アレチウリ(荒れ地瓜)はウリ科の大型のツル植物で、見た目はカボチャのツルにそっくり!
トウモロコシや大豆などの畑を荒らす厄介モノのアレチウリは、
強い生命力で、河川敷、焼却炉やゴミ集積地付近などにどこでも増殖するので、
あなたも一度は見たことがあるかもしれません。
他の植物を根こそぎ駆逐する恐れがあることから「特定外来生物」にも指定されているアレチウリですが、
人間が食用として実や花を食べても大丈夫なんでしょうか。
また、効率よくアレチウリを駆除する時期や方法、除草剤などはあるのでしょうか。
アレチウリ(荒れ地瓜)の実や花は食用になる?
アレチウリは、ウリ科の一年生の植物。
「ウリ(瓜)の仲間なんだから食べても大丈夫?」
と思うかもしれませんが、残念ながらアレチウリの実や花は食用に適していません。
とにかく葉や茎に細かいトゲをたくさんつけるアレチウリ。
まるで「私を食べないで!」と言わんばかりに、
特に実には硬いトゲをつけていて、実には強い苦さや渋みがあります。
それでも、
「アレチウリの葉っぱや茎を、実際に食べてみた!」
というネット上の賢者の体験談集めると…
○アレチウリの生はキュウリに似た野菜風味の匂い
○葉っぱを茹でたところ、アクも出ずに数秒~数分で柔らかくなった
○茎は茹でてもとにかく苦味が強い
○葉っぱは苦味も青臭さもなく、茹で過ぎなければ十分食材になるかも!
という意見がありました。
結果、アレチウリは、茹で過ぎなければ、葉っぱはお浸しなどで何とか食べられそう!?
アレチウリはスズメバチの大好物の花!
アレチウリは、人間にとっては厄介な植物ですが、スズメバチやミツバチにとっては重要な食料となります。
アレチウリは直径1cm程の小さな花を固まってつけ、雄花と雌花の区別がありますが、
どちらの花も多数のハチたちが、吸蜜のため飛来します。
スズメバチはアレチウリ好きなようだ pic.twitter.com/Nqvf9oz29i
— Hiromi (@smallbiowest) September 19, 2017
「アレチウリ」というのですね!瓢箪の棚が覆われてスズメバチがブンブンいっていたので、昨年収穫しそびれた瓢箪が、やさぐれて野生化したとばかり思っていました(笑)謎が解けました!ありがとうございます!RT @aiwendil1: 今日気付いたこと。アレチウリの花は虫たちの重要な食
— Makiko Kano (@mozoi) October 20, 2010
特定外来生物アレチウリ(荒れ地瓜)の生態
アレチウリ(荒れ地瓜) | |
学名 | Sicyos angulatus |
属性 | ウリ科の一年生の植物 |
原産地 | 北アメリカ |
分布 | 南アメリカ・ヨーロッパ・アフリカ・アジア・オセアニアにも外来種として分布 |
(アレチウリは)生育速度が非常に速いつる性植物で、長さ数~十数mになる。群生することが多い。果実に鋭い棘を密生する。
特定外来生物に指定されている。
引用:日本の外来種対策
キュウリやカボチャによくていて、いわゆる’野良’カボチャと見間違いやすいアレチウリ。
ツルは、長いものでは10m以上にもなり、長いツルが他の植物に覆いかぶさって、
成長・繁殖力が非常に強いことと、根が残ると再生することから、
「まわりの固有在来種が根こそぎ駆逐されてしまう恐れがある」
として、2006年(平成18年)から駆除すべき「特定外来生物」に指定されています。
アレチウリは、トゲらだけの果実が塊となって結実し、とにかく繁殖力が強い!
そして種をつける数がハンパない厄介もの。
1株当たり400~500個の種子をつけるが、ナント25,000個以上との報告もあるとか。
どうりで、抜いても抜いても生えてくるわけですね。
開花期は8~10月ですが、7月ごろにはすでに、葉は手のひらくらいの大きさになり、茎も太くなってきます。
作物の上に覆いかぶさるように、どこまでも伸びていきます。
日本への影響と分布・自生する場所
原産地は北アメリカといわれるアレチウリ。
日本国内では、昭和27年に静岡県の清水港で確認されたのが最初の生育例とされていて、
アメリカやカナダからの輸入大豆に種子が混入して、豆腐屋を中心に拡大してしまったのだとか。
現在では、北海道以南の日本各地の河川や山、畑、河川敷、焼却炉やゴミ集積地付近など、などあらゆる場所に増殖、
すさまじい繁殖力と在来種を枯らしてしまうことから、特定外来生物に指定されています。
発芽と開花時期
アレチウリの開花期は8~10月ですが、5月中旬には発芽し始めます。
最初は側枝を発達させるだけで目立たないのですが、
7月から急激に伸び、あれよあれよという間に5~6mに達します。
その後8月上旬頃から開花し始め、開花から10日ほどで結実します。
一年生草本ですので冬には枯れてしまいますが、
大量の種子を土中に残すと翌年も大発生し、次第に勢力を拡大していきます。
アレチウリ(荒れ地瓜)の駆除する時期やポイント
アレチウリのツルは、長いものは10m以上に成長してしまうため、見つけ次第すぐに駆除したい植物。
発見が遅くなれば遅くなるほど、どんどん成長してツルが絡まっていきます。
できるだけ小さく、実をつける前の、
5月頃~7月以前に、根元から抜き抜いてしまうのが一番効果的。
アレチウリの駆除の前に
まず、アレチウリは特定外来生物に指定されされた植物のため、処理や運搬が制限されているため、
抜いたり刈ったりしたアレチウリは、すぐにその場から運び出してはいけません。
天日に30分程度さらすなどすれば枯死させることができます。
刈ったものを運搬すると、余計に拡散を助長することになるからです。
アレチウリの駆除方法
アレチウリは、葉っぱをちぎったり、鎌などで刈り込んで見た目をキレイにしたとしても、
根やツルが存在する限り生き続けるので、抜本的解決にははならず、
残った部分で結実し、翌年にはまた増殖し続けます。
そのためアレチウリを駆除するときは
「人の手で1本ずつ、丁寧に、つるを根元までたどって、根元からしっかり引き抜く!」
面倒ですが、これしかないのです。
まずアレチウリのツルを1本見つけたら、必ず根を引き抜く必要があるので、ある程度目視でつるをたどっていく
↓
つるを引きはがしながら、根元に向かって手でつるをたどっていく(ちぎらないように注意しながら)
↓
根元までたどり着いたら、不用意に引っ張ってちぎらないように注意しながら引き抜く。
丁寧に根元から引き抜けば、たいていは簡単に抜けます
↓
引き抜いたアレチウリは、そのまま一旦その場においておき、天日で30分程度さらして枯死させる
できれば数日間しっかり天日干しにしたら、可燃ごみとして処分
アレチウリは、根もついた状態で抜くことができれば大成功!ですが、
すでに多数のアレチウリがからまってしまった状態では、作業が本当に厄介で手間がかかります。
8月を過ぎて成長しきったアレチウリを抜き取りをする場合には、花に集まる蜂や、ツルに生えるトゲにも注意する必要があります。
さらに、花が終わる頃にはトゲが外れやすくなるため、服にくっつく上に、皮膚に刺さると化膿することもあり、
後になればなるほど厄介ごとが増えてしまいます。
アレチウリは、いったん種を付けてしまうと、翌年に全て発芽するわけではなく、2年~3年後に発芽する場合もあるので、
継続して注意深く駆除を行うことも重要です。
アレチウリ(荒れ地瓜)を駆除できる除草剤は?
アレチウリを一気に除草剤で駆除したい!と誰しも思いますが、
もっとも効果的な防除法は、お話したように「手で一つ一つ抜き取り」になります。
アレチウリは除草剤には比較的弱いことが分かっていますが、
造林木に被害を与えずにアレチウリに効くという薬剤・除草剤はありません。
除草剤の使用について、具体的な液剤名や、適切な散布方法や散布時期については、事前に十分な検討が必要な場合があります。
詳しくは
- 環境省管轄の地方環境事務所
- 各自治体の市町村窓口にある環境対策課
などに直接問い合わせるのが確実です。
アレチウリの駆除&防除活動
アレチウリは各自治体ごとに駆除を呼び掛けています。
とくに長野県では県主体でアレチウリを駆除するために、毎年7月には「アレチウリ駆除全県統一行動日」を定め、
民間団体、市町村、県等が連携して、県下各地で、定期的に駆除作業を行っています。
また、国土交通省千曲川河川事務所は抜き取り作業によるアレチウリ駆除のマニュアルを発信しています。
- 種を付ける前に抜き取る
- できるだけ小さいうちに抜き取る
- 1年に数回抜き取る
- アレチウリが現れなくなるまで数年間続ける。
などのコツが紹介されていて、
「6月から9月に計三回の駆除作業を数年間継続しないと効果が出ない」
とも言及しています。
アレチウリ(荒れ地瓜)の実や花は食用になる?駆除できる除草剤は?まとめ
アレチウリ(荒れ地瓜)の実や花はトゲもあり苦味も強いため、通常は食用としては適していません。
自治体ごとに駆除を行っているところもありますが、
基本的には夏になる前の早い時期に、1本ずつ、人の手で、つるを根元までたどって、根元からしっかり引き抜くのが一番です。
これからもアレチウリと人類との闘いは永遠に続きそうですね。