栄養豊富で健康食品としても注目されているナッツのクルミ。
日本では皮をむいてロースト(素焼き)されたものが一般的ですが、
実は、皮をむいて取り出した生のクルミも、そのまま食べられます。
生のクルミは青臭さなどは全くなく、甘くて美味しいので、ついパクパク沢山食べてしまうのだとか。
でも、クルミって生でたくさん食べても危険性や毒性は大丈夫なんでしょうか?
また、ローストしたものと栄養価は違うのでしょう。
生クルミはそのまま食べられる!
クルミは、生でもローストでも、どちらもおいしく食べられます。
日本では、ローストされた(炒ってある素焼きのもの)が売っていることが多いクルミですが、
海外では殻付きの生のまま売っていることも珍しくありません。
アメリカ在住の友人に聞いたのですが、アメリカではクルミを殻ごと量り売りで購入することが多く、
自分で家で殻を割って、新鮮なクルミを生のまま食べる人も多いのだとか。
世界を見渡せば、アメリカだけでなく、カナダやヨーロッパ諸国の人もクルミは生食する習慣があり、
日本のようにクルミの生食になじみがない方がむしろ少数派なのかも。
生くるみの味付けは?
生クルミは何も味付けしないでも、自然の甘みがあっておいしいですが、
物足りない場合は、塩やはちみつなどをかけるのが定番です。
日本で生クルミはスーパーで滅多に見かけませんが、通販ではたくさん販売されています。
すでに殻を剥いた状態で新鮮な状態で包装されていて、
大抵無塩タイプで味付けはされていないため、自然のままのクルミをそのまま味わうことができます。
もちろん、ヨーグルトに入れたり、お菓子やパン作りに使ったりと、
ローストクルミ同様に用途は幅広く使えます。
生クルミは2時間浸水(ソーク)しよう!
生クルミはそのまま食べても良いですが、浸水(ソーク)することでより安心して食べることができます。
「ソーク」とは英語で「soak」、「浸水する」、「水につけておく」という意味。
浸水(ソーク)のやり方は簡単で、剥いた状態の生クルミを、ボウルに張った水に2時間程度浸けておくだけです。
なぜ水に浸したほうがいいかというと、タンパク質消化の妨げになる酵素抑制物質が含まれているため、
浸水することで物質を取り除くことができるから。
しばらく浸けておくと水が黄~茶色に変色しますが、これがクルミに含まれる酵素抑制物質が抜けたサインです。
浸水することによって味が劣化することはなく、逆に渋皮の渋みを感じにくく、食べやすくなります。
そのため、食べる前に浸水するひと手間かけることがおすすめ!
ただ、まる1日以上などあまり長時間浸していると、クルミにカビが発生する恐れもあるため注意してください。
ソークをする意味
「ソーク」は、火を使わないローフードの基本的な調理法としても知られていて、
ナッツ、豆類、穀類を浸水させることを言います。
ソークは、水でふやかして、食べやすくするという意味もありますが、もっと大事な意味があります。
実は、ナッツ、豆、穀類などは、そのまま生で食べると、とても消化が悪くカラダに負担がかかる食べ物なのです。
その理由は、酵素抑制物質が働いているから。
ナッツ、豆、穀類、つまり「種子」というのは、植物の中核になるなる部分で、発芽にちょうどいい環境が訪れるまで、じっとしていたいのです。
そういうわけで、堅い殻に覆われている種子は、植物の成長を促すための酵素をもっていますが、
発芽する環境が整うまでは、酵素の動きを止めておかなくてはなりません。
その役目をしているのが酵素抑制物質です。
「ソークする」という行程は、酵素抑制物質を取り除く為に重要な作業。
酵素抑制物質に、毒性などの危険性があるわけではありませんが、
体の中に入ると、タンパク質消化の妨げることで体には余計負担がかかってしまい、
消化不良を起こし、不要なガスがたまったりすることもあります。
ですから、生のナッツや豆、穀類などを食べたり調理する場合は、
前もってたっぷりの水につけておくのが良いでしょう。
そして、つけておいた水は使わないで捨て、流水でさっと洗ってから使います。
生クルミとローストの栄養の違い
生クルミは「生」というだけあって、食感は柔らかかく、
クルミそのものの素朴な香りが味が楽しめて美味しいです。
一方、ロースト(素焼き)されたものは、香りがよくてカリッと歯ごたえがいいのと、良いですよね。
おいしさは好みが分かれそうですが、生とローストしたクルミでは、
肝心の栄養の面で差はあるんでしょうか?
くるみはナッツ類でオメガ3脂肪酸を最も多く含んでいます。さらにポリフェノールやメラトニンなど、抗酸化値がナッツ類で最も高く、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB6、葉酸、マグネシウム、銅、亜鉛などのビタミンやミネラルをはじめ、食物繊維など健康維持、増進に必要な成分が豊富に含まれます。コレステロールゼロ、低糖質でグルテンフリーのくるみは、今話題のさまざまなダイエットにも最適、バランス良く栄養素を補給するのに適した食材と言えます。
引用:くるみの栄養価 | カリフォルニア くるみ協会 公式サイト
クルミはブレインフード!
ブレインフードとは、脳にとって重要な栄養素を含み、脳機能や脳伝達をスムーズにするといわれ、
いわゆる頭の良くなる食材と言われています。
クルミには、脳に働きかけるブレインフード「オメガ3脂肪酸」が豊富に含まれていています。
オメガ3系脂肪酸といえば、青魚に多く含まれるEPA、DHA、α-リノレン酸の3つが知られていますが、
クルミはα-リノレン酸が豊富で、ナッツ類のなかで断トツ1位の含有量。
α-リノレン酸は、人の体内でつくることができない必須脂肪酸で、
体内に入ったあと、代謝されてEPA、DHAとなり、普段から不足しがちな脂肪酸の一つです。
生クルミの特徴
クルミに含まれるビタミンは熱に弱い性質のため、ローストすると減少してしまいます。
また、クルミに含まれるたくさんの良質なオメガ3系の脂肪酸は、加熱すると酸化が進んでしまいます。
酸化した油が体に悪いというのは、言わずもがなですよね。
クルミは生で食べることで、柔らかい食感とクルミ本来の甘みを楽しむことができ、
クルミに含まれるオメガ3脂肪酸や、熱に弱いビタミン類も効率よく食べることができます。
ローストクルミの特徴
生クルミのメリットを知ると、
「じゃあ、クルミは栄養面ではローストしないほうが良いのでは?」
と思いますが、いえいえそんなことはありません!
ローストしたクルミは、ポリフェノールが生クルミよりも2倍にアップするのだそう。
ポリフェノールは、抗酸化作用が高まるため、アンチエイジングには最適です。
また、さきほどの種子がもつ酵素抑制物質は、45度以上の加熱で壊れるため、
ローストすれば水に浸してソークせずとも取り除くこともできます。
ローストしたクルミはカリッと軽い食感に変化し、香ばしさがアップするので
個人的にも食べやすい気がするので、断然ロースト派ではありますが、
栄養素的に見ても、生のままでもローストしたもでも双方に利点があるので、
自分に必要な栄養を考えて、両方を食べていくのが一番いいかもしれませんね。
生クルミの保存方法や賞味期限
生クルミは、殻ごとの状態か、皮をむいて真空パックにされた状態など、
賞味期限は加工状態によって異なりますが、
真空パックなどできちんと密封しておけば、冷蔵庫で半年、冷凍庫なら一年でも保存することが可能です。
殻付きのクルミは冷暗所で保管すれば、常温でも数ヶ月は鮮度を保つことができます。
いずれにしても、クルミは脂質が酸化しやすいため開封後は早めに食べ切ることが大切、
殻付きの場合は、使う分だけ都度殻を剥くことがおすすめです。
ローストしたクルミは直射日光と高温多湿を避けた場所で保管、生クルミの保管は冷蔵庫が最適です。
もちろん、賞味期限内であっても、ペンキのようなツンとした匂いがしたら、
腐りかけていたり酸化していたりしている可能性があるので、食べることはやめましょう。
生クルミの割り方と家庭でローストする方法
市販のクルミはローストされた状態であることが多いですが、生クルミを自分で簡単にローストすることも可能です。
※ローストする場合はクルミを浸水しておく必要はありません。
・電子レンジの場合:耐熱皿に並べて、2分おきに混ぜ、5、6分加熱
・フライパンの場合:油は引かずに弱めの中火で2、3分煎る
生クルミの割り方
ちなみに、日本では殻付きクルミの輸入がNGのため、国内で流通している殻付きクルミはすべて国産です。
生クルミは殻が硬いため、基本的にはクルミ割り専用器を使って殻を割り、中身を取り出して食べます。
硬い殻のクルミは割るのが大変ですが、クルミ割り専用器が無くても、
お家にあるマイナスドライバーや金づちなどを使っても割ることができます。
- 洗ったくるみをフライパンに入れて中火にかけ、パチパチ音がしてきたら弱火に
- 殻のつなぎ目が割れてきたら火を止め、蓋をして10分蒸らす
- 割れ目にバターナイフやマイナスドライバーなどを差し込んで、パカッと開く
- キリや金串で中身を丁寧に取り出す
割り方については、他にも最初に殻ごと水に一晩つけて殻を柔らかくしてから炒ったり、
水に浸さずに、殻を叩き割ったりするなど。ほかにもさまざまな方法があります。
なお、クルミの表面の薄い渋皮は削りとらなくても大丈夫ですが、
取り除くと渋みがなくなって味がまろやかな味わいになります。
クルミの安心な食べ方!一日の適量を守って食べよう
クルミは栄養豊富で美味しくてついつい食べすぎてしまいがちですが、
カロリーが高いため食べ過ぎには注意が必要です。
クルミは、1個(約4g)あたり27kcalもあり、
1日7粒(28g)程度(片手でひとつかみ分くらい)が一日の適正量です。
適量を継続的に食べることで、クルミに含まれる栄養素が健康に良い影響を与えます。
おすすめの生クルミ3選
具体的におすすめの生クルミを紹介しましょう。
>カリフォルニア産クルミ
クルミの産地カリフォルニア州、生クルミ。
袋にチャックが付いているため、密閉して冷蔵庫などで保存すると品質を保ちやすくなります。
>オーガニックのクルミ
無塩・無添加・植物油不使用でクルミのおいしさそのままに。
>国産クルミ
日本のクルミ産地といえば長野県産。生産者直販の国産クルミです。
生クルミってそのまま食べられる?ローストとの違いや保存方法と栄養まとめ
クルミは生クルミと、ローストされたクルミ(素焼きクルミ)の2種類があり、どちらもそれぞれ利点がありました。
生クルミは2時間ほど浸水(ソーク)することでよりカラダに効果的、殻つきのほうが長期保存が可能です。
殻付きの生クルミを見かけたら、ぜひ試してみてくださいね!