山に自生し、食べてはいけない山菜類といえば、毒キノコ。
毎年9月~11月の行楽シーズンにかけては特に、毒キノコの食中毒で死亡する例も出ています。
今回は、
ヒョウモンクロシメジ
という毒キノコについて
- 中毒症状
- 見分け方
- 対処法
- 毒キノコの迷信
などまとめました。
ヒョウモンクロシメジとは?
和名 | ヒョウモンクロシメジ |
英名 | Tiger Tricholoma |
学名 | Tricholoma pardinum Quél. |
属性 | キシメジ科 キシメジ属 |
分布場所・発生時期 | 秋に御坂山地のブナ科の広葉樹林に発生 |
あまり聞きなれないヒョウモンクロシメジは、世界中に分布する代表的な毒きのこの一つ。
実は、日本ではまだ研究途上の毒キノコで、まだ図鑑に載っていない場合もあります。
特徴は、傘の色が灰色で、表面はささくれで覆われていて、傘が開くにしたがって、ささくれがとれてしまうことも。
分布は山梨県南部、甲府盆地と富士山北麓及び桂川(相模川)流域に延びる御坂山地(みさかさんち)とされています。
ヒョウモンクロシメジの毒性と中毒症状
ヒョウモンクロシメジは。味に苦味はないため、うっかり食べてしまうと、
- 嘔吐
- 下痢
- 腹痛
など、ごく少量食べただけでも、約30分~数時間で症状が出ます。
ヒョウモンクロシメジは日本では幸いにも死亡例は未だ無いようですが、
毒キノコと思われるものを食べて体調が悪くなった場合は速やかに病院へ。
その際は食べてしまったキノコを持参します。
食品衛生法第58条では、毒キノコなど有毒植物を食べた患者を診察した場合、
医療機関から保健所に届ける必要があり、厚生労働省では毎年の統計をとっているからです。
ヒョウモンクロシメジの毒性は海外では有名!
ヒョウモンクロシメジなどの「キシメジ属」という毒キノコの種類は、
主にヨーロッパやアメリカで広く分布していて、
『マイコトキシン』
というカビ菌が人間が食べることで胃腸痛を引き起こします。
ヒョウモンクロシメジは、日本では2010年ごろから発生が報告されている毒キノコで、
これまでに新潟県、山梨県などで中毒例が報告されています。
ヒョウモンクロシメジの特徴・見分け方
ヒョウモンクロシメジの英語名は
(Tricholoma=キシメジ属)
傘の表面が「ヒョウ柄」のようにまだら模様なのでその名がついたのだとか。
カサの色は
- 灰白色
- 銀ねずみ色
- 黒っぽい色
などで、裏側の「ひだ」はぎっしり密で白っぽい色をしています。
▼傘は初め半球形~開いてまんじゅう形
▼最後は平らに、または反り返ったような形になる
毒キノコ・山菜の中毒症状
毒キノコ・有毒植物と言われる山菜や薬草には沢山ありますが、誤食で食中毒を起こす事例は大変多く、
報告されているだけでも、過去10年間で約2,400人が食中毒を起こし、うち13人が亡くなっています。
野山に自生する山菜・野草やキノコ毒の食中毒発生状況(平成18~27年)
事件数 | 患者数 | 死亡数 | |
---|---|---|---|
毒キノコ | 494件 | 1,476人 | 5人 |
有毒植物 | 207件 | 977人 | 8人 |
合計 | 701件 | 2,453人 | 13人 |
(政府広報オンラインgov-online.go.jpより)
※「有毒植物」とは・じゃがいもの芽・水仙など、身近で間違いやすい植物も該当します。
症状は、食べた部分の有毒成分や量などによって異なりますが、主に
- おう吐
- 下痢
- 腹痛
などの消化器系の障害が一番多く
- 発汗
- 手足のしびれ
- 意識もうろう
- 目の瞳孔の収縮
など神経系の障害などが挙げられます。
さらに重症の場合は、
- 痙攣(けいれん)
- 脱水症状
- 呼吸困難
などを起こして亡くなる事例もあります。
特に、意識がもうろうとしていたり痙攣があるなど緊急を要する重度の症状の場合は、
気道に食べたものが詰まって呼吸が出来なくなってしまう場合があるため、
無理に吐かせようとはせず、すぐに救急車を申請する場合があります。
毒キノコかどうか分からない時
食用のキノコかどうか判断できないキノコを貰ったりした場合は、
万一の為にも速やかに最寄りの保健所へ相談してください。
図鑑やネット上の写真や絵にあてはめ、自己判断で鑑定することは避けましょう。
毒キノコの迷信とは?
毒キノコに関しては、昔からさまざまな言い伝えや迷信があり、
良く言われているものに次のようなものがあります。
・塩漬けにすると毒は消せる
・ナスと煮ると毒は消せる
・においの悪いきのこは毒、良いきのこは食べられる
・柄が縦に裂けるきのこは食べて良い
・虫の食べた跡があるのは人間も食べられる
これらは全て科学的な立証や根拠は無いため、信じてはいけません。
ヒョウモンクロシメジを“食用”と誤記載の過去
今回記事に取り上げた「ヒョウモンクロシメジ」という毒きのこ。
実はちょっとした話題になったことがありました。
▼現在は改訂版として再出版
小学館は20日、今年6月23日に発売した子ども向けの「小学館の図鑑NEOきのこ」で、毒キノコのヒョウモンクロシメジの説明文に、誤って「食用」と記載したと発表した。
同書は初版5万部を発行し1万6千部を販売。これまでに健康被害は報告されていないが回収する。
毒キノコを「食用」図鑑に誤記・小学館が回収-京都新聞2017年10月20日-
同書25ページ左下の「ヒョウモンクロシメジ」の説明文中の“食用“とあった部分↓
本を見つけたときの連絡先
小学館によると、今回読者の指摘で判明したのだそう。
この本を見たことによる健康被害などは報告されていませんが、回収を呼び掛けています。
株式会社小学館
『図鑑NEO きのこ』回収係
・住所
・郵便番号
・電話番号
記入の上、着払いでの返送を希望とのこと。
※問合せは通話無料のフリーダイヤル(0120)852-569
ヒョウモンクロシメジの毒性とは?対処法や見分け方&毒キノコの症例まとめ
行楽シーズンになると、野山を散策する機会が多くなりますが、
中には間違って毒キノコを採って食べ、食中毒になってしまう例もあります。
ヒョウモンクロシメジに限らず、キノコ類は公園や神社の境内など身近な場所にも自生しているので、安易に野生のきのこを採って食べるのはやめましょう。
食用と判断できないものは
採らない・食べない・売らない・人にあげない!
ぜひ、徹底したいものです。
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