栄養満点のゴーヤは、夏バテの強い味方として全国的に人気の野菜。
しかし、ゴーヤ独特の苦みが苦手という方も多く、
「まずワタや種をとり、塩もみして苦みを和らげましょう」
という下ごしらえ方法が紹介されることが多いのではないでようか。
しかし、この塩もみの下ごしらえ方法、栄養面的にかなりモッタイナイことをしています!
ゴーヤ独特の苦みが苦手で、いままで敬遠していた方も、
ゴーヤの栄養を最大限に生かしながら、苦みを抑えておいしく食べる方法も紹介します。
ゴーヤの下ごしらえで塩もみする理由
本場沖縄の人のゴーヤの食べ方といえば、ご存知ゴーヤチャンプル!
沖縄では、塩もみなどはせず、分厚く切ったゴーヤを、熱した鍋でさっと炒めてるのが沖縄流。
しかし、一般的にゴーヤは、栄養価が高いと分かっていても、野菜独特の「苦み」が苦手という人も多く
「ゴーヤは調理前にワタと種をしっかりスプーンでとり、塩もみして苦みを和らげましょう」
「苦みをとるときは、薄めにきって塩でもみ、塩水に数時間浸しておけば苦みはなくなります」
などとは聞きますが、理由はなぜなんでしょう。
ゴーヤの苦みの正体
ゴーヤのは、苦味タンパク質として
- モモルディシン(momordicin)
- チャランチン(charantin)
- コロソリン酸
- ククルビタシン(cucurbitacin))
という苦み成分がたくさん含まれています。
とくに「モモルディシン(モモルデシン)」はゴーヤ特有の成分で、
水に良く溶け出す水溶性のため、
塩揉みする事で細胞を壊し、水分を引き出す時に一緒に出て苦味が和らぐと言われてます。
また塩には、野菜の殺菌効果もあるため、ゴーヤについた不要な汚れや菌も、
一緒に洗い流してくれる効果があるため、塩もみをするのは理にかなった下処理方法です。
ゴーヤの苦みの成分は夏バテに効果的
“良薬は口に苦し”とは昔からよく言われます。
何を隠そう、ゴーヤの苦味の主成分成分「モモルディシン(モモルデシン)」こそが
ゴーヤが夏バテに強い味方となってくれる成分でもあるのです。
「モモルディシン(モモルデシン)」は他にも、整腸作用はバツグンで、
ビタミンCも豊富なため、シミ、ソバカス、肌荒れ、食欲増進効果や血糖値を下げる効果まで期待できるそう。
ですから「塩もみ」はほどほどにしないと、せっかくのゴーヤの栄養が流れてしまうのですね。
ゴーヤはワタも種も食べらて栄養たっぷり!
「ゴーヤはワタがいちばん苦い」
ということもよく聞きますが、じつはこれは間違い、誤りです。
ゴーヤは、表面の緑色の濃い部分やイボの表層の方が、どちらかというと苦みを強く感じます。
実はゴーヤの「わた」はそれほど苦みは少なく、
そしてビタミンCにおいても実や皮の部分よりも、
ワタや種の部分のほうが3倍も多いことがわかっています。
ワタの食感が気になって食べにくい場合は、まるごと輪切りにして天ぷらや揚げ焼きにしたり、
ワタだけお味噌汁にしたりすれば、食材のムダなく使い切ることができます。
ゴーヤの塩もみは栄養価を大幅ダウンさせてしまう!
ゴーヤは塩もみするデメリットは、ゴーヤの苦み成分を流してしまうだけでなく、
一番の栄養素「ビタミンC」が20%近くも減ってしまう結果に。
ゴーヤが「夏バテによい」といわれているのはビタミンCの豊富さゆえ。
ゴーヤの苦み成分は、胃液の分泌を促進し、食欲を増進させる働きもあるため、
夏バテで食欲がないときには特に摂り入れたい成分です。
ですから、ゴーヤは下処理の段階で、可能な限り苦み成分を残したうえで、
苦みが気にならない下処理や調理法が、最も理想的なのですね。
ゴーヤの苦みをなるべく減らす下処理方法3つ
では、具体的にどうやってゴーヤの苦みを減らしつつ、
かつ栄養をなるべくキープしながら下処理をすればいいのでしょうか。
方法1)塩もみする
方法2)薄めにきって塩でもみ
2mm~5mm程度を一応の目安の範囲として切っていきましょう。
たとえ多少厚めに切っても、
このあとご紹介する調理法を工夫することで苦みを気にせず美味しく食べることができます。
方法3)砂糖と塩でもむ
意外ですが、「塩もみ」も「砂糖」を加えることで、より多くの苦みを減らすことができます。
切ったゴーヤをボウルに入れ、ゴーヤ1本に対して、下記の分量を入れて、
手でもみこんで、そのまま10分程度放置します。
- ゴーヤ … 1本
- 塩 … 小さじ1/2
- 砂糖 … 小さじ2
砂糖を加えてもんだからといって、不思議と甘くはならず、
塩だけの時に感じる塩のきつい辛さが、砂糖が加わると丸みのある塩辛さに感じます。
塩もみのときと同様に、10分ほど放置して、出てきた水分を取り除けば完了。
ゴーヤが夏バテ対策に人気の理由
「ツルレイシ」(蔓茘枝、蔓荔枝)は、一般的には「ニガウリ(苦瓜)」もしくは、
沖縄の方言「ゴーヤ」という言い方が全国的に定着している夏野菜。
沖縄ではむかしから身近なローカル食材だった「ゴーヤ」は
・夏バテ予防・疲労回復に
・血糖値が気にある方に
・生活習慣病予防に
・むくみ、便秘解消に
・美肌作りとアンチエイジング
など、栄養価が高く、特に夏バテ予防に最適な野菜として知られています。
栄養価の高さから「健康に良い」とメディアで紹介されたり
夏の暑さをしのぐための日除けの“緑のカーテン”として、
一般家庭でもカンタンに栽培できることもあり、近年は全国的な人気食材となっています。
ゴーヤの原産地
ゴーヤの原産地は熱帯アジアで、日本では南西諸島と南九州で多く栽培されています。
収穫量は沖縄県がシェアの3割以上を占め、2位以下には鹿児島県、宮崎県、熊本県、長崎県が続きます。
ゴーヤは産地や品種によって味や苦みが違う!
ゴーヤは苦みが苦手な人のために、年々品種改良されて、苦みを抑えた品種もどんどん出ています。
ゴーヤといえば緑色ですが、「白ゴーヤ」「アップルゴーヤ」などという名の、白色のゴーヤも見かけるようになりました。
緑色のゴーヤより苦味が少なくて、食べやすいとひそかに人気が高まっています。
産地でいうと、本場沖縄のゴーヤは意外なことに、もともと苦味レベルは控えめなほう。
形はずんぐりむっくりした品種が多く「サラダでも食べられます」などとパッケージに表示があれば、苦みが少ないゴーヤと言えますね。
いっぽう、九州地方でとれるゴーヤは苦味が強い傾向にあります。
特に細長いものは昔から育てられていた固定種で、非常に苦いため、ゴーヤの苦味が好きな人には最適。
ただ、現在では苦味の少ないゴーヤが人気のため、苦味を抑えられた品種も多く出回っているため、
産地だけで判断するのは難しいかもしれません。
ゴーヤの栄養は熱に強いビタミンCが豊富
ゴーヤの主な栄養素は
ビタミンC、ビタミンB1,B2、葉酸、カリウム、カルシウム、鉄、食物繊維、ミネラルなどが豊富に含まれています。
ゴーヤはレタスなどとほぼ同じ低カロリーながら、
ゴーヤ1本あたりのビタミンC含有量は、はトマトやキュウリの5倍以上も含まれていて、
レモン1個の果汁よりも多いとされています。
また通常ビタミンCは加熱に弱い成分ですが、
ゴーヤのビタミンCは野菜の中でも珍しく加熱に強いビタミンCとして知られています。
ゴーヤの苦みが苦手な人にもおすすめの食べ方
「ゴーヤがどうしても苦手!でも栄養たっぷりなゴーヤを食べたい!」
という人に、苦みを抑える方法をまとめると
- 苦味の少ない品種を選ぶ
- 表面の緑色のイボや表層を削り落としてしまう
- 薄切りにし熱湯でさっと下茹で
- 一晩以上塩水に漬け置く
- ゴーヤの苦みを低減する作用がある鰹節をまぶす
- 油で炒める
などの選択肢があります。
ゴーヤは、生のままだと苦くて食べられなくても、
炒め物にして熱を加えたり、油を使って甘めの味付けにすれば苦みが気にならなくなります。
それでも苦みが気になる場合や、和え物などで使う場合は、
塩もみの下処理の後に、さらに数秒ほどさっと下茹でしてさらに苦みを飛ばしましょう。
鰹節を加えるのはなぜ?
ゴーヤの苦みには、カツオブシのうま味を強く感じさせる働きがあります。
お浸しに、チャンプルに、出来上がりにさっとかければ、
苦みを抑えずうま味プラスでよりおいしくいただくことが出来ます。
油で炒めると苦みが抑えられるのはなぜ?
ゴーヤの苦み成分「チャランチン」は、油に良く溶ける脂溶性。
チャンプルーなど油で揚げたり豚肉などと炒めると苦味が和らぎます。
ゴーヤの下ごしらえで塩もみする理由まとめ
ゴーヤの下ごしらえで塩もみする理由は、苦み成分を取り除いて、殺菌効果を高める効果があるから。
ただ、肝心な栄養成分が溶け出してしまうので、塩でもんで長時間放置はお勧めしません。
ゴーヤは、ワタや種にこそ栄養価が高く苦みは少ないので、捨てることなく食べましょう。
ゴーヤを美味しく食べて、厳しい夏を乗り切りましょう!
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