ビワの種には毒があるから食べちゃダメ!というニュースがたびたび報道されます。
なんでも、ビワの種には
「アミグダリン」
という天然の有害成分があって、
ビワだけでなくアンズ(杏)、ウメ(梅)、モモ(桃)、スモモ、アーモンド など、
「バラ科の未熟果実の種子に多く含まれる成分」
ということではありませんか。
え?ということは、私の大好きな
・お酒のおつまみ・アーモンド
・杏(あんず)の種の粉でつくる杏仁豆腐
・梅干しの種の中身の酸っぱい部分
も危険ってこと?!
そ、そんなバカな!
いったい、ビワの種の何が問題だったのでしょう。
びわ(枇杷)は怖くない!問題は種子
ビワは毎年3月頃から出回り始め、6月頃までが一番美味しい時期。
農林水産省が注意を呼び掛けているのは、ビワの果肉ではなく、種子の部分。
私自身、今までビワのタネは食用としては馴染みが無かったのですが、
「がん抑制に効果がある!」
というキャッチフレーズで
- 果実酒
- 杏仁豆腐の香りづけ
- 酢漬け
- 粉末
など、さまざま利用法がレシピサイトで紹介され、
特に手軽な『粉末タイプ』の商品は、今でも隠れた人気食材として、現在も通販で売られています。
びわ(枇杷)の種子・農林水産省が注意を促した経緯
農林水産省が、もっとも問題視しているのは、
“ビワの種を粉末にした健康食品“。
実際にこれらの食品から、有害物質が検出され、商品回収される事例が、過去に数件起きてしまったからです。
農林水産省の見解や説明
ビワ、アンズ、ウメ、モモ、スモモ、サクランボ、アーモンドなどのバラ科植物の種子や、未熟な果実の種子=仁<じん>部分には、
・アミグダリン
・プルナシン
という
青酸を含む天然の有害物質(総称して“シアン化合物“)が多く含まれています。
一方で、熟した果肉に含まれるシアン化合物はごくわずかですので、
通常、果実を食べることによる健康影響は無視できます。
ビワや杏子、梅などの種は、別名
「仁<じん>」
といって、
古くから生薬としても重宝されてきた歴史があります。
農林水産省の説明によれば、ビワ毒について、問題は“未熟な果実の種“の部分であって、
“熟した実“を食べるには、今まで通り問題はありません。
びわ(枇杷)の種「アミグダリン」効果に科学的根拠なし!
ビワの種に多く含まれる有害物質「アミグダリン」。
インターネット販売を中心に、
「体にいい!がんに効く」
とのうたい文句で、もともと科学的根拠がないまま、販売されていたことが問題でした。
なぜガンと関連してしまったの?経緯は
アメリカ国立衛生研究所のサイトの説明を参考にすると、
“アミグダリンに抗がん作用がある“というのは、
実は長年世界的にも議論がされてきたのだそうです。
最初にアメリカの生物科学者が、
『アミグダリンはガン増殖を抑制するかもしれない説』
を唱えたことから、
一時期はアメリカやメキシコを中心に、実際がん治療に使われていた時期もあったようです。
アメリカでは販売禁止されている有害成分
一時期は、脚光を浴びた「アミグダリン」。
アミグダリン(amygdalin) は、科学的には「青酸配糖体」といわれるものですが、成分自体に毒性はありません。
しかし、人間の体の中で分解されるときに、
毒性の高い「青酸」が発生してしまうのだそうです。
現在は、
「アミグダリンは青酸中毒を起こすからむしろ危険である」
として
米国の厚生労働省にあたるFDA(米国食品医薬品局)では販売を禁止しています。
[青酸]の大量摂取で起こる中毒症状
青酸を一度に大量にとると、頭痛・めまい・嘔吐などの中毒症状を起こし、最悪は呼吸困難で死に至ることもあります。
実際海外では、アミグダリンを含む生のアンズの種子を体に良いとして大量に食べたことで
健康被害や死亡例が複数報告されています。
にもかかわらず、いまだにインターネット上では、
『がん細胞を攻撃、生活習慣病改善』
とうたわれて、枇杷の粉末が販売されているのが現状なのです。
▼ビワの種子については、日本医師会も注意喚起をしています!
ビワの種子を使用した健康茶等に、「がんに効果がある」成分は含まれていません! | 注意喚起 File.2 https://t.co/Lo6kT09ErF
— Life Is Beautiful (@LifeIsB79799907) August 1, 2020
びわ(枇杷)の種の仲間・梅干しや杏の種は大丈夫?
ビワと同じ「バラ科植物の種子」は、
ウメ(梅干し)・アンズ(杏)・アーモンドなど、私たちの生活に馴染みの深い食材も含まれています。
これらの種は大丈夫なのでしょうか。
梅干しの種
ウメといえばもちろん「梅干し」。
未熟な青梅を塩に長期間漬けて作ります。
青梅は、熟していないのでシアン化合物が高濃度に含まれていることが知られています。
ですからそのままでは食べるのには適していません。
しかし、梅干しや梅酒、梅漬けに加工をすることで、シアン化合物が分解し、大幅に減少することが知られています。
農林水産省-ビワの種子の粉末は食べないようにしましょう-より一部抜粋
たまに梅干しの種をワシワシ食べることもある私。
梅干しの種については、そこまで心配する必要はなさそうですが、
そもそも梅干しは塩分が多いので、一日1.2個が適量とされています。
アンズ(杏)やモモ(桃)の種
種子部分(仁)は、生薬としても大変有名です。
杏の種を使った代表的なデザートといえば杏仁豆腐♪
アンズやモモの種(=仁<じん>)は、古くから生薬の材料
- 杏仁<キョウニン>
- 桃仁<トウニン>
と言われ、
アミグダリンを薬効成分として、経口で去痰・鎮咳などの用途に、正常な皮膚に塗布すると局所麻酔、かゆみを止めるなどの作用があります 。
青酸はごく少量であれば、毒性が弱く排泄されやすい形に変換されます。
“毒も少量を上手に用いれば薬に転じる“
とはこのこと。
中華料理で最後に『一口デザート』として出てくる杏仁豆腐。
もっとたくさん食べたい!と欲張るのはNGのようですね。
もちろん薬効成分として使う時は、必ず専門家の監督の下で行う必要がありますので、
自己判断では使用しないようにしましょう。
アーモンド(巴旦杏・ハタンキョウ)
アーモンドの種子を粉にしてつくられるアーモンドパウダーは、巴旦杏(ハタンキョウ)とも言われます。
飲み物やお菓子の香りづけに、もちろんおつまみでそのまま食べることも多いですよね。
アーモンドには甘味種と苦味種の二種類があり、食用である甘味種はアミグダリンを含みません。
スーパーのお菓子コーナーで売られているアーモンドパウダーについては、
食用として適切に加工されたもの。
食べ過ぎない限りは心配なさそうです。
種子を使った料理は食べ過ぎ注意
現在、ビワの種については、
・ビワの種子を使った杏仁豆腐
・ビワの種子の煮物
などのアレンジレシピも、ネット上ではたくさん散見されます。
農林水産省では、具体的な致死量などの情報は公開していないようですが、
現時点では、ビワの種子を使った料理を食べたことによる健康被害の報告はありません。
しかし、原料であるビワの種子には、高濃度のシアン化合物が含まれている事は明らかです。
ビワの種子に限らず、ウメ、モモ、スモモ、アンズなどの種子も同様、食べる場合は注意してください。
と注意喚起されていますので、
やはり大量に食べることは避けましょう!
枇杷(びわ)の種は食べると毒!?梅干しや杏子の種の場合は?まとめ
植物の種子には、動物などの外敵から身を守るため、また子孫繁栄のために
有毒成分が含まれているものは他にもあります。
今回のビワ、アンズ(杏)、ウメ(梅)、モモ(桃)、スモモ、サクランボ、アーモンドなどの
『バラ科植物の種子』は、
・梅干しの種はそもそも塩分過多になるので1.2個までなら問題なし
・アーモンドの食用にはもともと有毒成分は含まれてない
・ビワの種の粉末加工商品は効能に科学的根拠なし
これらを守れば安心です。
何事も、適量を守って食べましょう!
【参考にさせていただいた情報元】
ビワの種子を使用した健康茶について注意喚起|日本医師会
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