シカの仲間の特定外来生物「キョン」が増えすぎて困るから駆除!という可哀想なニュースが後を絶ちません。
「キョンって名前が可愛い~」なんて言ってる場合じゃないほど、特に千葉県では被害が大きいのだそう。
そして、完全なる人間のエゴですが
「(シカの仲間なら)キョン肉って食用にならないの?」
という声が出るのは必須。
そもそも特定外来生物って定義がよくわからないし、どんな生き物のことを言うのでしょう。
- キョンは食べられる?
- キョンはなぜ増えた?
- 特定外来生物の意味とは
など、調べてみました。
この記事でわかること
キョン(羌)の肉は食用になる?

「キョン(羌)の肉は食べてもいいのか?」
と言う疑問。
ズバリ、キョンは食べられます。
しかも、めちゃおいしい(らしい)ので、
ジビエ料理のなかでもジワジワ人気が出てきています。
キョンの食用肉の味は?
キョン肉のお味は、ネットの口コミをみると
「驚くほど匂いやクセがなく柔らか!」
「食べやすくて、めっちゃおいしい」
と、かなりの高評価!
キョン肉の味は牛肉の赤身に似ていて、中国や台湾では高級食材の一つ。
肉質は柔らかく、脂肪分も少ないため、中国の福建料理、広東料理、台湾料理などの中華料理では、日常的によく食されています。
キョンの食用肉の通信販売は?
日本では、昔から狩猟ハンターの間では隠れた人気だったキョン肉。
近年のジビエ料理人気もあり、房総半島で大繁殖するキョンのジビエ化(商品化)が進んでいます。
Amazonや楽天など、大手通販での販売取り扱いはまだ無いようですが、
もちろん販売されてる会社もあります。
キョン肉
はじめました!!#猟師工房 #キョン #キョン肉 pic.twitter.com/FoV02ct5iW— 猟師工房ランド (@huntersworks) March 10, 2018
こちらの猟師工房さん!
⇒https://hunters-cooperative.jp
千葉県君津市にある会社で、狩猟の有効活用について一般社団法人と提携しているようです。
イノシシ肉などの他のジビエ肉を販売したり、
シカの角などのアクセサリーなんかも作ってる様子。
その他、ネットでさがしたところ、こちらの「ジビエ市場」という千葉県大網白里市の会社もキョン肉の取り扱いがあるようです↓
運営会社 | ジビエ市場 https://t.co/HUxm43qHF9
— Life Is Beautiful (@LifeIsB79799907) November 5, 2020
ジビエブームですが、狩猟だからお肉の安定供給が難しいでしょうし。
安定的に商売にするには難しい面もあると思います。
キョン肉の在庫ついては、直接お問い合わせを!
キョンの皮も利用
キョンの皮(=キョン皮)はキメがとても細かいため、セーム革(※)の中でも最高級品として人気が高い商品。
「キョンセーム」は、楽器やカメラレンズ、骨董品などの手入れや、理美容用品の素材としても使われて、
日本でも中国からの輸入品として、長年使用されてきました。
※セーム皮とはシカ,ヤギなどの皮の銀面を落として加工した革のこと
▼キョンセームを見てみる
キョン(羌)の名前の由来・漢字名は?
和名 | キョン(羌) |
英名 | Reeves’s muntjac |
中国名 | 小麂、山羌 など |
属性 | シカ科ホエジカ属に分類されるシカの一種 |
体長 | 70~100cm |
体重 | 10~15kg |
自然分布国 | 中国東部、台湾・日本(房総半島、伊豆大島)イギリス |
日本の環境省指定の特定外来生物「キョン」は、漢字で書くと「羌」!
「羌」を台湾語で読んだ
「kiong(キオン)」
に由来し、中国では「羌族」という民族の人名にも使われる漢字だそう。
大島にはキョンっていう小型の鹿が島民の人口より多いらしい!
キョンって聞いてきょんこが1番に思い浮かんだわいはヲタクだな← pic.twitter.com/1xfxvtiDJD— いが⊿ (@iga_yukyon) March 18, 2017
キョンは体高40〜50㎝、体長70〜100㎝、体重は10㎏程度の小型動物で、犬に似た鳴き声をします。
野生のキョンの生息地は、日本では千葉県と伊豆大島のみです。
キョンのメスは生後半年から妊娠可能で、出産した翌日には再び妊娠でき、
強力な繁殖力もあり、あっという間に増殖してしまうのです。
特定外来生物・外来生物の違いとは?
キョンは「特定外来生物」とお伝えしましたが、
- 「特定外来生物」
- 「外来生物」
の違いは何なのでしょう。
「外来生物」とは
“海外から日本に導入されることで、本来の生息地又は生育地の外に存する生物“
と定義される生き物で、
「外来生物法」という環境省が管轄する法律において、飼養、栽培、駆除、輸入などの取り扱いが規制されている動物です。
「外来生物」と聞くと、どうしても
“海外から意図せず日本に入り込んできた、日本の生態系に影響を与える有害な生き物“
というイメージが先行してしまいますが、
新しく定着した生物の100%すべてが、周囲に悪影響を及ぼすというわけではありません。
しかし、「外来生物」の中でも、ときには地域の生態系や人間の活動に大きな被害を及ぼすものもあります。
「外来生物法」では、生態系に被害を及ぼすおそれがあると考えられる外来生物を、
「特定外来生物」として「特定外来生物被害防止法」で別に指定されたもので、
飼養、栽培、駆除、輸入などの取り扱いを規制しています。

特定外来生物の種類
ちなみに、特定外来生物の種類については、毎年環境省が発表しています。
令和2年(2020)現在では、
・鳥類7種(ソウシチョウ)
・爬虫類21種(カミツキガメ)
・両生類15種(ウシガエル)
・魚類26種(オオクチバス・カダヤシ・ブルーギル)
・昆虫類25種(ツマアカスズメバチ)
・甲殻類6種(ウチダザリガニ)
・クモ・サソリ類7種(セアカゴケグモ)
・軟体動物等5種(カワヒバリガイ)
・植物19種(アレチウリ)
外来種の定義とは?
ちなみに「外来生物」は「外来種」と言葉が混同されがちですが、正確には定義に違いがあります。
外来種とは、海外から日本に持ち込まれた生物という意味だと思われがちですが、実際は違います。
外来種とは、もともとその「地域」にいなかったのに、人間の活動によって他の地域から入ってきた生物のこと全般を指すため、
「地域」が日本国内でも外国でも外来種となります。
外来種=全て海外からきた種という意味ではない
外来種に対して言われるのが、在来種(=本来の分布域に生息する生物)です。
しかし、たとえばカブトムシのように、
“もともとは日本の本州の南地域にしか生息していない生物が北海道に入ってきた”
という例のように、
日本国内のある地域から、もともといなかった地域に持ち込まれた場合にも“外来種”となり、生態系に影響を与える場合があります。
特にこのような事例の”外来種”のことを
「国内由来の外来種」
と言って区別することがあります。
※ただし、渡り鳥や海流にのってやってくる鳥やなどは、自然の力で移動するものなので外来種とは言いません
キョン(羌)はいつ特定外来生物に指定された?

日本でキョンが外来生物法により特定外来生物に指定されのは、2005年。
「特定外来生物」なので、在来の生物を補食したり、生態系に害を及ぼす可能性がある生物です。
きっかけは、1980年代に千葉県勝浦市の動植物園『行川(なめがわ)アイランド』(2001年閉園)で飼育されていたキョンが、
脱走して野生化してしまったことが始まりと言われています。
キョン(羌)は10年で15倍も増え続けている!
キョンが野生化した千葉などの地域は、気候が温暖で餌にも恵まれていたこともあり、その数は年々増加。
1990年頃から野生のキョンの生息が確認・問題視されるようになり
千葉県内で確認されているだけでも
・2007年には3,400頭
・2014年には47,000頭
千葉県の調査によると、現在推定5万頭以上、
平成26年度から平成30年度の5年間で1万頭以上も増加しているそう。
特に被害が大きいのは千葉県と伊豆大島。
キョンによるイネ、トマト、カキ、ミカン、スイカなどが食い荒らされ、
一般家庭にまで侵入して樹木や花を食べたりする農作物被害が深刻です。
野生化して繁殖を重ねたキョンは、現在は原産地で見られない独自の性質も身に付けていて、
恐ろしいことに、本来のキョンは草食性のはずのキョンが、
千葉県内では肉類を原材料としたドッグフードを食べている姿も多く目撃されているというのです。
キョン肉は食用になる?外来生物の定義や名前の由来まとめ
初めて聞いた「キョン」は、小さいシカで思ったより可愛い感じだったので、
なんだか駆除されるというのはちょっと切ない気がしました。
鹿に似ていて皮も使えるというなら、命をありがたく利用して、うまく調理してキョン肉を食用化する方向になれば、千葉の新しい名産品が生まれるかもしれませんよね。
どちらにしても、人間のミスによって増え続けてしまったのですから、
うまく共存できるようにしていきたいものです。