テンサイシストセンチュウは、大根・キャベツ・ブロッコリーなど、
テンサイ等のフダンソウ属植物やアブラナ属植物等に寄生する害虫。
2017年9月、長野県諏訪郡原村の農家で、テンサイシストセンチュウが日本で初めて確認されて以降、
農林水産省は毎年、関係機関と協力しながら、土壌の調査や対策を講じ、テンサイシストセンチュウのまん延防止に努めています。
そもそも、シスト線虫って何?
そもそも『シスト線虫』ってどんな生き物なんでしょう?
シスト線虫は、植物に寄生する害虫の種類で、世界では100種近くが知られています。
メスの成虫は白色で直径1ミリメートルほどの、球形やレモン形をしていて、
このメスが死ぬと、体が白色から褐色に変わり、300~500個の卵を入れたケシ粒大の袋になります。
数百個の卵は体内で成熟し、メスは卵を内蔵したまま死んで褐色のシスト(cyst・包囊)となるため
『シスト線虫』と名付けられたのだとか。
日本では、古くからダイズに被害を及ぼすダイズシストセンチュウ、
1972年には北海道のジャガイモに初発生した、世界一級の重要病害虫の一つジャガイモシストセンチュウ
などが知られています。
『シスト線虫』は、一度発生してしまうと、飛躍的に線虫密度が高まるため、農作物に大被害が及んでしまうのです。
テンサイシストセンチュウはどんな被害がでるの?
テンサイシストセンチュウ被害にあった大根の例
2017年9月、山梨県との県境の長野県諏訪郡原村の畑で、
日本で初めて発見されたテンサイシストセンチュウ。
生育不良の野菜が見つかり、農家の方が植物防疫所へ持ち込んで発見されました。
実はテンサイシストセンチュウは、海外では既に広く知られた存在で、
根に寄生して、野菜の養分を吸い取ります。
テンサイシストセンチュウが寄生してしまった野菜は
・生育が遅れる
・黄色く変色する
・しおれて枯死する
・株の形が円形に広がる(奇形)
・ひげが異常に増える
等の状態に。
テンサイシストセンチュウの分布と人体への影響は?
《テンサイシストセンチュウ》
英名:beet cyst nematode
《分布》
韓国、パキスタン、イスラエル、イラ
ク、イラン、ヨルダン、トルコ、ヨー
ロッパ、ロシア、カーボヴェルデ、カ
ナリア諸島、ガンビア、セネガル、南
アフリカ、米国、カナダ、メキシコ、
チリ、ペルー、オーストラリア、ニュ
ージーランド、ハワイ諸島等
《寄主植物》
しょくようだいおう、ほうれんそう、あぶらな属(野沢菜、カリフ
ラワー、ブロッコリーなど)植物及びふだんそう属(てんさいなど)
植物の生植物の地下部
人体への影響は
今のところ、
「本線虫は、人畜には無害であり、本線虫が付着した植物を食べても人の健康を害することはありません」-農林水産省ホームページ-
と、万一食べてしまっても人畜には無害であると説明されています。
毎年『テンサイシストセンチュウ対策会議』を行い、
具体的な被害状況の確認や、状況の確認、農家へ病害虫の拡大を防ぐための指導などを行っています。
テンサイシストセンチュウが寄生する野菜は?被害影響・駆除や対策方法はまとめ
アブラナ科の野菜というとキャベツ・白菜・大根など私たちの食生活に欠かせない野菜、
テンサイシストセンチュウが農家の方の適切な判断で、研究所へ持ち込まれ発見されてよかったと思います。
被害が拡大してしまえば、野菜の高騰にもつながりかねません。
近年は、ヒアリなど、外来の害虫が多く報告されていますが、
虫もグローバルに生きる時代、早めの対策と駆除が急がれますね。
今後もこのテンサイシストセンチュウの行方を見守りたいと思います。
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