秋の涼しい夕方、あぜ道を散歩していると、真っ赤な色がハッと目を引く美しい彼岸花。
今年もお彼岸の季節が来たな~と季節を感じます。
別名の曼珠沙華(まんじゅしゃげ)も、ミステリアスでちょっと不気味な別名ですよね。
彼岸花は有毒植物としても有名で、田んぼやあぜ道で見かけることが多いのは、
実際にもぐら除け対策で、人工的に植えられていることが多いから。
彼岸花の毒は、人間が摂取しても中毒症状が出る場合もあり、
幼いころ、母に「彼岸花は触っちゃダメ!」とキツく言われていたのは迷信ではなかったようです。
でも、彼岸花って本当に触るだけでも危険なんでしょうか?
ヒガンバナの毒性について調べてみました。
彼岸花(曼珠沙華)とは
彼岸花の名前の由来は、秋のお彼岸ごろから開花することに由来しています。
主に、日本、韓国、中国南部に広く自生しています。
そもそも「彼岸・ひがん」とは「向こう岸」という仏教的な意味があり、
つまりこれを食べた人は「彼岸=死」しかない…という怖い説も。
別名の曼珠沙華(まんじゅしゃげ)は、法華経などの仏典に由来しています。
仏教でいう伝説上の天の花、ヒガンバナの真っ赤な外観からはちょっと想像できませんよね。
地獄の花?天国の花?異名が多い彼岸花
彼岸花はとにかく異名が多く、日本では1000種類以上の異名があることで知られています。
- 死人花(しびとばな)
- 地獄花(じごくばな)
- 幽霊花(ゆうれいばな)
- 剃刀花(かみそりばな)
- 捨子花(すてごばな)
- はっかけばばあ
などなど、(ばばぁって…w)
日本では不吉で忌み嫌われる反面、「天上の花」としてめでたい兆しとされることも。
地獄の花か天国の花か…こんなに両極端な意味が混在している花も珍しいですよね。
何処にでもある花だからこそ、人の心に残り、愛され、そして恐れられてきた花だからではないでしょうか。
彼岸花の毒性の場所は茎?
彼岸花は恐ろしい毒花としても知られていますが、食中毒の症状や毒性はどんなものでしょう。
(ヒガンバナは)全草有毒で、特に鱗茎にアルカロイド(リコリン、ガランタミン、セキサニン、ホモリコリン等)を多く含む有毒植物。経口摂取すると吐き気や下痢を起こし、ひどい場合には中枢神経の麻痺を起こして死に至ることもある。
wikipedia
全草有毒とは、花、茎、根、葉、全てに毒を含んでいると言う意味。
特に、鱗茎(りんけい)と呼ばれる球根の部分に有毒成分が多く含まれています。
彼岸花の致死量ってどれくらい?
鱗茎一つに15mgの毒性アルカロイドのリコリンという成分がが入っていて、
この15mgのリコリンは、ネズミだと1500匹の致死量に相当するのだとか。
ちなみに、リコリンでの人間の致死量は10gといわれていて、
よほどのリコリンの毒を体内に入れない限り、深刻な症状になる可能性は低いとは言われています。
ただし、嘔吐・下痢といった症状が見られた場合、すぐに内科の診断を受けましょう。
専用の解毒剤はないため、嘔吐誘発剤などで、対処療法するしか方法はありません。
病院に行く時間がないけど心配な人は、日本中毒情報センターに電話で相談することもできます。
彼岸花の毒性は子供や犬・猫も注意!
誤って摂取してしまうと、
- 吐き気
- 下痢
- ひどい場合には中枢神経の麻痺
を引き起こす彼岸花の毒。
彼岸花の毒は、根の部分はもちろん、花や茎などにも含まれるため、
小さい子供や、犬や猫が誤って誤飲しないよう気を付ける必要があります。
彼岸花が多く咲いている場所はなるべく避けて散歩コースにしたり、
単独行動が大好きな猫は、飼い主の目の届かない場所で彼岸花と接触してしまう危険性もあります。
子供にも、キレイな花だからといって、うっかり手に取らないように教えてあげないといけませんね。
もちろん、切り花にする時なども注意が必要です。
手に付いた草の汁に気付かず、うっかり口元に…なんてことになりかねません。
彼岸花の毒はもぐら除けになる?!
日本で彼岸花と言えば田んぼやお墓に多く咲いているイメージですよね。
これは、多くは人為的に植えられたものと考えられています。
なぜなら、田んぼやあぜ道の場合はネズミ、モグラ、虫など、田を荒らす動物がその鱗茎の毒を嫌って避ける(忌避)ようにするため、
そして、お墓の場合は虫除けと、土葬後の死体を動物によって掘り荒されるのを防ぐためとされています。
彼岸花の毒はイノシシやシカにも有効!?
イノシシやシカ、キツネなど、個体数が増えすぎた野生動物は、
他に食べるものが無くなると山から下りてきて、人間の田畑を荒らします。
栃木県、広島県、滋賀県などの各自治体では、これらの獣類を寄せ付けないために、
彼岸花を通り道となる河川敷に人工的に植えることで、侵入防止を図る活動もあるそうです。
彼岸花は毒抜きをすれば食用にも
「毒と薬は表裏一体」と昔からいうように、彼岸花の球根部分は漢方薬としても利用されてきました。
鱗茎は石蒜(せきさん)という名の生薬であり、利尿や去痰作用があるが、有毒であるため素人が民間療法として利用するのは危険である。毒成分の一つであるガランタミンはアルツハイマー病の治療薬として利用されている
wikipediaより
彼岸花の球根には、毒以外にもでんぷんが豊富に含まれていることを昔の人は知っていたので、
長時間水で洗って毒を取り除くことで無害化し、戦時中など深刻な米不足や食糧不足のときには、
芋類と同じくらいに貴重とされていました。
彼岸花の花は、花が咲き終わると春先にかけて葉だけになり、その姿は食用のノビルやアサツキに似ているため、
意図せず誤食してしまうケースもあるのだとか。
現在は、素人が食用として安易に毒抜きすることは危険なので、絶対にしないでくださいね!
彼岸花の毒はもぐら除けで毒性は茎にある?子供が触っても大丈夫?まとめ
秋の訪れを感じる彼岸花。毒性を必要以上に怯えることはありませんが、
毒性アルカロイドのリコリンという成分が根っこから茎、花、葉まで全体に含まれています。
大量に経口摂取しない限りは、人間が中毒症状に陥ることはありませんが、
小さい子供の場合、彼岸花を触った手を口に入れてしまうことがあるので注意が必要です。
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