初夏の風物詩ホタル。
毎年5~6月にふ化し、初夏に成虫となった寿命は、たった1~2週間と言われ、非常に短命です。
“ホタル前線“と言われるように、各地方で見頃時期などはバラつきがあり、
繊細で寿命が短いホタルは、天候の少しの雨や気温差でも出現するかどうか変わってきます。
気が付いたら今年もホタル鑑賞時期が過ぎていた!
ということが無いように、ホタル観賞についての
- 見頃時期や季節
- 時間帯や天候
- ホタルの種類
の豆知識をお伝えします。
蛍(ホタル)の寿命が短い理由
日本に生息する蛍は約40種といわれ、中でも有名なのが
- ゲンジボタル(源氏蛍)
- ヘイケボタル(平家蛍)
- ヒメボタル(姫蛍)
の3種類。
蛍の成虫になってからの寿命は、どの種類も一般的に
1週間~長くて2週間ほど
と言われ、とても短い命です。
なぜそれほどまでに短いと言われているのか、理由をいくつか探ってみましょう
理由1)実は長寿!?産卵~成虫まで一生は1年間
ホタルの寿命が短いと言われる理由は、
成虫になってからの期間だけを言っていることが多いためです!
実は、ホタルは成虫になるまでに水中で約1年を過ごし、
成虫になってから約2週間の間に子孫を残すための繁殖活動をおこないます。
それが私達が目にするホタルの光というわけですね。
<蛍の一生はちょうど1年サイクル>
▼成虫(6月)約2週間
▼産卵(6月)
▼ふ化(7月) 約1ヶ月
▼幼虫(8月~翌4月) 約9ヶ月間は水中生活
▼さなぎ(翌5月) 約1か月間は地中生活
ホタルは、卵から成虫になるまでにちょうど約1年かかります。
成虫になってからの寿命は約2週間ですが、
産卵からふ化して幼虫になり蛹(さなぎ)になるまで、生涯のほとんどは水中か地中で生活しています。
▼日本に生息する三大種はこちら▼
理由2)成虫の餌は水だけ
ホタルの寿命が短いと言われる2つ目の理由は、ホタルは成虫になると水分補給しかしない(できない)からです。
ホタルは、幼虫のころに巻き貝・カニワナ・タニシなどの土壌動物を食べて成長しますが、
成虫は幼虫時代に蓄えた栄養素を使って活動していると考えられており、
体内に蓄えた栄養分が尽きれば死んでしまいます。
ホタルの成虫は、水だけを餌としますが、餌といっても、葉っぱに残った水滴から水を飲んだり、
湿度の高いところで蒸発される水分をとり込むくらいしかできないのだとか。
これは、口が退化してしまったことが理由と考えられています。
これは口が退化してしまったことで、水分摂取以上の行動がとれないためです。
理由3)キレイな環境でしか生きられない生態
ホタルの寿命が短いと言われる理由3つ目は、
ホタルは自然豊かなキレイな水辺でしか生息できないからです。
一定の湿度があり暖かい気候を好み、川、水路などの水辺でホタルは主に生息していますが、
特に自然豊かな地域を好むため、水や川が汚染されてしまうと、
ホタルそのものが住み着かなくなってしまうこともあります。
また、クモなどの天敵に捕食されたり、川が汚れたり、天候が荒れたりすることで、
短い寿命がさらに短くなってしまいます。
理由4)発光は短い寿命を助ける大事な役割?
ホタルといえば、お尻を発光させて飛び回るのが特徴的。
光る理由は、他のホタルとコミュニケーションをとったり、交尾を行って卵を残したり、
外敵に対して威嚇や警戒を行うという説も。
夜行性のホタルは、短い2週間という寿命で確実に次の世代を残すため、
ほかの昆虫にはない「発光」が、大きな役割を持っているとも考えられています。
ホタル鑑賞は天候条件も大事!雨でも出現するの?
蛍を観に行くことはなかなか難しく、
NHK「ホタル前線北上の旅」を視聴
気になっている動物写真家、小原玲氏の撮影旅行から
源氏蛍/平家蛍
姫蛍 /上:姫蛍 下:源氏蛍 pic.twitter.com/OwDy7O7qUU— Yukiko Maruyama (@mizuhanome) August 30, 2017
ホタルは一定の湿度がある暖かい地域に生息していて、水のキレイな川辺や田んぼ近くで見ることができます。
しかし川が汚れたり、天候が荒れたり、他の天敵に捕食されたりすることで、
寿命がさらに短くなることも少なくありません。
繊細で飼育が難しいホタルは、自然豊かな地域を好むため、
環境汚染が進むと、ホタルそのものが住み着かなくなってしまうこともあります。
ホタル鑑賞のベストタイミングは時間帯も大事ですが、
多く出現する条件には、天気や気温にも大きく左右されます。
・曇りで月明かりがない(満月の夜は避ける)
・風がない
・気温20度以上の蒸し暑く生暖かい
・川や田んぼの水面付近
これらが、最高の条件となるため、
雨がザーザー降っていたり、風の強く冷え込む日などはあまり飛びません。
ホタルが雨の日に飛ばない理由
実は光って飛んでいるホタルはオスのホタル。
光を放つことで、葉の上で小さな光を放ちながら待つメスに、プロポーズをしているのです。
ですから、光が目立たず飛びにくい日はプロポーズもお休みします。
ホタル観賞の地域ごとの見頃時期
毎年のように各都道府県で「ホタルが鑑賞イベント」が行われます。
桜前線と同じく、見頃の時期は南の温かい地域からどんどん北上していきます。
引用:ウェザーニュース
▼5月下旬〜6月中旬 西~東日本
▼6月以降 関東北部以北
▼6月下旬〜7月 東北北部~北海道
平均的には、5月の後半から梅雨に入った6月下旬まで辺りが、全国的にホタル鑑賞のピークを迎えます。
毎年の出現傾向
毎年の傾向などを参考にすると、主要地域でのホタル鑑賞見頃時期はこのような予想となります。
地域 | 見頃の目安時期 |
沖縄 | 4月1週目~2週目 |
九州地方/福岡 | 5月3週目~4週目 |
四国地方/香川 | 5月4週目~6月1週目 |
中国地方/広島 | 5月4週目頃 |
関西(近畿)地方/大阪 | 5月4週目~6月1週目 |
中部地方/愛知 | 5月4週目~6月1週目 |
関東地方/東京 | 6月2週目~6月3週目 |
東北地方/宮城 | 6月3週目~4週目 |
北海道 | 7月2週目~7月3週目 |
ホタル観賞の出現ピークの時間帯はいつ?
ホタル観賞の楽しみは、夜に光を放ちながら一斉に乱舞する様子ですね。
しかし、ホタルたちはずっと活発に動き回っているわけではなく、
光を発さずに草の葉や樹木などにとまって休んでいる時間帯もあります。
ホタルの種類にもよりますが、
・1回目 19時~21時
・2回目 22時前後
・3回目 午前2時前後
の時間帯が活発に飛び交い、
20時から21時頃がもっともピーク
とされているので、この時間帯を狙っていけば、ホタルたちの乱舞をみられる可能性がより高くなります。
詳しくはこちら
ホタルの生息場所とエサは何?
ホタルは基本的に、キレイで流れがゆるやかな水場でしか生きられない昆虫。
水温は15~20度ほどで、エサになるカワニナが棲み、アルカリ性・有機毒物が少なく、質の良い自然の水であることも大切な条件です。
ホタル観賞のマナー
ホタルをありのままの姿で元気に飛び回る美しい姿を見るためには、
時期・気候や天気・時間帯の条件に加え、鑑賞時のマナーもとても大切になります。
・懐中電灯やフラッシュで強い光を出さない
・キレイだからと捕まえて持ち帰らない
・絶対に川や田んぼにゴミやタバコなどを捨てない
強い光を出すと、ホタルは驚いて草の中にかくれてしまいます。
一生懸命貴重な短い命を使って、自然に飛び回るホタルを楽しみましょう。
蛍(ホタル)の寿命が短い理由4つ!出やすい天候条件まとめ
蛍は成虫の期間は1~2週間ほどと短命ですが、一生は1年サイクル。
たくさんのホタルが光りながら、一斉に乱舞する姿は本当にキレイでロマンチックです。
しかし、それを鑑賞するためには様々な条件が重ならないとみることはできません。
観光スポットごとの詳細な見頃ピークを確認することはもちろん、事前に天気予報のチェックは必須ですね。
もちろん、マナーを守って美しいホタル観賞を楽しみましょう!