体のエネルギー源になる栄養素として、糖質・脂質・タンパク質の3大栄養素があります。
そして3大栄養素にビタミン・ミネラルを加えたものを5大栄養素といって、
いずれも生命維持に必要不可欠な栄養素です。
一言でタンパク質といっても、
・動物性タンパク質のお肉・魚や卵
・植物性タンパク質の大豆類や穀物
と大きく2つに分かれています。
タンパク質の[質]はアミノ酸スコア!
動物性・植物性のどちらのタンパク質も、成分は
「20種類のアミノ酸」
で出来ていて、組み合わせのバランスで「質」がきまります。
▼20種類のアミノ酸がこちら▼
これら20種類のアミノ酸を100点満点で数値化したものが
「アミノ酸スコア」
といって、
動物性タンパク質は、植物性タンパク質にくらべてアミノ酸スコアが高く、どの肉も、基本的に数値は100満点。
つまり、豚肉・牛肉・鶏肉のいずれのお肉も、すべて良質なタンパク質といえます。
【アミノ酸スコア 食品別数値】
▼米・穀物 | ▼魚介類 | ||
精白米 | 65 | アジ | 100 |
小麦 | 37 | 鮭 | 100 |
食パン | 44 | イワシ | 100 |
▼豆類 | ▼卵・乳製品 | ||
大豆 | 86 | 牛乳 | 100 |
枝豆 | 92 | 卵 | 100 |
▼肉類 | ▼野菜 | ||
鶏肉 | 100 | ブロッコリー | 80 |
豚肉 | 100 | にんじん | 55 |
牛肉 | 100 |
関連:パンよりご飯(米)が腹持ちいい理由とは?太りやすいのはどっち?
豚肉・牛肉・鶏肉の主な栄養価を比較
豚肉・牛肉・鶏肉のタンパク質以外の、ビタミン・ミネラルなどの栄養価を比較してみましょう。
カロリーを比較しやすいように、豚肉と牛肉はもも赤肉・鶏肉は皮なしを比較してみます。
(100gあたりの成分表)【文部科学省:日本食品標準成分表より】
豚(もも赤肉) | 牛(和牛もも赤肉) | 鶏(若鳥もも皮無) | |
エネルギー(㎈) | 128 | 193 | 127 |
タンパク質(g) | 22.1 | 21.3 | 19.0 |
脂質(g) | 3.6 | 10.7 | 5.0 |
コレステロール(mg) | 66 | 70 | 87 |
炭水化物(g) | 0.2 | 0.6 | 0 |
ナトリウム(mg) | 50 | 48 | 69 |
カリウム(mg) | 370 | 350 | 320 |
カルシウム(mg) | 4 | 4 | 5 |
マグネシウム(mg) | 26 | 24 | 24 |
リン(mg) | 220 | 180 | 190 |
鉄(mg) | 0.9 | 2.8 | 0.6 |
亜鉛(mg) | 2.2 | 4.5 | 1.8 |
ビタミンA(レチノール活性当量)(ug) | 3 | 0 | 16 |
ビタミンD(ug) | 0.1 | 0 | 0.2 |
ビタミンK(ug) | 2 | 4 | 23 |
ビタミンB1(mg) | 0.96 | 0.1 | 0.12 |
葉酸(ug) | 2 | 9 | 10 |
※輸入肉や、お肉の部位、種別によってもカロリーに差はあります。
豚肉はビタミンB1、鶏肉は牛肉は鉄分、鶏肉はビタミンAが特に豊富なのがわかりますね。
豚肉の栄養と特徴
豚肉は、他のお肉と比べてビタミンB1がとくに豊富。
牛肉や鶏肉の10倍ものビタミンB1を含んでいます。
ビタミンB1は日本人に不可欠
ビタミンB1はお米を主食とする日本人にとって絶対に欠かせないビタミン。
なぜならお米に含まれている糖質を体内でエネルギーに変えるにはビタミンB1の働きが不可欠で、
この糖質の代謝がうまくいくことによって、疲労回復に効果があります。
脂身を食べるなら牛肉より豚肉な理由
同じ脂身を食べるなら、牛の脂よりも豚のほうが良いと言われています。
豚肉の脂肪に含まれる飽和脂肪酸の割合が、牛肉よりも低いためです。
飽和脂肪酸は、加工食品や卵などにも多く含まれている脂肪酸で、
日常生活において摂りすぎに注意したい脂肪酸の一つです。
飽和脂肪酸は、摂りすぎると血中の悪玉コレステロールを増加させ、心筋梗塞のリスクを高めることになるので、
同じ脂身を食べるなら、牛よりも豚と覚えておきましょう。
豚肉で脂肪が多い部分
牛肉と同じ「赤身」のももやヒレ肉がが一番おすすめです。
バラ肉などは特に脂が多いので要注意。
牛肉の栄養と特徴
鉄分を多くとりたい時は、牛肉がおすすめです。
牛肉がほかの肉よりも赤い色をしているのは、鉄分をたっぷり含んでいるから。
牛肉は、豚肉や鶏肉の3-4倍もの鉄分を含んでいるので、
貧血の予防や集中力アップには牛肉の中でも赤みの部分を食べるのが正解です。
また牛の赤身肉の鉄分は「ヘム鉄」という種類で、鉄の体内への吸収率が高いのが特徴です。
鉄分は2種類ある
ヘム鉄とは鉄分の種類の一つ。
鉄には大きく分けて、
「ヘム鉄」
「非ヘム鉄」
の2種類に分かれていて、体内での吸収力に違いがあります。
「ヘム鉄」は動物性の食品に多く含まれる鉄分。
赤身の肉全般、豚や鶏のレバー、あさりやハマグリなどの貝類などに含まれている鉄分です。
「非ヘム鉄」は野菜や海草に多く含まれる鉄分。
ほうれん草や小松菜、大豆製品、ひじきなどに特に多く含まれていますが、
非ヘム鉄はヘム鉄と比べると、吸収力がとても低く、ヘム鉄の吸収力の5分の1程度といわれています。
牛肉で脂肪が多いのは?
牛肉は、部位ごとで脂肪分に違いがあります。
もも肉やヒレ肉などは脂肪が少なく、反対にサーロインやひき肉は脂肪が多いので摂りすぎには要注意です。
鶏肉の栄養と特徴
お肉は、いくら栄養価が高くても、脂肪=脂身が多いことが懸念されますが、
鶏肉は、皮などの脂肪部分を取り除けば、多くの部分が低脂肪です。
中でも、ささみには脂肪がほとんど含まれていません。
比較的脂肪分の多い鶏のひき肉でも、牛肉や豚肉と比べるその量は約半分です。
鶏肉に多い栄養素はビタミンA
鶏肉は豚肉や牛肉よりもビタミンAが特に多く含まれています。
ビタミンAは皮膚や粘膜の健康を守るビタミンなので、
視力を正常にしたり、感染症を予防して免疫力を高める効果があります。
その他、ビタミンAが不足すると、暗い所での視力が著しく衰え、
よく見えなくなる『夜盲症』になると言われています。
これは、網膜にある「ロドプシン」という明暗を感じる物質(視覚色素)が、ビタミンAからつくられるためです。
ちなみに…鶏肉・鳥肉の漢字の違いは?
「とりにく」は、牛、豚、鶏、の中でも一番価格も安く、
世界中でもっとも食べられているお肉です。
でも「とりにく」というと
「鶏肉」
「鳥肉」
どちらも表示されますが、
本当はどっちが正しいのでしょう?
「鶏」は厳密には国が定めた“常用漢字表“に基づいていうと
“にわとり“ “ケイ“
の2つの読み方しかないので、
「鶏肉」を「とりにく」と読むのは、本来は間違った読み方。
しかし実生活においては、ほとんど
「鶏肉=トリニク」と読まれているため、いまでは放送用語としても認められています。
それだけ
「トリニク」=にわとりのお肉
というのが定着しているということですね。
豚肉・牛肉・鶏肉どれがいいか比較!栄養価の違いまとめ
豚肉・牛肉・鶏肉、お肉にもそれぞれ栄養の特徴がありました。
・疲れやすいなと感じている方には、「ビタミンB1」の豚肉
・貧血気味で顔色が悪いなと感じている方には、「鉄分」豊富な牛肉
・比較的ヘルシーで得に目の健康維持のためには、「ビタミンA」の鶏肉
これからは、一種類にかたよることなく、体調と目的ににあわせてお肉を選んでみませんか。