「大変だと思いますがご自愛ください」
「大変だと思いますがお体に気を付けて」
「大変だと思いますがよろしくお願いいたします」
「大変だと思いますが頑張ってください」
相手を気遣う・労うメールを送るとき、いろいろと使える
「大変だと思いますが」という敬語表現。
ビジネスの場で上司に敬語として使って失礼はないのでしょうか?
注意!「大変」は基本的には上司には不適切
結論からいますと
「大変だと思いますが」
「大変だとは思いますが」
「大変とは思いますが」
「大変とは存じますが」
「大変な中」
という、一見丁寧な「大変」という表現の言葉ですが
じつはビジネスの場において目上の人や上司には不適切な場合が多い敬語表現です。
「大変」というのは相手を気にかける言葉ではあるももの
”上司=大変な立場にいる人”
という、相手のキャパ(許容能力)を最初からあなたが決めつけている印象があり、
やはりどこか上から目線な印象を持たれかねない言い方だからです。
「大変かと思いますが…」は、どうしても立場が逆転していると受け取られる場合もあるため
目上の人や上司に使うのはおすすめしない表現です。
反対に、部下を励ます言葉としては
「大変だと思いますが、頑張ってください」
など、「大変だと思いますが」を一言付けるだけで
一気に相手を思いやる気持ちがプラスされて印象が良くなります。
部下も、あなたに”自分の努力を認めてくれている”と感じ、
より一層気持ちよく仕事をこなしてくれることでしょう。
上司に「大変」が使えるのは相手に賛同するとき
ビジネスの場で目上の人や上司に対して、
「大変かと思いますが」は不適切な場合が多い敬語表現とお話ししましたが、
場合によっては「大変でしたね」と過去形に表現を変えると、相手の受け取り方は変わります。
これは、目上の人や上司が
「あの時は本当に大変だったんだよ~」
と言ってきた場合に、
「それは大変でしたね」「大変ですね」
と、ややカジュアルな相槌を打つような場合です。
このように使う「大変」は
あくまで相手に賛同・共感するという場合なので
あなた発信で【相手=大変な立場にいる人】と言ってるわけでは無いからです。
基本的にビジネスシーンで「大変」という言葉を使うときは
「大変お世話になりました」
「大変感謝しております」
など、「大いに」という意味で、
自分の気持ちを表す際に使うことが多いでしょう。
「大変だと思いますが」は「大変かと思いますが」がより丁寧
「大変かと思いますが」は、部下や同僚に向かって気遣いの気持ちを込めて使うことは問題ないものの
目上の人や上司には、時には不快な思いをさせかねない言葉とお話ししました。
ただ「大変だと思いますが」という敬語表現は、
一文字違いの「大変かと思いますが」という敬語表現にしたほうが、
より丁寧な印象が相手に伝わります。
「大変だ」→「大変かと」という、たった一文字の違いですが
【断定】の「だ」を、【仮定】の「かと」にすることで
「相手の状況=忙しい人に違いない」
という意見を伝えるときの、相手への印象を和らげてくれる効果があるからです。
また「大変だと思いますが」「大変かと思いますが」を使う際は、
具体的に何について気遣っているのかを明確にすることが大切です。
例えば、最近ケガをしてしまった人に対して
「お怪我をされている中、お仕事大変かと思いますが…」
と伝えても良いですね。
具体的な相手の状況を加えることで、相手も何について心配してくれているのかが伝わりますし、
より一層、気遣う気持ちを表現することが出来ますよ。
大変だと思いますがの言い換え・類語
目上の人や上司に「大変だと思いますが」という敬語表現は、
状況に合わせていい方を変えてみましょう。
いくつかの「大変だと思いますが」を別の敬語表現に変えた例文を紹介します。
「ご多忙とは存じますが」
「ご多忙とは存じますが、ご検討のほどよろしくお願いいたします」
相手が忙しい状況を分かっている上で、決断を催促するときに使います。
「大変だと思いますが」に一番近い意味合いで、最大限に丁寧な言い換えになります。
ただ、仕事の取引先の相手などには自然に使用しますが、
普段から接している上司などに対しては。少し仰々しい印象を与える場合もあるかもしれません。
そのような場合は、下記の「お忙しいとは思いますが」「恐れ入りますが」などを使った方がよいでしょう。
「お忙しいとは存じますが」「お忙しいとは思いますが」
「お忙しいとは存じますが」
「お忙しいとは思いますが」
「お忙しいとは存じますが」とは、「お忙しいとは思いますが」の敬語表現です。
敬語表現の「存じますが」は、相手の立場を高める謙譲語ですので、
「思いますが」より丁寧な印象を相手に与えることができますね。
ビジネスシーンではクッション言葉として口頭でも書面でもよく使用されます。
相手に催促や依頼をする時、アポイントをとりたい時など、
「お忙しいとは存じますが」を文頭につける事によって、
「あなたの貴重な時間をいただく事は十分わかっているのですが…」と、
謙虚な気持ちを表すことで、相手への印象が良くなりますよ。
「お忙しいところお手数をおかけ致しますが」
「お忙しいところお手数をお掛け致しますが、どうぞよろしくお願い致します」
「大変だと思いますが」の代わりに「お忙しいところお手数をお掛け致しますが」で柔らかい言い回しにすることも可能です。
「大変だと思いますが」はやや直接的な言い方ですが
「お忙しいところお手数をお掛け致しますが」はより真摯にお願いしている旨が相手に伝わります。
「恐れ入りますが」「恐縮ですが」
「恐れ入りますが、折り返しお電話いただけるようお伝え頂けると幸いです」
たとえば、電話をかけて相手が不在だったときに使用します。
これは相手を気遣うというより、自分が”恐れ多い”というニュアンスを伝えています。
ただ、目上の人や取引先のお客様に折り返しの連絡を依頼するのは、
そもそもあまり好ましいことではないこともあるので
相手によってはこちらから電話をかけ直すようにしましょう。
「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんが」
「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんが再度おかけ直しください」
「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんが、ご理解とご協力お願いいたします」
「大変だと思いますが」は相手の状況を気遣って言う言葉ですが、
本当に相手に実際の作業が発生してしまうことに対してお詫びを入れたいときは
素直に謝る形を取るほうが自然です。
例文は、繋がらないコールセンターの音声アナウンスだったり、
サービス変更などで、顧客が手順を変えなければならない場合などによく見かける文章ですよね。
「ご理解とご協力」のセットで使うと「ご協力」だけを使うよりも少し丁寧な印象を与えることができます。
まとめ:相手を気遣う気持ちを大切にしていきましょう!
相手の状況を気遣いながら、自分の気持ちを伝えるのは大事なことですから、
単に「お願いします」とだけ言うよりも、「大変だと思いますが」と付け足すことで、
相手が大変な事を分かったうえでの緊急度の高いお願いをしていることを相手に伝えることができます。
ただ「大変だと思いますが」という敬語は、部下や同僚に「気遣い」の気持ちを込めて使うことはできますが、
上司や目上の人に使う場合は、上から目線と取られて不快な思いをさせかねない言葉のため注意が必要です。
「お忙しいとは存じますが」「恐縮ではございますが」
など、状況や相手に応じて使い分けてみてくださいね!
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知っておくだけで、仕事をスムーズに進んで、あなたの印象もグッと良いものになるでしょう。
「ご自愛ください」「ご縁がありましたら」も便利なフレーズなので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
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