日本にも広く生息するコマドリ(駒鳥)は、英名Japanese robinと言われ、
スズメのような姿形で、顔がオレンジの可愛らしい夏の渡鳥です。
そして、ティファニーブルー=「コマドリの卵の色」と説明されることも多いのですが、
正確には、ティファニーブルーは、コマドリ(駒鳥)ではなくコマツグミ(駒鶇)という鳥の卵が元になった色です。
じつは、ティファニーブルーの鮮やかな青色の卵を産む鳥は、
カラス、スズメ、サギ、キジの仲間など幅広く、光沢のあるものや縞模様があるものなどさまざま。
そもそも、鳥の卵はなぜ青色になるのでしょう?
ティファニーブルー=コマドリではなくコマツグミの卵の色!
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ティファニーは、1837年にアメリカで創設された世界的ハイジュエリーブランドのひとつ。
ティファニーの美しいライトブルーのカンパニーカラーは
「ティファニー・ブルー(TIFFANY BLUE)」
と言われ、商標登録されている特別な色ってご存じでしたか?
ロビンエッグブルーの色合いは、ティファニーブルーとして知られています。
創設者チャールズルイスティファニーがこの独特の色を選んだ理由について明確な答えはありませんが、
19世紀のジュエリーでターコイズが人気だったためだという説もあります。
1998年以来、ティファニーブルーはティファニーによって商標登録されていて、
Pantone®カラーは「1837ブルー」と呼ばれ、ティファニーの創設年にちなんで名付けられました。
ティファニーブルー(Tiffany Blue)のPANTONE番号は「1837」。
この番号はTiffanyだけが使える色番号なので、具体的な情報は非公開、
一般的な印刷物などに使用することは出来ない、ほんとうに特別な色なんですね!
ただ、一般的な色見本の番号では、下記などが近似色と言われています▼
これらの美しいライトブルーの色は別名
「ロビン・エッグ・ブルー(Robin egg blue)」
と呼ばれ、名のとおり、ロビンRobinという鳥の卵の色から来ています。
日本では、ティファニーブルー=「コマドリの卵の色」と説明しているサイトが多いですが、
正確には、日本語でコマドリJapanese robinではなく、コマツグミAmerican Robinという種類の鳥になります。
ロビンエッグブルーは、コマツグミが産む卵の色合いに近いシアン(緑がかった青色)の色合いです。 英語での色名としてのロビンエッグブルーが最初に使われたのは1873年。
ちなみに、英語でロビン”Robin”とは、本来、ヨーロッパコマドリ(European Robin)のことで、実は、卵は青くない種類。
ただ、”Robin”は、広い意味でヒタキ科やウグイス科に属する鳥類の総称でも使われる単語なので、
一般的に英語でRobin eggと言うと、コマツグミ(=アメリカンロビン)のことを意味します。
では、ロビン・エッグ・ブルー(Robin egg blue)の色合いが美しい、
有名な8種類を早速紹介しましょう▼
コマドリ(Japanese robin)
和名 | コマドリ(駒鳥) |
分類 | スズメ目ヒタキ科 |
英名 | Japanese Robin |
学名 | Luscinia akahige |
スズメのようなぷくっとした体型で、顔のオレンジが可愛らしいJapanese Robin。
日本で”コマドリ”というと、こちらのJapanese Robinになります。
日本では夏に繁殖のため九州以北に飛来するコマドリ。
6~7月ごろに、枯葉などを使った椀形の巣を作り、緑青色の卵を3~5個産卵します。
コマツグミ(American Robin)
和名 | コマツグミ・駒鶇 |
分類 | スズメ目ヒタキ科 |
英名 | American Robin |
学名 | Turdus migratorius |
「ロビンエッグブルー」の色の素になったと言われるアメリカンロビンは、
主に、北アメリカ大陸に分布していて、日本には冬鳥として渡ってきます。
3〜5個のキレイな水色の卵を産み。卵の大きさは28mmから30mm、幅は約20mmほど。
クロウタドリ(Blackbird)
The first Blackbird egg recorded in a garden for Nest Box Challenge 2017 was 6 March. What will it be this year? https://t.co/ys8xdOcGd9 #notlongnow pic.twitter.com/WWVr5Wmgid
— BTO Garden BirdWatch (@BTO_GBW) February 18, 2018
和名 | クロウタドリ |
分類 | スズメ目ツグミ科 |
英名 | blackbird |
学名 | Turdus merula |
クロウタドリは、大型ツグミの一種。
ヨーロッパ全土ほか、5大陸で広く生息し、日本でもまれに冬鳥として渡ってくる記録があります。
卵は青みがかった緑色で、赤い斑点があり、幅は22mm、長さは29mmほどの大きさ。
ウタツグミ(Song Thrush)
Found my first song thrush fledgling of the season. A song thrush egg shell was found two weeks earlier nearby. Maybe this wee cutie was the occupant … #Aongatete #SongThrush #birds pic.twitter.com/KZFN1WcfCb
— jacqui_aotearoa (@jacqui_aotearoa) November 11, 2020
和名 | ウタツグミ |
分類 | スズメ目ツグミ科 |
英名 | Song thrush |
学名 | Turdus philomelos |
さえずりが美声のウタツグミは、黒や紫の斑点模様の光沢のある水色の卵で、幅21mm、長さ27mm程度。
日本では迷鳥で、神奈川県横浜市での観察記録があるそうです。
ヨーロッパカヤクグリ(Dunnock)
和名 | ヨーロッパカヤクグリ |
分類 | スズメ目イワヒバリ科 |
英名 | Dunnock |
学名 | Prunella modularis |
茅潜(かやくぐり)とは、イワヒバリ科の鳥のこと。
ヨーロッパ中心に、中東アジアやニュージーランドにも分布しています。
卵は滑らかで光沢のある青色で、赤みがかった斑点があり、大きさは幅14mm、長さ19mm程度。
ムクドリ(Starling)
Do egg spots influence levels of parental investment in the European starling (sturnus vulgaris)? https://t.co/31rdC0fc7K | BSc thesis, Saint Mary’s University | #ornithology pic.twitter.com/Xk2IDjhqLS
— BOU 👩🏻🏫👨🏿🏫🧕🏽👳🏽♂️ 🌈 (@IBIS_journal) June 10, 2019
和名 | ムクドリ(椋鳥) |
分類 | スズメ目ムクドリ科 |
英名 | Starling |
学名 | Sturnidae |
ムクドリ(tarling)は、パッと見は暗い鳥のように見えますが、近くで見ると美しい虹色の羽があります。
白~淡青や緑色の卵を産み、大きさは幅21mm、長さは30mmほど。
ただ、日本に広く生息するムクドリ(椋鳥)といえば、
英名 White-cheeked Starling または Grey Starlingと言われる種類で、
名前の通り、体の色が白やグレー色が強いムクドリ(椋鳥)になります。
カササギ(Magpies)
和名 | カササギ(鵲) |
分類 | スズメ目カラス科 |
英名 | magpie |
学名 | Pica pica |
日本にも広く分布しているカササギ。
卵の模様は、クロウタドリ(Blackbird)に似ていますが、
斑点のある青緑色で、幅約24mm、長さ35mmの大きさ。
メキシコマシコ(House Finch)
和名 | メキシコマシコ(メキシコ猿子) |
分類 | スズメ目アトリ科 |
英名 | House finch |
学名 | Carpodacus mexicanus |
北アメリカ大陸の西側に広く分布するメキシコマシコ。
斑点のある淡い青緑色の卵を産み、大きさは16mm〜21mm、幅は13mm〜15mmと小さめ。
青い卵を産む野鳥の種類は意外に多い!
ロビンエッグブルーの青い卵を産む鳥で、一般的に広く知られる、下記8種を紹介しました!
- コマドリ(Japanese robin)
- コマツグミ(American Robin)
- クロウタドリ(Blackbird)
- ウタツグミ(Song Thrush)
- ヨーロッパカヤクグリ(Dunnock)
- ムクドリ(Starling)
- カササギ(Magpies)
- メキシコマシコ(House Finch)
そして他にも、青い卵を産む鳥は、次のような13種類も知られています。
- アローカナ(Araucana)
- イソヒヨドリ(Blue Rock Thrush)
- ネコマネドリ(Gray Catbird)
- 羽衣ガラス(Red-winged Blackbird)
- クロムクドリモドキ(Rusty Blackbirds)
- マネシツグミ(Blue Mockingbird)
- ハワイアンガラス(Hawaiian Crow)
- 青カケス(Blue Jays)
- インドハッカ(Common Myna)
- ユキコサギ(Snowy Egret)
- ヒメアカクロサギ(Little Blue Heron)
- ムジルリツグミ(Mountain Bluebirds)
- ニシコクマルガラス(Eurasian Jackdaw)
青い卵を産む鳥は、カラス、スズメ、サギ、キジの仲間など幅広く、
ロビンエッグブルーでも、光沢有無や、斑点模様があったりとさまざま。
そもそもなぜ、鳥の卵は青くなるのでしょう▼
鳥が青い卵を産む理由
紹介したように、青い卵を産む鳥は珍しくなく、カラス、スズメ、サギ、キジの仲間など多岐にわたります。
青い理由としては、
「進化の過程で、外敵から身を守るために青空と同じ色になった?」
「水色は、白色より卵の中に紫外線を通しにくい胚を保護するための色?」
など多数の説がありますが、どんな鳥の種類でも卵が青くなる原理(仕組み)は同じです。
卵の色を決める2つの色素
”鳥の卵の殻”と言えば、白・ブラウン(褐色)・薄い黄色、水色、緑色などの色の違いのほか、
斑点模様があったり、光沢があったりなど、さまざまありますよね。
全ての鳥類の雌鳥は、生殖器系に
- プロトポルフィリン protoporphyrin
- ビリベルジン biliverdin
という2つの、卵の色や模様を決める色素を持っていて、
この2つの配合具合(濃度)によって、最終的に卵の殻の色が決まります。
卵を青くするのは、卵殻に緑色の色素を生成する分子であるビリベルジン、
ビリベルジンの濃度が高いほど、卵は青くなります。
一方、プロトポルフィリンは、卵を茶色または赤色にしたり、卵殻全体に目に見える斑点をつくる色素です。
コマドリ(駒鳥)の卵がティファニーブルーの理由!青い卵を産む野鳥21種まとめ
ティファニーのイメージカラーの色合いである
「ロビン・エッグ・ブルー(Robin egg blue)」
は、名のとおり、ロビンRobinという鳥の卵の色から来ています。
そして、「ロビン・エッグ・ブルー(Robin egg blue)」の”ロビン”は、
コマドリ(駒鳥・Japanese robin)ではなく、
コマツグミ(駒鶇・American Robin)という鳥の卵が元になった色。
幸せの青い卵を産む鳥は意外と身近に多数生息しています。
青い卵の殻を見つけたら、どんな種類の野鳥なのか、調べてみるのも楽しそうですね!