牛肉・豚肉・鶏肉よりはマイナーな存在だけど、食通グルメの人には特に好まれている「馬肉」。
馬肉を使った鍋料理の「さくら鍋」は、お取り寄せグルメでも大人気!
とくに熊本や信州(長野)の人にとっては
馬肉=さくら
という言い方が定番なんですって!
ところで、馬肉の別名
「さくら」「桜肉」
と言われる由来や歴史、あなたはご存知でしょうか?
ほかにも
猪肉を「ボタン」、鹿肉を「モミジ」など、花の名前の別名の由来などもお話しします!
馬肉を「さくら」「桜肉」とはなぜ?由来や語源説7つ
桜(さくら)・桜肉(さくらにく)とは、馬肉のこと。
馬肉=桜(さくら)
と言い、動物の肉を植物の名前に例えています。
馬肉が桜肉と呼ばれる由来は、諸説が沢山あるので紹介します
由来説1) 隠語説
諸説1つ目は、『隠語』の説。
300年以上前の江戸時代、獣肉を公に食べることができなかった時代に
お肉の名前=特定の仲間だけで通じるように『隠語』として使われていた
という歴史的背景に由来する説が、もっとも有力です。
江戸時代までは仏教思想や贅沢を控える風潮もあって、殺生や肉食が禁じられていました。
そのため、
と「隠語」で呼ばれるようになったと言われます。
いかにも、信ぴょう性がありそうな説です。
由来説2) 桜の季節が美味しいから
2つ目の説は、桜の季節に馬肉がおいしくなることに由来説。
干し草や穀類を食べて秋冬を越した馬は、桜が咲く春には脂が乗って美味しい時期と言われています。
ただ、牛、豚、猪、鹿など、他にも同じことが言えるので、この説は個人的には説得力が薄いように思います。
由来説3) 馬肉がさくら色
3つ目の説は、馬肉がキレイなサクラ色だから。
安っぽい居酒屋で見る馬肉は、黒ずんだ赤色をしていることもありますが、
本来の新鮮な馬肉は赤みがかかった綺麗な桜のような色をしています。
他のお肉より鉄分が多く含まれている馬肉は、空気に触れるとヘモグロビンが反応して鮮やかな桜色に変化。
また切り身を並べると桜の花の形を連想させるからとも言われます。
ただ、馬肉は時間と共にすぐに黒ずんでしまうため、どれほどの人が桜に見立てていたのかと考えると…
この説には少々無理があるかも?
由来説4) 地名の佐倉
4つ目の説は、地名に由来。
江戸幕府の牧場地が千葉県佐倉にあり、立派な馬を飼育していたことから、
「馬といえば佐倉(さくら)」が定着し、のちに「桜」という漢字が充てられた、という説。
由来説5) 牛肉偽装のさくら
5つ目は、偽装の「サクラ」説。
文明開化時代、牛肉の代用に安価な馬肉が”サクラ”として使われ呼ばれるようになったことがきっかけ。
ちなみに、本来の偽装客の「さくら」の由来は、江戸時代に歌舞伎を無料で見させてもらうかわりに、
芝居の見せ場で役者に掛声を掛けたりしてその場を盛り上げる役の人のことを『サクラ』といったのが始まりです。
うーん…これは、日本馬肉協会からクレームが来そうな話!?
由来説6) 坂本龍馬と高杉晋作の歌が発端
6つ目は、坂本龍馬の歌に由来説。
坂本龍馬が高杉晋作との酒宴で歌った
“咲いた桜になぜ駒つなぐ 駒が騒げば花が散る“
という一文の「駒」が「馬」変換され、桜と馬がセットになったことから桜肉と呼ばれるようになったとか。
やや難解。いくら偉人でも酔っ払いの鼻歌に、それほど影響力があるのかなぁ…
由来説7) 高村光太郎の詩から命名
最後は、昭和初期の小説が発端説。
昭和初期の詩人・高村光太郎の「夏の夜の食欲」の一説、
“浅草の洋食屋は (中略) ビフテキの皿に馬肉(ばにく)を盛る。泡の浮いた馬肉(さくら)の繊維…“
が発端だったのでは…と言われています。
詩にしてしまうほど、馬肉が大好物だった高村光太郎。
ちなみに嫁の智恵子は、馬刺しが有名な福島県二本松市の出身、夫婦で馬肉を楽しんでいたんでしょうか?
馬肉の有名産地
馬肉を「さくら」と言う由来は沢山ありましたが、
じっさいに馬肉は、一部の地方では400年以上も前から重要な蛋白源として重用されてきました。
熊本県や長野県、福島県などの郷土料理として供されることで知られている「馬刺し」のほか、
なんこ鍋などの鍋料理としても食べる地域があります。
熊本県では馬肉を使ったミンチカツなどもスーパーで売られています。
国内馬肉生産ランキング
都道府県 | 生産量(トン) | 畜頭数 |
熊 本 | 2,396.0 | 5,999 |
福 島 | 1,154.5 | 2,893 |
青 森 | 510.9 | 1,280 |
福 岡 | 461.7 | 1,157 |
山 梨 | 281.4 | 705 |
秋 田 | 136.0 | 341 |
長 野 | 115.3 | 289 |
山 形 | 95.0 | 238 |
高 知 | 57.9 | 145 |
北海道 | 54.3 | 136 |
情報元:wikipedia 国内馬肉生産(平成26年畜産物流通統計)
馬肉の料理
「桜肉」のほか、俗に「蹴飛ばし」という別名で呼ばれることもある馬肉。
全国各地で色んな料理にアレンジされています。
料理名 | 特徴 |
桜鍋 | みそ仕立てにしたりすき焼き風にした鍋 |
馬刺し | 生の馬肉を食べる料理 |
おたぐり | 長野県伊那地方の馬のもつ煮 |
なんこ鍋 | 北海道と東北の郷土料理(鍋料理) |
さいぼし | 馬肉を使用した日本のジャーキー |
馬焼肉 | 馬肉を鉄板で焼いて食べる料理 |
馬肉・桜鍋の由来や歴史!発祥はやっぱり熊本?
近世で馬肉・馬刺しが全国に広まったのは、
加藤清正
(かとうきよまさ:安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武将、大名。肥後熊本藩初代藩主)
がルーツという熊本県の俗説が有力です。
400年以上前の文禄・慶長の当時、豊臣秀吉との朝鮮出兵で加藤清正が大陸に渡った際、
自軍の食料が底をつき、絶体絶命の際に、加藤清正軍がやむを得ず軍馬を食したことがきっかけとなり、
無事に帰国後も加藤清正は軍馬の味が忘れられず、自ら好んで馬を食したんだとか。
江戸時代になると、馬肉・馬刺しは、「薬膳料理」としても提供され、
現在でも馬肉・馬刺しは栄養価の高い滋養強壮に適した食肉として確立しています。
馬肉はいつから食べられていた?
日本人の馬の付き合いは2000年も前の縄文時代にまでさかのぼります。
家畜としてモンゴル(蒙古)からもたらされたのが最初とされ、
675年に日本最初の天皇・天武天皇によって肉食禁止令「牛馬犬猿鶏の肉を食うことなかれ」が出された記録から、
肉食の歴史も古くからあるようです。
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馬肉の栄養
馬肉は、牛、豚、鶏より、低カロリー、低脂肪、低コレステロール、低飽和脂肪酸、高タンパク質で、
20種類のアミノ酸も豊富に含まれています。
ミネラルのうち、カルシウムは牛肉や豚肉の3倍、鉄分(ヘム鉄)はほうれん草・ひじきより多く、
豚肉の4倍・鶏肉の10倍をと言われています。
ビタミンB12は牛肉の6倍、ビタミンB1も牛肉の4倍、ビタミンAやビタミンEも多く、
牛肉の3倍以上のグリコーゲンを含有するなど、
どの栄養素をとっても他の畜肉と比較すると栄養価が高く、滋養強壮、薬膳料理としても重宝されています。
馬肉を「さくら・桜肉」とはなぜ?由来や語源と歴史&桜鍋の発祥地まとめ
低カロリーで高たんぱく、さらにミネラルとビタミンが豊富な馬肉。
馬肉を「さくら」「桜肉」と言われるようになったのは色々な説がありましたね!
どれも本当のような嘘っぽいような説ばかりでしたが、あなたはどの説が有力だと思いましたか?
筆者的には、
“馬肉の色が桜色で、桜の咲く時期が美味しいから…“という説が一番しっくりきましたが、
どの由来であっても、物語としては美しい話だと思いました!
お酒の席で馬刺しを囲みながら、うんちくを語り合えるのも、馬刺しの魅力の一つですね。
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