場所を数える時に使う「かしょ」という言葉。
漢字変換すると
「箇所」「個所」「ヶ所」「ケ所」「ヵ所」「カ所」
などさまざまな表記がでてきます。
一体どの表記を使うのが正しいのか、文章を書く時に毎回迷ってしまうことありませんか?
同じに見えて、じつは細か~く意味の違いもあるので、
マメ知識として知っておくと、使い分ける時に役立ちますよ。
「箇所」「個所」の違いと使い分けと使用方法
箇所・個所・カ所・ヶ所…
「かしょ」の違いについて、ややこしく違いが書かれている記事は沢山ありますが、
私が一番分かりやすいと思ったのは、
もともとは”箇所”と”個所”の2つの違いだけ!
まずはこの2つを抑えればOK。
”ヶ所””カ所”の違いは後ほどお話しするとして、
まずはややこしさの元凶となっている
”箇所”と”個所”の違いを見てみましょう。
「箇所」と「個所」の意味に大差無し
「箇所」と「個所」。
結論からいうと、意味としては、この2つに違いはありません。
どんな辞書も、2つを同じ意味の言葉として載せているものが、ほとんどです。(100%ではありません)
「箇所」と「個所」の、主な意味は次の2つ
か しょ 【箇所・個所】
(意味1)【名詞】
限定された特定の部分・場所。
(例;「読めない-がある」)(意味2)【助数詞】
(「か所」「ケ所」とも書く)助数詞。『数を表す漢語』に付いて、特定の部分や場所を数えるのに用いる。
(例:「二、三-誤りがある」)引用:三省堂 大辞林 第三版 より
つまり、『数を表す漢語』の後ろにくっつく【助数詞】として使うなら、
- 1か所
- 1ケ所
- 1箇所
- 1個所
いずれもOK、正しいということですね。
「箇所」と「個所」の漢字の使い分け
先ほどお話ししたように「箇所」と「個所」はどちらも
- 【名詞】…ものごとの中の問題とされる場所を指す場合
- 【助数詞】…場所の数などを表すのに使う場合
の2つの意味がありました。
ただ、敢えて2つの違いを指摘するなら
- 「箇所」…常用漢字表に有る漢字
- 「個所」…常用漢字表に無い漢字
という使い分けがあります。
ですから、「箇所」の方が一般的に多く使われていて、公文書でも「箇所」が用いられています。
そもそも「個」本来の常用漢字表に記載されている読み方は「コ」のみ。
例としての使い方は「個人・個性・一個」などで、
「個」に「カ」という読み方はありません。
そのため、正式な公用文においては「箇所」が正しいということになります。
下記辞典の説明文でも、「箇所」の説明文に「個所」は出てこないようですね
箇所(かしょ)
場所や部分を言い表すときに用いる言葉。特定の部分を指すときに使用することが多く、例えば「分からない箇所がある」や「該当の箇所」などというように用いる。同じ読み方の「カ所」は、物や場所の数を数えるときに、数字をつけて助数詞として使用する。
実用日本語表現辞典 より
「箇」と「個」の漢字の意味の違い
「箇所」「個所」の2つに違いはない…と言っておきながら、
実は100%同じとは言い切れないのがまたややこしいところでした。
「箇」と「個」の漢字の意味の違いを、さらっと見ておきましょう。
「箇」の意味
- 物を数える語
- ある特定のモノや場所を表す語
- 「箇」は音読みで「カ」
「個」の意味
- 物を数える語
- 全体の中のひとつ
- 「個」は音読みで「コ」
たとえば、「個人」という使い方が一般的ですね。
多数の人の中にいる1人の人=個人、という概念です。
カ所・ヵ所・ケ所・ヶ所…って何?小文字と大文字の使い分けは?
「箇所」と「個所」の意味の違いや使い分けを押さえたところで、
お次は「カ所・ヵ所・ケ所・ヶ所」の違い。
使い方は【数助詞】のみ!
箇所・個所は、【名詞】【助数詞】の2つの意味がありましたが、
カ所・ヵ所・ケ所・ヶ所は、【助数詞】としての用法のみに限られるという点に違いがあります。
例文を挙げれば一目瞭然なのですが、例として
○「この辺には公園が三カ所ある」と【助数詞】として使われますが、
×「この英文のこのヶ所が分からない」などと【名詞】としては使いませんよね。
小文字「ヶ」や「ヵ」の由来とは?
1ヵ所、3ヶ月…数えるときだけしか使わなさそうな、小さい片仮名の「ヶ」と「ヵ」。
この子たち、いったいどこから来たんでしょうか?
その答えは、漢字の「箇」が発端。
もともと漢字で「一箇所」という表記をしていたところ、
この「箇」が略されて、
- 竹かんむりの「ヶ」が1つだけ取られたという説
- 「箇」の異体字の「个」を崩して「ヶ」になったという説
の2つが有力なようです。
「ヶ」は「ケ」の小文字じゃない!
つまるところ、「ヶ」は「ケ」の小文字ではなく、「箇」や「个」から派生した記号のようなもの。
そして、形が似ているということで、大きいほうの「ケ」が、「ヶ」の後から使われるようになったんだとか。
じゃぁ、小さい「ヵ」は何なの?
「ヶ」と「ケ」が登場した後、実際の「箇」の読み方の音である「カ」を反映させて
「〇カ所」という表記が出来上がりました。
最初に「箇」や「个」が略されて「ヶ」という記号に。
↓
「ヶ」があるなら大きい文字の「ケ」も使おう
↓
実際の読み方の音「カ」を反映させて「〇カ月」という表記が完成
↓
小さい「ヶ」もあるし、「カ」も小さくして「ヵ」も使お!
なので、つまるところ
- 1箇所
- 1個所
- 1カ所
- 1ヵ所
- 1ケ所
- 1ヶ所
いずれもOK、どれを使っても正解です。
…とはいいつつ、
「1ヶ所」と「5か月」が混在してしまっている文章は、かっこ悪いですよね。
重要なのは、同じ文章中で異なる複数の表記を使わないこと。
とくに、放送や出版などの業界では、社内で統一ルールを決めていることが多く、
ネットメディアなどでは、業界標準として使われることも多い『記者ハンドブック』(共同通信社)に合わせて
「〇カ所」
という大きい「カ」を使う表記が基本だそうですよ。
地名などの固有名詞はまた別問題
ただし!お気づきの人もいらっしゃるかもしれませんが、
地名などの固有名詞で使われる、小さい「ヶ」などは、また別問題。
たとえば、「自由が丘」や「霞が関」は平仮名に統一されていたり、
佐賀県の「吉野ヶ里」・静岡の「三ヶ日」などは小さい「ヶ」を使うように、
地名はその土地の文化や歴史的背景と密接に関わりますから、画一的に説明することは出来ません。
箇所・個所・カ所・ヶ所の「かしょ」の使い分けや意味の違いまとめ
「かしょ」の使い方や意味。
使い方によって書き方も微妙に変わってくるのですね。
●物や場所の数を数えるとき【助数詞】
1箇所
1個所
1ヵ所、2カ所…
1ヶ所、2ケ所…
全部使い方は正解!
.
●場所や特定部分を言い表すとき【名詞】
訂正箇所、危険箇所…
⇒「個所」も使えるが、厳密には箇所が正解
⇒「訂正ヵ所」「危険ケ所」などとは言わない!
日常的に使う場合は、そこまで「箇所」と「個所」の使い分けや
「ケ」や「カ」のカタカナの大きさは気にしなくていですが、
文章として公に打ち出す時には、統一したほうが良さそうです。