ノビル(野蒜)は、代表的な春の山菜の一つで、寒さや暑さに強くたくましい雑草です。
ラッキョウ、ネギ、ニラ、ニンニクなどのネギ属の野菜の仲間で、
独特のツンとする香りが食欲をそそります。
全国に雑草としても自生するノビルは、花にムカゴをつけて繁殖し、葉と地下の球根は食用になります。
ただ、見た目が水仙などの有毒植物で似ているため、間違えて食べては大変!
- ニオイ
- 形(球根、葉)
- 花とムカゴの有無
など、特徴や見分け方を紹介します。
ノビル(野蒜)とは
和名 | ノビル(野蒜、山蒜) |
属性 | ヒガンバナ科のネギ属 |
俗称 | だまびろ,たまひろ,たまひる,ひろ,ぬびる,ねんびろ,ねんぶり,ののひろ,のびろ |
収穫時期 | 3月~5月 |
開花時期 | 6月~8月 |
日本では北海道から沖縄まで、広く自生している雑草のノビル。
ノビル花地元(庄内地方)では「だまびろ」の名前で親しまれています。
葉をちぎると葱やニラのような良い香りがします。
葉っぱと球根は食用になり、生でも食べられるほか、
葉ごと茹でて和え物や味噌和え、天ぷらや醤油漬けなどでいただくと美味しいです。
ノビル(野蒜)の特徴と見分け方
日本全国に自生する雑草のノビル。
ノビルらしい雑草を見かけたら、
まずは匂いや形の特徴がわかれば、簡単に見分けることが出来ます。
ニオイ
ノビルの葉っぱは、例えると
“ニラとねぎを足して2で割ったような香り“
と表現されます。
球根部分を土から引っこ抜かなくても、
まずは葉っぱをちぎって香りを確認するだけなので、カンタンですね。
形(球根、葉っぱ)
鱗茎(りんけい)という根元の球根に当たる部分は、
タマネギのような白い球状になっていて、これを食用とします。
鱗茎部分は自生しているものだと大きくても直径2cmほどで、
茎から葉にかけてシマシマがあり、シマの線は少し赤っぽい色をしています。
ちなみに、葉の形は一見ネギに似ていますが、
断面は、ネギのように筒状の円形ではなく、
真ん中にしっかりとした窪みがあり、断面がV字型で見た目はニラに似ています。
花とムカゴ
野草は、ノビルによく似た有毒の植物も多くあるため、慣れるまでは苗を直接購入して、
プランターに植えて姿かたちとニオイ、形、発芽から開花、ムカゴができる一年の移り変わりを確認してください。
ノビルは、慣れればすぐ見分けがつきますが、水仙などの有毒植物とよく似ているため、
「ノビルと間違えて食べてしまった」
という食中毒例も多く注意が必要です。
怪しいと思ったら、まず紫色の花や珠芽(ムカゴ)の出現を待ってみるのが確実です。
花期は初夏から夏(5-6月)ころで咲き、
中央に濃紫色の筋が1本ある、小さな白い花を咲かせます。
開花後、6月終わりになると、花になるはずだった細胞が変化して、
小さな球根のような珠芽(ムカゴ)が、ポロポロ落ちて繁殖します。
▼ノビルはムカゴも食べられる!おすすめレシピはこちら
ノビル(野蒜)はどこで採れる?
ノビルは、春の代表的な山菜の一つで、
日本では北海道から沖縄までの山野、土手、道ばたなど、
丈の低い草が生えているところによく自生しています。
美味しいノビルですが、たまに地元の直売所や露店販売で見かけることはあっても、
スーパーでの販売は筆者は見かけたことが無いので、
一般的にはあまり流通していないようですね。
耐寒性多年草のため、日向(プランター栽培でも可)で育てておくと、ちょっとしたときにすぐ収穫でき便利です。
ノビル(野蒜)と似た毒草に注意!見分け方と比較画像
先ほどお話ししたノビルの
- ニオイ
- 形(球根、葉)
- 花とムカゴの有無
の特徴を抑えておけば、まず間違うことはありませんが、
よく似た雑草も多く、中には毒性の強い雑草とよくているため、注意が必要です。
スイセン(水仙)
毎年、
「ノビルやニラと間違えて食べてしまったんです…」
といって、食中毒例が多い水仙。
厚生労働省の指導によると、スイセンは全草が有毒で、
特に球根に毒成分が多く、致死量はマウスで10.7g/kg。
海外では死亡例も報告されていて、
食べて30分以内で吐き気や下痢、発汗、頭痛などを引き起こします。※1
確かに、パッ見の緑の葉っぱの平たい部分が似ています。
ですが、
スイセンの葉っぱは、ツンとする匂いがないため、
まずニオイを嗅いでみれば、食用のノビルやニラとは見分けがつきます。
花の形も、水仙の花は大きめの丸みのある黄や白色が多いのに対して、
ニラやノビルは小さな花で、中央に赤紫色の筋があります。
ハタケニラ(畑韮)
ハタケニラ(畑韮)も、日本全国に自生し、荒地や農地、舗装路の裂け目などで発生し、
農家の人にとっては、強害草として忌み嫌われている雑草です。
ハタケニラは、名前に「ニラ(韮)」とありますが、ニラとは別種で、
一般的に食用ではなく、
「有毒」とも「食べられる」との情報もありません。
茎の丈や見た目も、ノビルとよく似ていますが、
根本の葉っぱの付き方に大きな違いがあります。
ハタケニラは、地面から出てすぐの茎に葉がありますが、ノビルは茎だけの単独です。
なので根元を見るのが見分けるポイントです。
たますだれ
葉が、ノビルやニラに似ている有毒のタマスダレ。
全草が有毒で、鱗茎に特に毒成分が多く、
花壇に植栽するなど園芸用に広く利用される身近な植物です。※2
2006年には、さいたま市の小学校でノビルと間違えて校庭で採取されたタマスダレを食べた児童が、
吐き気症状を訴えるなどの食中毒事例もありました。
ノビルのようにツンとする匂いはないのと、花が咲けば違いは一目瞭然ですが、
春から秋にかけて鱗茎から出る葉は、ノビルとよく似ています。
エシャロット
エシャロットの鱗茎は、細長いスプーン状なのですぐに見分けられます。
味や触感がノビルとよく似ていて、ノビルより少し甘い気がします。
どちらにしても、野生のエシャロットは見たことがないですし、
間違えたとしてもエシャロットは美味しく食べられるので問題ありませんね。
ノビル(野蒜)の美味しい食べ方!花の画像や似た毒草との見分け方まとめ
【参考文献】
(2021年6月8日時点)
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