独特の食感があってうまみの強いキノコ類。
和食洋食をとわず、料理にコクをプラスするためによく使われていますね。
とくに和食でキノコというと、シイタケが代表選手ではないでしょうか。
食材としてはもちろん、干しシイタケのもどし汁は「出汁」としても良く使われています。
・干し椎茸・生椎茸の栄養の違い
・干し椎茸・生椎茸は相互に代用可?
・干し椎茸・生椎茸の使い分けや値段の差
などお伝えします。
干し椎茸と生椎茸の違い
干しシイタケは、シイタケを天日、火力、電気などの機械で乾燥させたもので、
「乾燥シイタケ」
「乾しシイタケ」
とも言われます。
干すとキノコはどう変わる?
水分が多いため鮮度を保つのが難しいキノコ類は、
乾燥させることで水分が抜けて保存性が高まり、栄養価もUP
というメリットがあります。
キノコ旨味は、通常生のままだと、固い細胞壁の中に閉じ込められていますが、
乾燥させることで細胞壁にヒビが入り壊れやすくなり、
閉じ込められていた旨味や栄養分が一緒に溶けだしやすくなるのです。
干し椎茸と生椎茸の使い分け(代用)は?
干し椎茸と生椎茸の使い分けや違い。
それぞれメリットデメリットはありますが、
調理法で言えば、生椎茸は焼いたり炒めたり揚げたりして、
すぐに使いたい時や、食感を楽しむ調理に向いています。
いっぽう干し椎茸は、味が染み込みやすいため、じっくり水で戻して、
火を通す筑前煮などの煮物や炊き込みご飯など、風味を楽しむ料理に向いています。
もちろん、生椎茸で代用(またはその逆)もできなくはありませんが、
バラ寿司に使う含め煮などは干し椎茸で作った方が美味しく出来上がるでしょう。
干し椎茸は椎茸から出る出汁を、そのまま調理で使えるので、そのうま味は生椎茸では味わえません。
干し椎茸は干し椎茸独自のうま味風味や歯ごたえを、生椎茸は椎茸独自の柔らかい食感が楽しめます。
天ぷら、焼き物、炒め物
筑前煮、含め煮、炊き込みご飯、焼き物、炒め物
干し椎茸と生椎茸の値段や重さの違い
干し椎茸と生椎茸、どちらも相互に代用ができるなら、
実際の重さに対する単価(値段)が安い方が、お財布には優しいですよね。
もちろん、産地などによって値段はピンキリですが、実際どれくらい違うのでしょう。
私が調べたところ、近所のライフスーパーだと…
という結果に。
この場合、単純に1個当たりの単価は生しいたけが1個約30円、干ししいたけが約40円となるため、
「干し」のほうが、「生」よりも、単価はやや高くなります。
ただ、干しシイタケは水にもどすことで、
見た目は2~3倍に、実際の重量は水分を吸収して重さは5倍くらいに膨れ上がります。
私個人的には、常温で長期保存もできる干しシイタケの方がオトク感がありますが、
どちらがオトクかは人それぞれではないでしょうか。
干し椎茸と生椎茸の栄養価の変化に注目!
干し椎茸と生椎茸、栄養価を比較してみましょう。
注目成分比較(可食部100gあたり)
成分 | シイタケ | 干しシイタケ |
エネルギー | 18cal | 182cal |
タンパク質 | 3.0g | 19.3g |
炭水化物 | 4.9g | 63.4g |
食物繊維 | 3.5g | 41.0g |
マグネシウム | 14mg | 110mg |
ビタミンD | 2.1μg | 16.8μg |
(文部科学省:五訂増補日本食品標準成分表より一部抜粋)
シイタケは干すことで
- タンパク質は 6倍以上UP!
- 食物繊維は 10倍以上UP!
- ビタミンDは 8倍以上UP!
にも増えていることがわかります。
香りもアップ
生シイタケに含まれるレンチオニン酸という成分が
「レンチオニン」
という成分に変化。
その物質が干しシイタケ独特のいい香りを作ります。
うまみもアップ
干すことでうま味成分である
「グアニル酸」
も増加します。
干し椎茸の戻し方は何時間がベスト?
生の状態より、乾燥させた方がおいしい出汁が出るシイタケは、
旨味を最大に引き出すための秘訣があります。
それは
時間をかけて、じっくり冷水で戻すこと
です。
干し椎茸の正しい戻し方
干しシイタケは昔から、
冷蔵庫の中で冷たい水から一晩かけて戻す方法がいちばん美味しい
といわれています。
熱いお湯で戻したり、使う直前に火にかけたりしてしまうと、
雑味が多く旨味もあまり出ずに硬いままという事があるからです。
干しシイタケの旨味成分グアニル酸は、水戻し温度で生成される量が変わることが明らかになっていて、
戻して加熱した後のグアニル酸量を量ると
・温水では0.5mg
・常温では20mg
・冷水では160mg
となり、冷水戻しと温水戻しでは、旨味に320倍もの差が出ることが分かりました。
冷水とは、だいたい5℃の水温。
冷蔵庫に入れながら戻すことで、ちょうど5℃の水温を保つことが出来ます。
シイタケの厚みによっても戻し時間は異なりますが
どんこ等の肉厚な椎茸は約10時間以上、薄い椎茸は約5時間以上
が目安とされています。
ですから、夜寝る前にタッパなどに入れて戻しておけば翌日はバッチリ!というワケですね。
人間の鼻でも明らかに違いが!
我が家ではいつも味噌汁のだし汁として使っている干しシイタケ。
実際に私も比較してやってみたのですが、前日から水で戻したシイタケを火にかけると…
何これ?シイタケの放つ香りがぜんっぜん違う!と感動。
主人からは、
「いつもの味噌汁より風味がある…ダシ変えた?」
と言われるほどあきらかに違いがありました。
人間の鼻でも明らかに、うま味成分グアニル酸の量の違いをかぎ分けることができます。
干し椎茸の戻し方!急ぎの場合
もし、どうしても時間が無い時に干しシイタケを戻すときは
- 電子レンジ
- お湯
を使うと早く戻すことができます。
その際は、水にあたる面積をなるべく増やすため
- 肉厚でない薄めのカサのもの
- 肉厚の場合は、カサや軸を手などでポキポキ折る
- 薄くスライスしたもの
を使うと良いでしょう。
レンジで戻す場合
レンジを使う場合は次のような手順がおすすめです。
- 冷水で、軽くシイタケを洗いほこりを落とします
- 耐熱皿に干しシイタケが浸るくらいのお水をいれてしっかりラップをかける
- 500Wの電子レンジで3分ほど加熱
- レンジから取り出したらラップをしたまま10分ほど蒸らします
これだと15分もかかりませんね。
お湯で戻す場合
1時間くらい時間があれば、水ではなくなるべくお湯でもどす方法もあります。
- 60~70℃くらいの熱湯でないお湯を用意
- 冷水で、軽くシイタケを洗いほこりを落とします
- ボールに干しシイタケがしっかり浸るまでお湯を注ぐ
- 空気が入らないようにラップを密着させ1時間ほどおきます
干し椎茸を急ぎで戻したときの注意点
干しシイタケは、水を吸うと5倍ほどに大きくなりますので、水は「ひたひた」になるように入れてください。
シイタケがちゃんと戻っているかどうかは、
傘の中心や軸を手で触って確認
↓
もし戻ってない時は、半分にカットして更に浸す
で確認を!
もちろん煮汁も捨てずに一緒に美味しくいただきましょう。
干し椎茸の出汁の日持ち日数
美味しい干しシイタケとその出汁は、タッパーなどで冷蔵庫入れておけば、3.4日は保存が可能です。
ただ、夏場は傷みやすいのでなるべく早めに使い切ってくださいね。
- お味噌汁などの汁物
- 炊き込みご飯
- ちらし寿司
- 煮物全般
などに幅広く使えます。
干し椎茸のビタミンDはなぜ増える?
シイタケと干しシイタケの栄養面の違いで注目したいのはビタミンD。
シイタケなどのキノコ類に多く含まれる
「エルゴステロール」
という成分が、紫外線に当たり熱が加わることでビタミンDに変化します。
ビタミンDの働き・効果
ビタミンDは骨の形成には欠かせない人間にとって大事なもの。
必須ミネラルのカルシウムやリンの吸収を手伝って骨を丈夫に。
- 骨粗しょう症予防
- 丈夫な歯の維持
- 高血圧予防
- 遺伝子の働きを調節(免疫向上・糖尿病予防・発ガンの抑制)
などに効果があります。
ビタミンDの上手なとり方と調理法
ビタミンDは、水に溶けにくく油(脂)に溶けやすい
「脂溶性ビタミン」
の一つですので、油と一緒に炒めるのがベストです。
カルシウムの吸収を手伝うので、魚介類や乳製品(チーズなど)とのコンビも◎です。
生椎茸でもビタミンDは簡単に増やせる!
生のシイタケは、調理する前に2~3日間、シイタケのかさの裏を日に当てておくと、
干しシイタケと同じように、ビタミンDをふやすことができます。
時間のないときは、食べる前30分~1時間でもいいので、天日に干すとビタミンDが倍増すると言われています。
生シイタケだけでなく、えのきやシメジなども同様に、干すことでビタミンDが大幅アップ!
ちなみに我が家では、買ったえのきはすぐに窓際において、こんな風に陰干ししてます↓
干し椎茸と生椎茸の違いと代用は?使い分け・重さや値段・栄養を比較まとめ
古くから重宝されてきたシイタケ。
食物繊維やビタミンB群も豊富で、腸内環境の改善にも効果的です。
これからは生シイタケも、少しの手間でビタミンDをぐっと増やしてみたり、
いつもの干しシイタケをちょっと時間をかけて戻すことで、よりおいしく頂いてみませんか。