秋の桜の木とは?狂い咲きになる理由や名所の様子や見ごろ時期も!

秋 桜

 

春に咲くはずの桜の木が、秋にも咲くことがあるってご存知ですか?

通常桜の花は、春に満開を迎え、次に咲くのは1年後、秋には咲きません。

しかし、ごく稀に、秋にも花が咲く場合があります。

秋に桜が咲く原因は、

  • 何らかの異常環境で葉が機能しなくなった場合
  • もともと年に2回咲く品種の場合

の2パターンがあり、

前者は『狂い咲き(くるいざき)』とも言われ、

2019年は台風19号の影響もあり、各地で秋の桜が多くみられています。

 

秋の桜の木とは?コスモスじゃなくて「本物の桜」

 

秋を代表する花といえばコスモスですよね。

 

コスモスは漢字で「秋桜」と書き、文字通り桜に容姿が似ていて、美しく大地をピンクに染める秋に咲く花です。

 

各地域にたくさんコスモスの名所もあり、毎年10月中旬~11月にかけて見ごろをむかえます。

 

いっぽう「秋の桜」といえば、コスモスではなく“ホンモノの桜“も、同時期にあちこちで咲いている場所もあるんです!

 

そう、春の訪れ告げる定番の花の桜が、秋から冬にかけて咲くこともあるのですね。

 

春の桜と秋の桜の違い

 

桜といえば、春に一斉に咲き誇り、一週間ほどで散ってしまう、美しくもはかないイメージ。

 

ところが、秋から冬に咲く桜は春とは異なり、ぱらぱらと小さな花を咲かせ、すぐには散らずに、一か月ほど見頃が続きます。

 

その姿は、華やかというよりは凛として美しい印象です。

 

秋の桜の特徴は葉っぱが無い木!?

 

秋に突然花を咲かせる木は、葉が落ちてしまった桜の木という共通点があります。

 

通常は、春に開花した桜は、夏に緑色の葉で覆われ、秋とともに赤や黄色に紅葉します。

 

夏の間に翌年春に咲かせるための花芽(はなめ)を作ってから木が休眠に入るのですね。

 

桜はなぜ秋に花が咲かない?

 

桜の花は春に咲くので、桜のツボミ=花芽は冬が終わってから作られるように思うかもしれませんが、

実は、開花する前年の夏頃からすでにツボミは作られています。

 

夏に作られた花芽が秋に咲いてしまうと、桜は冬の寒さでは種子は作れないため、子孫を残すことができません。

 

そこで、葉で作られて花芽に届けられる「休眠(成長抑制)ホルモン」によって、咲くことを「待て」の状態にできるのですね。

 

この休眠ホルモンの働きによって、桜の木は秋には開花せず、ツボミを越冬芽(えっとうが)という硬い芽の中に包み込んで守ります。

 

秋に花を咲かせる理由は“桜の勘違い“

 

夏に何らかの原因で、花芽を守る葉がすっかり落ちてしまうと、

花芽に届けられるはずの休眠ホルモンが十分に届けることが出来なくなってしまいます。

 

すると、夏の終わりを告げる涼しさを冬と勘違いした桜の木は、

「あ、春が来た」と勘違いして、秋に花を咲かせてしまうのです。

 

キクやコスモスなど、秋に花を咲かせる植物は、花を咲かせて種子を作るまでの期間が短いため、

秋に花を咲かせても、冬がくる前に種子を作り終え、子孫を残すことができます。

 

しかし、桜は花を咲かせて種子を作るのに時間ががかかるため、秋が終わって葉が落ち、

冬の寒さに耐えて、春の暖かさとともにつぼみが成長して春に開花を迎える、というサイクルです。

 

季節外れの開花は「不時(ふじ)現象」

 

『狂い咲き』『返り咲き』とも言われる季節外れの開花は

「不時(ふじ)現象」

と言って、気象台でも記録をとっています。

 

不時(ふじ)現象とは、開花・落葉や鳥の渡り・虫の鳴き始めといった生物季節現象が平年とかけ離れた季節に生じる現象をいいます。

 

具体的には、真冬にモンシロチョウが飛んだり、秋に、春に咲くはずのサクラやスミレなどが咲いたりすることはたびたび起こり、

実際に、2006年には、台風13号の影響で、長崎・下関、佐賀、鹿児島でソメイヨシノの開花を観測しています。

 

そして2019年は、巨大台風19号の影響もあり、10月には各地で梅や桜の『狂い咲き』が目撃されました

 

狂い咲きの不時現象が起きる理由

 

桜について言えば、平年のサイクルでは

▼夏に花芽が作られる
▼秋に花芽が休眠する
▼冬の寒さで花芽が目覚める
▼春の気温の上昇と共に花芽が成長し開花する

が一定のサイクル。

 

ところが、

  • 台風などの異常気象で葉っぱが落ちてしまう
  • 害虫被害や天候不順で葉が枯れ落ちてしまう

などが原因で、葉っぱが機能しなくなり、

一度涼しくなった後に春のような暖かい日が続いたことで、秋に春の花が咲きやすくなるのです。

 

秋冬の桜の名所スポット

 

『狂い咲き』と言われ、異常気象や台風などの不時(ふじ)現象が原因となることが多い、秋に咲く桜。

 

しかし、狂い咲きではなく、もともと秋に咲く桜として有名な名所も、日本にはあるんです!

  • 「四季桜」
  • 「十月桜」
  • 「冬桜」

と言われる、秋から冬にかけて咲く桜たち、一度は訪れてみたい、全国の名所を紹介しましょう。

 

愛知県豊田市

 

場所 愛知県豊田市小原(おばら)地区
見ごろ時期 春・11月
品種名 四季桜

 

愛知県豊田市小原(おばら)地区には、「四季桜」と呼ばれる、春と秋の年に2度花を咲かせる桜の名所。

 

秋はの桜は、春の桜よりも多く咲き、紅葉の見頃と重なるため、その絶景を一目見ようと観光客が大勢訪れます。

 

桜と紅葉のコラボレーションが楽しめる「小原四季桜まつり」は、毎年11月に1ヶ月近く満開の花を咲かせます。

 

真っ赤に染まる紅葉と約10,000本のピンクの桜のコラボは圧巻!

 

千葉県野田市

 

スポット名 桜木神社
住所 千葉県野田市桜台210−1
見ごろ時期 春・10月~1月
品種名 十月桜

 

春だけでなく秋冬にも桜の花が見ごろを迎える、その名も桜木神社。

 

「サクラサク」の縁起の良さや、かわいい御朱印帳なども人気の神社です。

 

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秋冬の境内で花を咲かせる代表格は十月桜。

 

この桜は例年10月ごろに開花、11月中旬の七五三のシーズンに見ごろを迎え、長い時はお正月まで咲いていることも!

 

桜を背景に七五三や初詣の写真が撮れるなんて素敵ですよね。

 

群馬県藤岡市

 

スポット名 桜山公園
住所 群馬県藤岡市鬼石170-1
見ごろ時期 春・11月
品種名 冬桜

冬桜は、一年に二度開花する珍しい品種で、晩秋から冬にかけて咲き、残ったツボミは春にも花を咲かせます。

 

桜山公園は、約7000本の冬桜がまとまって咲き、国の名勝・天然記念物にも指定されていて、

春と秋から冬の年2回、お花見が楽しめます。

 

11月中旬には冬桜と紅葉の競演が見られ、夜にはライトアップも行われ、

園内には美しく整えられた日本庭園があるほか、桜山山頂の展望台まで散策路が整備されています。

 

秋の桜の木とは?狂い咲きになる理由や名所の様子や見ごろ時期まとめ

 

狂い咲きの不時(ふじ)現象が起きてしまっても、その桜の木は来春には同じように桜を咲かせてくれます。

なぜなら、1本の木の一部だけが早咲きしてしまっても、全ての花芽が目覚めるような本当の冬が来ていないので、

ほかのツボミは休眠ホルモンが少ないながらも冬越し、春には花を咲かせてくれます。

「季節外れのお花見」というサプライズをくれる秋に咲く桜。

近所に早枯れの木を見つけたら、枝先に花を探してみてはいかがでしょう?

 

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