普通の人なら絶対に「食べ物」とは呼ばないモノに、
無性に食欲を感じてしまう「異食症」という病気があります。
毛髪や氷、時には土・紙、粘土といったものに手が伸びて口に入れてしまう「異食症」は、
中学生など、思春期の子供にも多いのだとか。
異食症の中の一つ、氷を食べるのがやめられない「氷食症」。
氷食症になってしまう原因は未だにハッキリ分っていないものの、
多くの原因は、強いストレスで突然発症し自分の毛髪を抜いて食べたり、
鉄分が極端に不足することで貧血状態になって、氷をガリガリと口にするといわれています。
氷を食べ続けるとはどういうことなんでしょう。
原因や改善方法などあるのか調べてみました。
氷食症とは
もしあなたが、めまいなどの貧血症状と同時に、氷を大量に食べるようになったら
「氷食症(ひょうしょくしょう)」
かもしれません。
氷食症は、ジュースを飲むついでにに氷を2.3個食べる程度ではなく、具体的には、
「1日に製氷皿に1皿以上(20~30個以上)の氷を食べるかどうか」
が目安となります。
チェックリスト
一つでも当てはまれば氷食症、または発症する可能性があります。
・氷を食べるとスッキリするため、食べないと落ち着かない
・氷を製氷皿1枚分は平らげ、無くなると不安に思いわざわざ買いに行く
・体がいつも異常にだるく重い
・すこし階段をのぼっただけでも息切れや立ちくらみがする
氷食症になる原因!子供も要注意!
異食症の一つである氷食症は、若い女性や、中学生など、思春期の子供にも多いと言われています。
カフェなどで氷をガリガリたまに食べるくらいなら、単に「癖・クセ」の一つであっても、
度が過ぎると、氷食症の可能性も。
氷食症になる原因やメカニズムはどれもまだ明らかにされていませんが、おもに2つ
- 鉄分不足
- ストレス
と言われています。
1) 鉄分不足が原因
氷食症の原因はのほとんどは「鉄欠乏性貧血」もしくは「鉄欠乏症」と言われています。
“赤血球不足になると脳まで酸素が充分に届かなくなることで、
自律神経が狂い、体温調節が上手くできず、体温が上昇し、口の中を冷やしたくなる“
というメカニズムです。
お腹の赤ちゃんに栄養を採られて鉄分が不足しがちになるため
ということが一番の有力説だと考えられています。
また無理なダイエットを重ねている若い女性や、偏った食事しかしない子供も、
栄養バランスが崩れ鉄分不足になることで、氷食症を発症するとされています。
2) ストレスが原因
日常生活におけるストレスが原因で
突然「氷が食べたい!」という衝動に駆られるようになることもあるそうです。
・環境の変化によるストレス
・突発的な(死別など)強いストレス
・強迫性障害(ダメと分かっていてもやめられない心の精神疾患)
などが考えられています。
氷食症は、自分の髪やまつ毛・眉毛など、体の毛を抜くのが止められない[抜毛症]からの移行もあると言われています。
特に子育て中の女性は
・子供の夜泣きや反抗期など
・夫婦間の問題
・妊娠と出産
・マリッジブルー
などによっても引き起こすことがあるそうです。
氷食症が太る理由
氷を食べ続けてしまうということは、
「体」や「心」が、何かの栄養や満たせるものが不足している
という何らかのSOS。
本来、無味無臭で栄養もない「氷」を、大量に余計な「水分」として体に取り込むことは太る原因になります。
精神面で氷を食べ続けて太る理由
ストレスで食事も思うようにノドを通らない時、たまたま氷を口にしたら「スッキリ」したような感覚で次々と氷を食べ続けてしまうのは、自律神経がうまく機能していないということ。
食べても食べても満足感が得られず、“お腹がいっぱいになった”という満腹中枢機能が鈍っているため、知らぬ間に体重の増加に繋がります。
氷は特に料理をする必要もないし、何もせずすぐ口に入れて満足できる…という無意識で氷を食べ続けてしまうのです。
氷食症の治し方1)
氷食症の解決法は、まずは普段の食生活で「鉄分をしっかりとる」ことです。
「鉄」は体の「酸素」と結びつくことで、酸素を体のすみずみまで運ぶ役割があります。
身体は約60兆個もの細胞で成り立っていると言われていますが、
その全てに鉄が酸素を送り込んでいるからこそ、エネルギーが産生され、元気に過ごすことが出来るのです。
ヘム鉄・非ヘム鉄の違い
食べ物から摂取できる「鉄」には【ヘム鉄】と【非ヘム鉄】の2種類あります。
違いは何かというと、体内での吸収力。
一般的に、
ヘム鉄の方が非へム鉄より鉄としての吸収率が高い
とされていますが、一般に日本人が食事から摂取する鉄の85%以上が吸収率の低い非ヘム鉄というのが現状です。
【ヘム鉄】
動物や魚から取れる動物性の鉄分。体への吸収率が高く、副作用も少ない
【非ヘム鉄】
野菜・果物・穀物から取れる植物性の鉄分。体への吸収率が低く、胃腸や腸管を荒らす副作用がある場合も
100gあたりの含有量
ヘム鉄(㎎) | 非ヘム鉄(㎎) | ||
豚レバー | 13.0 | ほうれん草 | 2.0 |
鶏レバー | 9.0 | 小松菜 | 2.7 |
牛もも赤肉 | 2.7 | ひじき | 6.2 |
しじみ | 4.3 | 大豆ゆで | 2.0 |
あさり | 3.8 | 油揚げ | 4.2 |
かつお | 1.9 | 卵黄 | 6.0 |
数値参考http://www.ils.co.jp
鉄不足を効果的な予防は、吸収性の高い肉や魚などの「ヘム鉄」を中心に、
バランスのよい食事を摂ることが大前提です。
サプリメントで[ヘム鉄]をとる
鉄分をしっかりとるためには、基本的に食事から摂るのが理想的ですが
「ヘム鉄のサプリ」も市販されているので、試してみてもいいでしょう。
氷食症の治し方2)
氷食症の原因はストレスかもしれない…と思ったら
・自分がストレスを抱えてるなんて認めたくない
・氷を食べることがやめられないなんて恥ずかしい
・誰かに相談したら迷惑じゃないかな
と思うかもしれません。
でも少し気持ちを落ち着けて「人に相談する」というのはとても大切なことです。
周りの身近な人でもいいですし、専門の医療機関でもいいでしょう。
自分では気が付かないうちにどんどんストレスが蓄積されて、
それが“氷を食べる“という行動に出ている心のサインに気が付く必要があります。
氷食症は何科を受診?治療期間は
氷食症が疑われたら、どうすればいいのでしょうか。
貧血の場合
氷食症のほとんどは鉄不足による「鉄欠乏性貧血」が原因と考えられていますので、
・食欲低下
・疲れやすい
・顔色が悪い
・動悸・息切れ
・睡眠障害
・爪がもろくなる
・舌がしみる
・ものがのみ込みにくい
といった代表的な貧血症状も同時に出やすいとされています。
- 消化器科
- 婦人科
を受診することで、血液検査で数値を測り貧血かどうかを数値で確かめることができます。
血液検査の内容
病院では、“貧血”に代表される下記の病名について、具体的な血液検査を行います。
【鉄欠乏性貧血の可能性】
ヘモグロビンが正常値を下回っており、平均赤血球血色素濃度(MCHC)が30以下
【鉄欠乏症の可能性】
トランスフェリン飽和度が15%以下で、血清フェリチン値が13ng/mlだった場合
いったん、このような症状の病名を診断される状態になっていると、
サプリメントや食品のみでは十分な鉄分を補うことは難しいため、鉄剤の一つ、フェロミア錠などを服用し様子をみます。
しかし、吐き気などの副作用が伴うこともあり、内服が困難な場合には、注射薬の鉄剤などで治療します。
ほとんどの場合、1ヶ月ほど飲み続ければ貧血も氷食症も回復に向かうとされていますが、再発を防ぐためには3~4ヶ月は服用が必要と言われています。
また、鉄欠乏性貧血と診断された場合は、
胃潰瘍・大腸がん・子宮筋腫などの併発リスクもあるため、早期発見が最も大切です。
ストレスの場合
どうしても気持ちがつらい時は、
- 心療内科
- 精神科
を受診し、しっかりと自分の状況をまずはドクターに伝える必要があります。
氷食症は中々人に理解されにくい病気でもあるので、誰か一人でも相談できる人がいるのはとても大きな心の支えになります。
そのうえで、抗うつ剤などの薬物療法が一般的です。
いずれの治療も、主治医の先生に従って、再熱・再発をしないように経過を見ながら長期的に取り組む必要があります。
氷食症は子供も発症する病気だった!何科で相談?治し方や解決策まとめ
氷食症をそのまま見過ごしてしまうと、食欲不振・栄養不足にもなり、
肌はガサガサ
髪はパサパサ
爪はボロボロ…
という事にもつながります。
年齢を重ねていくには仕方のないこと?と思いがちですが、
本当の原因は他にあるのかもしれません。
まずは氷の食べ過ぎをやめて、鉄分をしっかりとる食生活に切り替えること。
それでも回復しなければ、一刻も早く病院へ行きましょう。
原因を突き止め、それに合った解消法を考えることが大切です。
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