【コールドリーディング】とは、相手からYESや共感を引き出し、信頼される禁断の心理術!
コールドリーディングを知っておくだけで、ビジネス交渉や恋愛の駆け引きなどにも活かせます。
ビジネスや交友関係などで、相手の信頼を勝ち取ることは大切なことですよね。
今回は、詐欺師も御用達【コールドリーディング】というコトバの魔術(心理・会話術)をご紹介!
心理学的なメカニズムや、すぐに使える活用方法など
筆者自身も、台本(シナリオ)作成でよく使う手法なので、備忘録的に書き留めておこうと思います。
コールドリーディングとは
コールドリーディング(Cold reading)とは、話術や観察法のひとつ。
心理学者・手品師・超能力者・霊能者と言われる人たちによって、世界的に広く提唱されています。
何気ない会話のなかで相手の気持ちを引き出したり言い当てることで
相手に「あなたは私のことをよく理解してくれている」と信じ込ませるテクニックのことです。
ちなみに、コールド(cold)は「準備なしに」、リーディング(reading)は「心を読む」という意味。
反対に、あらかじめ相手のことを調べておいてから言い当てる技術は「ホットリーディング」と呼ばれます。
バーナム効果との関係
「バーナム効果」とは、興行師パーナムの
という言葉にちなんでつけられた名称で、
バーナム効果もコールドリーディングの一種です。
「やろうとしているのにまだ始めていないことがありますよね」
「あなたは明るく振舞っていても心の中で不安を抱えている事があります」
などと適当なことを言って、対象者の心理につけ込んでいく話術です。
相手は自分の心理を言い当てられたと誤解(=錯覚)して、完全に信じ込んでしまうのです。
コールドリーディングを学ぶメリット
「コールドリーディングは、詐欺師も御用達なんて冒頭に書いたので、
ギョっとして戸惑った方もいるかもしれませんよね。
でも、コールドリーディングは、
実生活で良い人間関係を築くために、むしろ誰にでも有効なスキルなんですよ!
- YESを引き出し信頼を得る
- 相手の心を開き、共感を得てスムーズに会話できる
- 相手が気になってることを言い当てる
- さり気なく情報を引き出せる
コールド・リーディングは「相手の考えや感情に影響を与えたいすべての場面に適用可能」なため
相手をだますことではなく、心を開いてもらうことが、コールド・リーディングの根幹だからです。
コールド・リーディングは、ビジネスで信頼を勝ち取ったり、
初対面の人と心の距離を縮めたりと、あらゆる場面で活用できます。
コールドリーディングの使い方例
コールドリーディングは、誰にとっても日常生活において役立つスキル。
コールドリーディングの第一人者とされる心理学者のイアン・ローランド氏の著書
を参考に、コールド・リーディング8種類と例文をご紹介します。
- あいまいルーズ
- 不満ルーズ
- おだてルーズ
- 二重人格ルーズ
- 自己幻想ルーズ
- 弱点ルーズ
- 向上心ルーズ
- ダブルバインドルーズ
↓↓
1.あいまいルーズ(レインボー戦略)
「あなたは、かなり非現実的な野望を抱いてしまうことがありますね」
「最近、あなたのまわりで良くないことが起きていませんか」
「家の近くに学校がありませんか」
「あいまいルーズ」とは、複数の意味に解釈できるあいまいな言い回しをすることで、
いかにも相手の状況を見抜いたように、相手の心を読んだように見せかける技術です。
意味を限定せず、相手の性質を言い当てるためには
- 「適当」
- 「時々」
- 「多少」
- 「一般的な」
- 「かなり」
など、言葉には広い範囲に解釈できるものが多くあります。また、
- 「~てしまう」
- 「~することがある」
などの表現を使うと、余計に意味がぼんやりします。
これらの言葉を多用すると、相手に「自分に当てはまることを言っているな」と思わせるのが「あいまいルーズ」の手法です。
例文の「かなり非現実的な野望」と言われると、
人によっては「いつか月に行ってみたい」と壮大なイメージの人もいれば
「夏までに恋人をつくって海にいきたい」という望みでさえ十分 “非現実的” だと解釈する人もいるでしょう。
「あなたは、かなり非現実的な野望を抱いてしまうことがありますね」
の「~してしまうことがある」という言い回しも、さらにあいまいさを増幅させるため
ほとんどの人は「うん、たしかにそうだ」と、まるで心を言い当てられたかのように錯覚するのです。
2.不満ルーズ(不満を引出す)
「あなたは今の現状に不満をもっていますね」
「不満ルーズ」とは、相手が抱える不満を引き出す手法で、特に占いで高い効果を発揮します。
「なにか悩んでることあるんじゃない?」などと言って、
対象者に不満を話す糸口を与える戦略です。
そもそも、占い師を訪ねてくる相談者は不満を解決したくて来るわけですから、
「現状に不満がありますね」と問いかけられたら、
「そうなんです!じつは彼との関係が…」という具合に、自ら悩みを話しはじめるのです。
3.おだてルーズ(褒めちぎる)
「あなたは自分に対して厳しすぎるところがありますね」
「おだてルーズ」は、相手の長所を褒める手法です。
人は誰でも褒められると嬉しい生き物で、自然とその言葉を信じる傾向があります。
もし褒めてくれた人を否定ると、その人が褒めてくれた「優れた自己像」までも否定することになってしまうため
褒めてくれた人=”信頼できる人”と錯覚してしまいます。
例のように「あなたはとてもストイックな人です」のように褒められると、
自分の隠れた努力や美点を認めてくれたように錯覚し、相手に好意を抱いてしまうのです。
4.二重人格ルーズ(正反対を同時に指摘)
「あなたは外向的で付き合いやすい半面、内向的で用心深いときもありますね」
「二重人格ルーズ」とは、正反対の性格を同時に提示するテクニック。
人は誰でも、100%全開でいつも明るい・暗いということはなく、
時と場合によって気分の浮き沈みはあるし、いろんな一面があるはず。
- 「外交的」と「内向的」
- 「優しい」と「冷淡」
などの対極の特徴を2つ同時に投げかけることで、
単純に当たる確率は2倍になり、
「自分の性格が見抜かれた!」と、多くの人に感じさせる(=錯覚させる)ことができます。
5.自己幻想ルーズ(自己幻想を掻き立て、隣の芝生戦略)
「就職活動をもっと戦略的にしていれば、大企業に入れたかもしれないのに…」
「自己幻想」とは自分に対する幻想のことで、
「もし…していたらしたら、もし…していればすれば」
など、人生の”たられば”を妄想してしまうことが、あなたにもあるはず。
「学生時代にもっと勉強していれば…」
「あの人と結婚していれば、今頃もっと幸せに…」
など、「あのときあちらを選択していたら今よりもっといい生活を送っていたかも…」というような
「もし…していたらしたら、もし…していればすれば」
と、現実とは異なる、相手が自分に抱いている理想や幻想を指摘し、
自己幻想をくすぐることで、相手の共感を喚起させ、心理的な距離を近づける効果があります。
自己幻想を刺激することは、よりよい自己像を提供すること。
などの問いかけが、典型的な「自己幻想ルーズ」ですね!
6.弱点ルーズ(弱点を指摘)
「もっと無神経でいられたら、あなたもラクなのにね」
「このイチゴ、形がちょっとイビツ。でも、味はすごくおいしい!」
「弱点ルーズ」とは、相手や対象物の弱点(欠点や劣点)を指摘する方法。
「弱点ルーズ」は、「おだてルーズ」と組み合わせて使うことで、効果がアップします。
ただおだてるよりも、弱点を指摘してからおだてたほうが、
褒め言葉のリアリティと信ぴょう性が増して、結果、信頼感を得やすくなるからです。
単に相手を持ち上げるのではなく、「落として上げる」ことで、より高い効果が期待できるのです。
7.向上心ルーズ(向上心を褒める)
「あなたは今よりも人間的に成長したいと思っています」
「向上心ルーズ」は、相手の向上心をくすぐる方法。
「今より上に行きたい」「人から認められたい」という欲求は、誰でも少なからずもっているはずので
たいていの人から同意(=YES)を得ることができます。
「皆に好かれるために人一倍、努力を積み重ねてきましたね」など
「弱点ルーズ」を指摘しながら、「向上心ルーズ」で成長過程を褒めることで相手からの信頼度もよりUPします。
8.ダブルバインドルーズ(二者択一・二重拘束)
「遊園地と水族館、どっちに行きたい?」
「ダブル・バインド」(double bind)とは、直訳すると「二重拘束」。
矛盾する二つの事柄に挟まれて、身動きが取れなくなってしまう状況のことを指しています。
YES、NOという明確な回答ではなく、選択肢をあらかじめこちら側で用意し
対象者に二者択一をさせることで、断れなくさせる、相手に意思決定をさせないという会話技術です。
ダブルバインドはとくに意中の相手をデートに誘いたい場合に、
高確率でデートに誘う方法として有効です。
「遊園地と水族館、どっちに行きたい?」というように、
あえて2択の選択肢にすることで、
相手は「デートに行かない」という「NO」の選択肢が無くなり、
どちらかを選択せざるを得ない状況になるのですね。
コールドリーディングの型「ストックピール」
コールド・リーディング初学者が、最初に丸暗記すればすぐに使える「12のストックスピール」をご紹介しましょう!
ストックスピールとは、たいていの人に当てはまるよう練られた質問項目のことで
ストックとは「たくわえ、在庫」、スピールは「演説」の意味です。
要するに、あらかじめ暗記して頭のなかにストックしておく、コールド・リーディングの台本のようなもの。
これをつかえば誰でも、相手の性格を見抜いたように見せられますよ!
以下は、コールドリーディングの基本12のストックスピール(SS)と、使われている「ルーズ」の一覧です。
ストックスピール | 使用ルーズ | |
---|---|---|
SS1 | かなり非現実的な野望を抱いてしまうことがある | あいまい |
SS2 | 外向的で愛想がよく、人付き合いがよいときもある半面、内向的で用心深く、引きこもってしまうこともある | あいまい、二重人格 |
SS3 | 自分を素直に出しすぎてしまうのは賢明でないと、これまでの人生で学んだ | あいまい |
SS4 | ある程度の変化や自由を好み、縛られたり制限されたりすると不満を感じる | あいまい、不満 |
SS5 | 性的な欲望をうまく適応させられないことがあった | あいまい |
SS6 | 自分に対して厳しすぎるところがある | おだて、ダブルバインド |
SS7 | 自信があるように見えるけれど、本当はくよくよしたり不安になってしまったりする面がある | 二重人格、不満、おだて |
SS8 | 自分の考えをしっかりもっていて、根拠なしに人の言うことを信じ込むことはないと自負している | おだて、ダブルバインド |
SS9 | これまでの人生の選択や行動は本当に正しかったのだろうかと疑問に思うこともある | 自己幻想 |
SS10 | 自分にはまだ掘り起こされていない才能が眠っている | あいまい、おだて、自己幻想 |
SS11 | 性格に多少の弱点はあるけれども、たいていはそれを埋め合わせることができている | あいまい、弱点、おだて |
SS12 | 人から好かれたい・認められたいという欲求が強い | 向上心 |
引用:コールド・リーディングとは? STUDY HACKER
コールドリーディングおすすめの本
コールドリーディングをもっと理解したい、身に着けて実生活に生かしたいと思ったあなたに、
おすすめの本をご紹介します。
『コールド・リーディング 人の心を一瞬でつかむ技術』
本記事でも第一人者として紹介した、イアン・ローランド氏の著書です。
ローランド氏は、コールドリーディングの第一人者として、イギリスで作家・現役マジシャンなど多方面で活躍中。
コールドリーディングの詳しい解説や、日常場面での使い方なども豊富に書かれているので、
自分自身がコールドリーディングに騙されないためにもおススメの1冊です。
『コールドリーディング入門』
ベストセラーを次々と生み出している現役セラピスト石井裕之氏による著書。
人間関係、ビジネス、恋愛、教育など、あらゆるコミュニケーションに活かすことができ、
コールドリーディングで誰にでも簡単に実践できる潜在意識のノウハウをぎゅっとまとめた一冊。
コールドリーディングの例文とテクニックまとめ
コールドリーディングについて基本の8つの型と例文をご紹介しました!
コールドリーディングでいちばんのポイントは、相手に「自分のことを言い当てている!」と思ってもらうこと。
ですから、相手の性質を言い当てるためにも、
「絶対に」などの決めつけ言葉は使わず、「~することがある」など広い表現を使ったり
人間性を褒める言葉や、「もっと成長したいと思っている」など、
よく考えれば誰にでも当てはまってしまうことも織り交ぜることで、
外堀を埋めていき、「当たっている!」と相手に思わせる作戦です。
さらに、選択肢をこちらで用意し「AとBどちらですか?」と聞くことで、
相手の自由な回答を奪ったうえで、会話の流れを有利して言い当てやすくします。
大前提として、相手の信頼を勝ち取ることが目的ですから、
テクニックを意識しすぎるあまり、会話が不自然になったり、必要以上に相手のことを聞き出そうとしたりと
相手に失礼なことを言ったり、不快感を与えないようにしましょう。
あくまでも、相手との心の距離を深めることが目的であることを忘れないでくださいね!