成型肉というと、名前だけだと人工的なイメージで聞きなれませんよね。
実はファミレスでよくあるメニューの「柔らかステーキ」や「とんかつ」が、
実は「ホンモノそっくりに作られた成型肉」である場合が多く、
あなたも知らない間に成型肉を食べている可能性が大きいのです。
そもそも成型肉とは?普通のお肉との見分け方はあるんでしょうか?
成型肉の思わぬ落とし穴、食物アレルギーや食中毒のリスクなどもまとめました。
成型肉とは?
成型肉とは、加工処理して作られた肉全般を指し、
- くず肉を結着剤で固めたお肉
- 牛脂を注射されたお肉
の大きく分けて2パターンあります
「成型肉は、細かいくず肉や内臓肉を軟化剤で柔らかくして結着剤で固め、形状を整えた食肉。牛肉の赤身に牛脂や食品添加物などを注射した「インジェクション加工」と呼ばれる処理を施した牛肉も含まれる。
wikipedia 成型肉
パターン1)くず肉を結着剤で固めたお肉
成型肉(せいけいにく、成形肉))は、別名「圧着肉」「結着肉」とも呼ばれます。
軟化剤でお肉を柔らかくし、結着剤で人工的に固めて形を整えるのですね。
くず肉というのは、内臓や骨についている、本来は食用にしない部分のお肉です。
これを吸引機で吸いだして、牛脂やリン酸塩などの結着剤や添加物を注入して混ぜ合わせ、
固めてサイコロ状にしたものがサイコロステーキ。
加熱して缶詰にしたものが、ランチョンミートやコンビーフになります。
ちなみに、2012年ごろ安全性が疑問視されたピンクスライム肉も、くず肉を使っていましたね…
パターン2)牛脂を注射(インジェクション加工)されたお肉
「インジェクション」とは注射という意味。
何百本もの注射針がついた剣山のような機械で、
赤身の固いお肉の中に人工的に和牛の脂や調味料などの添加物(ピックル液)を注入した牛肉。
食肉業界では「インジェクションビーフ」「人口霜降り牛肉」と呼ばれ、
牛脂をお肉に注射!?とはビックリですが、赤身肉はサシの入った霜降り肉へと変身します。
値段 | 部位 | 食感 |
高い | ヒレ | 柔らかい |
↓ | サーロイン | ↓ |
↓ | ロース | ↓ |
↓ | バラ | ↓ |
安い | モモ | 固い |
例えば、オーストラリア産のバラやモモを、ヒレやサーロイン並みに柔らかい食感にするために、国産牛の脂を注入します。
そうすることで、お肉の身はオーストラリア産で脂が国産という
「人工霜降り牛肉」が出来ると言うわけですね。
牛脂注入された牛肉は、元のかたまり肉に比べおよそ2倍ほどになり、
風味も和牛の脂を使っているので和牛そのものです。
生産者にとっては、固いお肉でも出荷することができますし、
食品加工会社も潤い、消費者にとっては安くて美味しく柔らかいお肉が食べられるので、
三者ともにwin-win-winの関係に。
加工肉と成型肉の違いは?
「成型肉」といえば、ついでによく聞く言葉として、「加工肉」があります。
(たまに「合成肉」という言い方もされるようですが、正式な品質表示語句ではないのでここでは割愛します)
この成型肉と加工肉の違いを気にする人もいますが、実はほとんど同じもの(意味)。
ただ、「加工肉」と一口に言っても、ハム、ソーセージ、ベーコンなどのおなじみの加工食品も意味するため、
正確にイメージするなら、加工肉というグループの中に成型肉が含まれています。
そのため、成型肉は加工肉の種類の一つと考えると分かりやすいと思います。
サイコロステーキはステーキじゃない!?
「成型肉」と名前だけを聞いてしまうと、人工的なイメージで抵抗があるかもしれませんが、
もちろん成型肉自体はJAS法に基づいた合法的なもの。
外食産業ではコスト削減のために広く昔から浸透して使われています。
とくに、ファミリーレストランのお肉食べ放題など、知らない間にあなたも食べている可能性が大です。
成型肉の代表選手といえば「サイコロステーキ」。
サイコロステーキは別名で「インジェクション霜降り加工肉」といわれ、お弁当のおかずにも大活躍。
ただ、世間的に一枚の牛肉の切り身を焼いた食べ物を「ステーキ」という認識もあるため、
サイコロステーキを「ステーキ」というのは抵抗があると言う声もあります。
消費者庁でも、牛の成型肉は「生鮮食品」の「肉類」に該当する牛の生肉の切り身ではないことなどから、
「ステーキ」と表示すること自体が景品表示法に抵触するという声もあります。
ただ、いまのところは「ステーキ」に対する明確な法律が無いため、
「牛肉(サイコロステーキ)」
「牛肉加工品(サイコロステーキ)」
など、「ステーキ」の表示とともにJAS法に基づいた名称の記載を推奨しているに留まっています。
成型肉の見分け方!表示やカロリーで分かる?
正直なところ、味も見た目も本物と見分けがつきにくく、美味しい成型肉。
外食産業ではコスト削減のために広く昔から浸透して使われています。
とくに、ファミリーレストランのお肉食べ放題など、知らない間にあなたも食べている可能性が大です。
見分けるポイントなどあるのでしょうか。
見た目
現在は加工技術もどんどん進化しているため、プロでも見分けるのは難しいといわれる成型肉。
成型肉は人工的に固めたり牛脂を注入しているため、お肉の繊維の向きが不自然な場合があります。
肉には繊維がありますが、成型肉は明らかに繊維と繊維が不自然なくっつき方をしています。簡単にいうと「タテヨコ、タテヨコ」みたいなくっつき方をしているのです。そのうえ結着部分は、箸などで簡単に切れます。切れるというより、結着している面と面がポロッとはがれる感じです。
680円激安ステーキ定食」の裏側
- 本物⇒肉の繊維の向きが同じ
- 成型肉⇒肉の繊維の向きがバラバラでお箸で切れる
ということですが、ステーキ肉など食べる時は、ナイフなどで適当にカットして、中の肉を観察してみるとすぐ分かりそうですね。
成型肉の味は美味しい?カロリーは?
お肉の味の好みは、人によって好き嫌いが分かれると思います。
強いていうなら、成型肉は値段が安いのに柔らかくて肉汁が多くジューシー。
そして、いわば牛脂をむりやり注入しているので、脂が多めという特徴もあるため
ヒレやサーロインなどの赤身の部分と比べると、成型肉のカロリーは高めでしょう。
スーパーで購入する場合
スーパーで成型肉を購入する場合は
- 「成型肉」
- 「加工肉」
- 「加工成型肉」
と表示することがJAS法で義務付けられています。
この表示を怠ったり「ステーキ」とだけ表示することは不当表示に当たります。
牛ステーキなのに、豚肉と同じような値段で販売されている時は、ラベルを一度確認してください。
飲食店で食べる場合
実は飲食店の場合は、「成型肉」や「加工肉」と示す義務はありません。
- スーパー・小売店⇒表示義務あり(商品衛生法)
- レストラン外食産業⇒表示義務なし(法律なし)
メニュー表をよ~く見てみると、カロリー表記より小文字で「成型肉」とちょこっと書いている場合もありますが、
- 「霜降り加工」
- 「やわらかステーキ」
- 「カットステーキ」
などのメニュー名で“ごまかされている“場合が多いのが実態です。
飲食店の場合は、見た目や食感で判断するしかありませんね。
目を凝らして繊維の付き方を見てみましょう。
成型肉の注意点2つ
固いお肉を食べやすく、美味しく、そして値段も安い成型肉の技術。
ですが、2013年に発覚した大阪新阪急ホテルのメニューでビーフステーキを表示した肉の中身が、
じつは牛脂注入肉だったことから、
成型肉=食品偽装問題の元凶
というマイナスイメージを抱く人はいまだ多くいます。
私たちが成型肉を食べる時はどんな事に気を付ければいいでしょうか。
十分な加熱が必要
成型肉を食べる時に気を付けたいのは食品衛生上の問題。
簡単にいえば食中毒のリスクが高いということです。
加工処理をすることで、O157などの微生物汚染が内部に拡大するおそれがあるため、
充分過熱してから食べる必要があります。
食物アレルギー
成型肉は、食物アレルギーとなる添加物が、加工処理の過程で利用される場合があります。
成型肉の混ぜ物として、大豆や卵白、乳たんぱくや脂肪、油脂などが使われることがあり、
これらの食物アレルギーを持っている人が口にした場合は、命にかかわるアレルギー反応が出る場合もあります。
消費者庁は「加工食品のアレルギー表示の徹底について」という通知で、
「飲食店などで提供される食品については、アレルギーに関する情報伝達を適切にすること」
と指導していますが、食べる本人が、もちろん一番気を付けなければいけません。
成型肉とは?見分け方の表示やカロリー&安すぎるのは要注意まとめ
成型肉は見分け方は、スーパーで販売されている成型肉には、
「成型肉」「加工肉」
の表記があります。
ですが、ファミレスなど外食時には表示の義務はないので、知らずに食べている場合があるので、
大豆、卵白、乳たんぱく、脂肪、油脂などの食物アレルギーのある方は十分注意が必要です。
成型肉の一番の特徴としては、繊維の向きがバラバラといわれますが、
人工霜降り肉などは見た目も味もそっくりなので、専門家でも見分けがつきにくい場合も。
成型肉とは、ハムやソーセージと同様、添加物を加えて加工肉されたお肉であることは変わりないので、
食べすぎず、適量を守って安全に食べるようにしたいですね。