秋冬の味覚の銀杏は、美味しくてつい食べ過ぎてしまいますが、
実は銀杏(ぎんなん)は古くから
「年齢の数以上食べてはいけない!」
と言われ、中毒性の高い食べ物というのはご存知ですか?
なんと、過去には銀杏の食べ過ぎによる中毒症状で死亡例も報告されていて
日本中毒情報センターによれば、
「小児7~150個」「成人40~300個」
という、致死量も決められている食べ物なんです!
おつまみとして最適な銀杏、たくさん食べたい人にとっては寂しい量ですが、
有効な毒抜き方法などあるのでしょうか?
銀杏の有毒成分は熱に強い!
ギンナンが食中毒になる原因の正体は一体なんなのでしょう。
ギンナンの食用部分にはビタミンB6の働きを阻害する
有毒成分(4-o-メチルピリドキシン)
が含まれます。
これは熱に安定で、加熱調理しても消失しません。
日本中毒情報センター -ぎんなんについて-
と注意喚起がされています。
4-o-メチルピリドキシンはビタミンB6欠乏を引き起こす
「4-o-メチルピリドキシン・ (4-O-methylpyridoxine・MPN) 」という毒素。
別名「ギンコトキシン・Ginkgotoxin」とも言われています。
この毒素は、
という物質を作るのに必要なビタミンB6の働きを邪魔するため、
結果的に呼吸困難やけいれんを引き起こします。
しかも、この毒素は熱に強いため、焼いたり、揚げたり、ゆでたりしても毒性は失われないというから厄介なのです。
銀杏の毒抜きは可能なの?
銀杏の『有毒成分(4-o-メチルピリドキシン)』は、熱に強い性質ですので、加熱ではなくなりません。
しかし、人類はこれまで、あらゆる毒のある食べ物を、
洗ったり塩漬けしたり干して水分を抜いたりして“毒抜き”して食べてきた歴史があります。
たとえば、日本では戦時中には、彼岸花の球根を食べていたのですが、その球根には強烈な毒があります。
彼岸花の球根を、何回も水に付けて洗ってを繰り返すことよって、毒抜きをしたそうです。
ただ、銀杏の毒抜き方法については、さまざま探しましたが、見つけることが出来ませんでした。
決して自分の判断で試したりすることの無いように注意してください。
銀杏の食べ過ぎは何個まで?致死量は?
日本中毒情報センターによると、個人差がありますが、
「小児7~150個」
「成人40~300個」
が危険な致死量ラインとされています。
特に小さい子供は中毒を起こしやすく
“7粒食べただけで中毒を起こした“
という事例もあるので要注意です。
銀杏を食べすぎるとどうなる?
ギンナンを食べ過ぎると
1~12時間
と比較的すぐに痙攣(けいれん)などの症状があらわれます。
90時間以内(半数は24時間以内)
で回復に向かうことが多いとされています。
銀杏毒素が興奮状態を引き起こす
銀杏の毒素が、神経の興奮を抑えるGABAを少なくしてしまうということは、
脳や体が過度の興奮状態になってしまうということ。
それによってさまざまな中毒症状が表れます。
嘔吐と痙攣(けいれん)
手足の麻痺
不整脈
鼻血が出る
呼吸困難
おう吐
めまい
腹痛
顔面蒼白
不整脈
高熱
など、おもに小さい子供に症例が多く、中毒症状も出やすい傾向にあります。
銀杏中毒の報告数
引用:日本中毒情報センター
ギンナン食中毒は、2016年は22件の中毒事故の報告があり、
毎年、11~1月の冬のシーズンに事故が多発します。
過去には死亡例もあり注意が必要です。
今までの事例だと
・1歳の子供が約7時間で50個食べ、3時間後に全身性けいれん発症
・2歳の子供が50~60個食べ、7時間後におう吐、下痢、9時間後に全身性けいれんを発症
・41歳の女性が60個食べて嘔吐、下痢、震えの症状
東京都福祉保健局 食品衛生の窓より
などがあります。
銀杏中毒になったら…家庭でできること
異変があらわれたら、もちろんすぐに医療機関を受診する必要がありますが、
処置の注意点として、次のようなものがあります。
【家庭での可能な処置】
痙攣を誘発するため吐かせてはいけない
【医療機関での処置】
症状が一時的に治まっても再び痙攣が起こることがあるので、
入院させて経過を見る。痙攣を誘発するので、催吐・胃洗浄は行わない
日本中毒情報センター 薬剤師・看護師向け中毒情報より
銀杏を大量に食べて異変が出た場合は、何とか食べてしまったものを無理に吐かせようとしてしまいがちですが、
一番怖いのは、痙攣を誘発してしまうこと。
ですから、家庭では
・痙攣(けいれん)を誘発するので、無理に絶対に吐かせない
・症状がたとえあらわれていなくても、大量に食べた時は医療機関を受診する
などを心がけておきたいものです。
銀杏中毒と銀杏アレルギーの違い
「銀杏中毒」と「銀杏アレルギー」は、全く違うものです。
混同しやすいので注意が必要です。
中毒症状
中毒症状は、
「毒性をもつ物質を許容量以上に摂取する」
ことで発症する症状。
つまり、毒性がある物質(銀杏)であっても、摂取量を守って食べるのは問題無し、
逆に、摂取量さえ守れば無害で安全といえるでしょう。
ただ、許容量を超えてしまうと中毒症状は発症します。
「前回20個食べても大丈夫だったから、今日も20個食べて大丈夫」というわけではなく、
その時の体調や栄養状態、年齢によっても許容量は違ってきます。
アレルギー症状
アレルギー(食物アレルギー)症状とは、
「特定の物質に対して過剰に免疫反応が生じる」
ことによって発症するもので、
食べるだけでなく、触ったりしても皮膚炎をおこしたりします。
銀杏アレルギーの人は、中毒症状とは違って《一口目ですでに致死量》なのです。
食物アレルギーは、成長による体質の変化で、急に発症することもあるため、
少しでも異変を感じたら、まずは医療機関にお問い合わせください。
銀杏のカロリー&栄養・効能
炭火であぶってよし、電子レンジでチンもよし、茶わん蒸しのお供によし…
塩で炒ったり揚げたりと、おつまみに最高の銀杏。
食べすぎには注意が必要ですが、
適量を守ればとても栄養価が高い食材。
1個(粒)あたり約3g、6kcalくらいです。
・ビタミンC
・ミネラル類(カリウム・マグネシウム・リン・鉄分)
など、特に丈夫な骨を作るのに欠かせないミネラル類を沢山含んでいます。
中国では漢方薬としても大活躍
「銀杏」と漢字で書いて
『いちょう』(多くは銀杏の葉を意味)
『ぎんなん』(多くは銀杏の実を意味)
と、日本語では読み区別しますが
中国語ではどちらも「銀杏・インシン」
と発音します。
銀杏は漢方の世界で、中国でも日本でも古くから民間療法や漢方の世界で使われていて、
せきや痰、頻尿・夜尿症
などの改善に効果があると重宝されてきました。
銀杏葉の効能
ギンナンと言えばその葉っぱ、
イチョウ葉・銀杏葉(ぎんきょうよう)
にも優れた効能があります。
イチョウ葉エキス・イチョウ葉サプリ・イチョウ茶は有名ですね。
抗酸化作用
血流改善作用
認知症予防
記憶力向上
頭痛・耳鳴り・めまい・肩こり
アレルギー抑制
などさまざまな効果が期待され、欧米でも人気があるんですよ!
銀杏おつまみは茶封筒&レンジで簡単に!
ギンナンは、特別な調理をしなくても、
・茶封筒
・塩
があれば、レンジで気軽で立派なおつまみに出来るのはご存知ですか?
↓
↓
↓
↓
↓
ついつい何個もつまんでしまいそうですが、そこはグッと我慢ですね(涙)
おばあちゃんの教えは守るべし!
実際、戦後の食糧難時代には、銀杏中毒の事故が多発し死亡例も珍しくは無かったとのこと。
おばあちゃんの知恵袋の一つとして
「年齢の数以上食べてはいけない!」
というのは守った方がいいですね。
ギンナンに限らず、どんな食べ物でも大量に食べることで中毒症状を起こす可能性はあります。
を心に刻み、ほどほどに・適度に楽しんで食べることを心掛けましょう。
銀杏(ぎんなん)食べ過ぎは何個まで?中毒や致死量がある?まとめ
街中や神社の境内などで、美しい黄色に染まる銀杏の木。
観賞用としての需要も高く、銀杏の落葉は古くから日本人にとって馴染みの深いものですね。
ついついこの時期美味しくていくつもパクパク食べてしまうギンナン。
適量を守れば体にうれしい効果がいっぱいですが、
食べ過ぎると間違いなく『毒』となります。
秋冬の味覚を安全に美味しく堪能しましょう♪