ホタルモドキ(ホソホタルモドキ)とゲンジボタルの違い
夏に活動する黒くて小さい昆虫で、姿形がよく似ている「ホタル」と「ホタルモドキ」。
同じ系列の生き物かと思いきや、分類上は、
日本固有種のゲンジボタル(源氏蛍)は、ホタル科に分類され、
ホタルモドキ(擬蛍)は、ホタルモドキ科に分類される種類の総称で、
分類上は別の生き物、似て非なるもの同士です。
どちらも、
- 成虫は年一度、6月ごろに活動
- 成虫のエサは主に水のみ
- 自然の多い場所に生息している
などの共通点はありますが、2つは別種類の科目に属する虫で、大きさも生態も全く異なります。
何よりも、ゲンジボタルは、幼虫から成虫まで発光しますが、ホタルモドキの仲間は光りません。
とくにホタルモドキは、〇〇モドキのつく分類群としても、
たとえば、カミキリムシ科に対する「カミキリモドキ科」、
ジョウカイボン科に対する「ジョウカイモドキ科」などに比べても、
マイナーで希少な分類群。
ちなみに、ホタルモドキ科の中でも、コチラの
「ホソホタルモドキ(細擬蛍)」
が、国内では最も代表的な種なのだとか。
一般的に、ホソホタルモドキは、
クロハナボタル・ベニボタル・ベニコメツキ
などの昆虫に姿形が似ていると言われ、混同されがちですが、
前胸部の丸みが強く、前方に向かってすぼまっているのが異なる特徴で、
体長は5mm未満と小さめ、自然の山地のノリウツギの花などに集まり、
北海道~九州まで比較的広く日本全国に生息しています。
これホソホタルモドキかな? pic.twitter.com/3pkeDWqGXX
— 矢矧 (@Rizelia214hGyRy) August 5, 2021
日本のホタル=ゲンジボタル(源氏蛍)!
ゲンジボタル(源氏蛍)
○学名 Luciola cruciata
○分類 コウチュウ目(鞘翅目)ホタル科
○分布:本州から九州・対馬
○全長:12~18mm
○時期:5月~
日本のホタルといえば「源氏蛍」というほど、一番有名で分布が広い、大型のホタルです。
体色は黒色ですが、前胸部の左右がピンク色で、中央に十字架の黒い模様があり、
学名cruciata(クルキアタ・ラテン語で”十字軍”の意)はここに由来します。
ゲンジボタルの成虫の体長は15mm前後で、日本産ホタル類の中では大型の種類。
ゲンジボタルは、幼虫から成虫まで発光します。
幼虫は清流に住み、カワニナなどの貝を食べます。
〇〇モドキ(擬)、〇〇ダマシ(偽)の虫たち!
じつは、昆虫たち(コウチュウ目に属する虫)には、
○○モドキ科、○○ダマシ科という科があり、
「〇〇モドキ(擬)」や「△△ダマシ(偽)」という名前を持つ虫たちはたくさんいます。
モドキやダマシは「似て非なるもの」という意味で、
いわば、”パクリ”とか”ニセモノ”的な意味合い。
一例をあげると…
・ゴミムシダマシはゴミムシに、
・コメツキモドキはコメツキムシに、
・テントウムシダマシはテントウムシに、
・ハムシダマシはハムシに、
・カミキリモドキはカミキリムシに、
・カマキリモドキはカマキリに、
・ホタルモドキは、ホタルに…etc
と、まだまだ種類はありますが、それぞれ似ていることを意味します。
つまり、名前にモドキやダマシとつく虫には、
「もともと姿がよく似た虫=オリジナル」がいることから名づけられているんですね。
日本に生息するホタルモドキの種類
ホタルモドキ科に属する種類で、国内に生息していると報告があるのは下記の種類があります。
- ホソホタルモドキ
- ムネアカホソホタルモドキ
- オキナワアカミナミボタル(ウスアカホタルモドキ)
- ツノブトホタルモドキ
- チビホタルモドキ
いずれも体長は5mm程度の小さな虫で、夏を中心に活動します。
まとめ
ホタルとホタルモドキは、分類上は別の生き物、似て非なるもの同士。
例として、ゲンジボタルは、幼虫から成虫まで発光しますが、ホタルモドキの仲間は光りません。
ちなみに、日本に生息している代表種で
- ゲンジボタル(源氏蛍)
- ヘイケボタル(平家蛍)
- ヒメボタル(姫蛍)
などのホタルは”光るホタル”として有名ですが、
ホタル全体として、発光するのはせいぜい10種類程度と言われています。
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