生ニンジンがビタミンCを破壊して害毒に?酵素とアスコルビナーゼの正体とは

人参

 

手軽な値段で栄養豊富なニンジンは、野菜スティックなどのサラダや酢の物など生食しやすい野菜のひとつ。

ところが、

生ニンジンを他の野菜といっしょにとるとビタミンCが破壊されるらしい?

という話を聞いたことはないでしょうか。

ニンジンを加熱せずに食べると体にどのような影響があるのかは、あまり知られていませんが、

何らか体に害毒があるのでしょうか?

この記事では、人参を生で食べることのメリットやデメリットを紹介します。

 

生ニンジンに毒があるって本当?

 

結論から言うと、生ニンジンに害毒は、ありません。

それどころか、アメリカの研究では、人参はがん予防も期待できる野菜として注目されています。

 

フレンチ風の洋食店などにいくと、生ニンジンの千切りをビネガードレッシングで和えたサラダがあります。

それは「キャロット・ラぺ」といって、フランスでは定番のお惣菜、

レーズンやクルミを加えてアレンジすることもよくあります。

 

歯ごたえがあるので満腹感もあり、ダイエットにも最適な生ニンジン。

ニンジンに豊富に含まれるビタミン類やβカロテンは、美肌効果、目にも良いとされていますが、

水に溶け出しやすいという性質を持っているので、

生で食べることで、貴重な栄養を損なわずに、栄養を丸ごといただけます。

 

ニンジンは糖質が多い?

 

ニンジンは、100gあたり約39kcal、糖質は6.5g含まれます。

ちなみに、

  • 大根……カロリー18kcal、糖質2.7g
  • かぶ……カロリー20kcal、糖質3.1g

なので、根菜類の中でも比較的ニンジンはカロリーと糖質量が高い野菜ではありますが、

カロリー的にも糖質的にも、ニンジンを毎日1~2本食べたところで、まったく食べ過ぎにはなりません。

 

ニンジンはがん予防効果にも期待!

 

ニンジンは、アメリカの研究では、がんの予防にもいいと報告されています。

 

1990年アメリカ国立がん研究所が発表した「デザイナーフーズ計画」では、

膨大な調査からがん予防に効果が期待できる約40種類の食品を、

効果が期待できる順にピラミッド型に並べた「デザイナーフーズ・ピラミッド」を提示しました。

 

「デザイナーフーズ・ピラミッド」は、ニンニクを頂点にして、ニンジン・キャベツ・セロリと続いており、

ニンジンは毎日食べたい野菜の一つです。

 

生人参がビタミンCを「破壊」するは、嘘だった!

 

ニンジンを生で食べる懸念として、

生人参はビタミンを破壊するから生で食べない方がいい?

というウワサが近年まで信じられていました。

 

これは詳しく言うと、

人参に含まれる「アスコルビナーゼ」という酵素が、ビタミンCを破壊してしまうから

という話でしたが、実際は「嘘」、そうでないことが判明しています。

 

酸化酵素「アスコルビナーゼ」とは?

 

ビタミンC(化学名:アスコルビン酸)は、数ある食材の中でも、

野菜・果物・芋などに多く含まれているのはご存知だと思います。

 

一方で、逆にビタミンCを破壊するとされる

「アスコルビナーゼ」(=アスコルビン酸酸化酵素)

と呼ばれる酵素を含んだ食材がありますが、漢字名の通り、

ビタミンC(アスコルビン酸)を「酸化」させる酵素であって、「破壊」する酵素ではありません。

 

ちなみにアスコルビナーゼは、ニンジンだけでなく、きゅうり、きゃべつ、かぼちゃ、りんご、バナナにも含まれています。

 

 「酸化」と「壊す」は全然ちがう!

 

ニンジンの酸化酵素「アスコルビナーゼ」の働きによって、

ビタミンCは体内で「破壊」されるのではなく「酸化」するという現象。

 

「酸化」というと、体をサビつかせる悪いイメージがありますが、実際はどんな働きをするんでしょう。

 

じつはニンジンの含まれるビタミンCは「還元型ビタミンC」といって、

「アスコルビナーゼ」によって酸化されたビタミンCは、

体内で状況に応じてすぐに再還元される働きがあることが分かっているのです。

 

つまり、酸化してもしていなくてもビタミンCはビタミンC。総量が変わらなければ結局は同じこと。

 

以前は、この「還元型ビタミンC」は、酸化ビタミンCとはカラダへの吸収が違うとして区別していましたが、

現在は、

《還元型ビタミンCと酸化型ビタミンCのビタミンC効力は、人体内では同等》

と定義されています。

 

その証拠に文部科学省による「四訂食品成分表」には、

ビタミンCは、還元型と酸化型を合わせた総量=総ビタミンCをビタミンC量として示しています。

 

生人参はビタミンを破壊するから生で食べない方がいい?

というウワサが出たのは、

酵素は熱に弱いため、生のニンジンを食べるとビタミンCの量が減少してしまうという懸念があったためですが、

実際は、生食でも加熱してもビタミン量は変わらないということですね。

 

ニンジンのを生で食べる時の注意点は「酸」と「熱」

 

人参の代名詞とも言える栄養素「βカロテン」は、加熱に強く油との相性が良い性質があり、

油で炒めたり茹でたりして加熱する方が、栄養的にはより効果的に摂取できます。

 

ニンジンの酸化酵素「アスコルビナーゼ」は「酸」と「熱」に弱い性質を持っていて

生食やサラダで食べるときは、他の野菜がもつビタミンCを損なわないよう、

ドレッシングには「酸」の役割があるお酢やレモン、そして油(オリーブオイルなど)と一緒に食べるのがおすすめです。

 

人参は生だと消化に良くない、でも下痢にいい?

 

「人参のすりおろしたものは、下痢を止めたい時にいい」とも言われますが、これは本当。

 

生のまますりおろしすれば、人参の食物酵素が活性化するので野菜ジュースやスムージーなどもにもバッチリ!

 

反対に、野菜スティックのような生食だと、逆に消化不良で下痢になってしまうので要注意。

 

もちろん適量であれば、だいたいの人は平気ですが、もともと消化器官があまり強くない人や

風邪をひいていて免疫力が下がっている人は、人参の生食は避けた方がいいでかもしれません。

 

生ニンジンがビタミンCを破壊して害毒に?酵素とアスコルビナーゼの正体まとめ

 

にんじんに含まれる酵素「アスコルビナーゼ」に、害毒は全くありません。

ニンジンの酵素は

  • ビタミンCを「壊す」のではなく「酸化」させるということ
  • 「酸化」といっても還元型なので体のなかで戻る性質であること
  • 「酸」や「熱」を加えることで、普段どおり美味しく食べていれば問題ないこと

がわかりました。

毎日モリモリニンジンを食べて元気に過ごしましょう!

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