『一昨日』と漢字で書いて
- おととい
- おとつい
- いっさくじつ
と色んな読み方がありますよね。
いずれも
『2日前』
のことを意味しますが、何が違うのでしょう?
関西出身の筆者は
『一昨日』=おとつい
と言いますが、正しい日本語や、方言と標準語で何か違いがあるのでしょうか。
おととい・おとついの違いとは?どちらが正しい標準語?
漢字で『一昨日』。
つまり
『昨日の一日前』
ということで
「2日前」
という意味で使われる
- おととい
- おとつい
の言葉違いは、ズバリ
方言の違い
です。
おととい・おとついはどちらも正しい!
“方言の分布図“というものは、たくさん面白いものがありますね。
関東VS関西で有名な“方言バトル“といえば
- あほ VS ばか
- マクド VS マック
- じゃんけん VS じゃいけん
…などキリがないですが、多くは
日本の東西
で言い方が分かれる語が多い気がします。
『一昨日』も例外ではなく、ざっくりですが
で別れているようです。
「一昨日」の標準語は「おととい」
現在、主に関東地方では
「おととい」
が一般的に使われていることから、
「おととい」が標準語とされ、テレビ等でも「おととい」が使われています。
「一昨日」の語源や由来・他の方言は?
「おととい」が現在の標準語、「おとつい」派の皆さんは方言でした~!
…と終わりたいところでしたが、
実は調べたところ
「おととい」という言葉(標準語)は、「おとつい」が転じて出来た言葉
という事が分かりました!
つまり
もともとは、一昨日=「おとつい」が標準語だった
のです!
「おとつい」の意味
古くは奈良時代までさかのぼり、
『万葉集』には「おとつい」という言葉がすでに出てきます。
「おとつい(をとつひ)」の
おと(をと)には、
「遠」
という古語
「おち・をち(遠)」
に由来します。
つまり、
“遠つ日“=“おとつい“と読みます。
「遠」は、
“空間的に遠い“だけでなく、
“時間的に遠い“ことも表す語なので、
「遠く過ぎ去った日」という意味が含まれます。
そして平安時代以降に、
が普及するようになったそうです。
おととい・おとつい以外の方言
『一昨日』についてはちょっと面白い表記も見つけました。
おとついは「をとつひ(遠つ日)」が語源。
上方で「おとつひ」と言われていたものが平安時代に「おととい」に転化。
江戸時代初期には兄弟を意味する「おととい」が登場したため、
同音衝突を避けるために再び「おとつい」となった。
近畿、中国、四国、東海、東九州は[おとつい]
北陸、関東の太平洋側、西九州は[おととい]
奥羽の日本海側から北信濃にかけては[おとといな]
北琉球[うってぃー]
南琉球[ぶとぅとぅずぃ・ぶとぅてぃ]
などとも言う。
参考:全国大阪弁普及協会
沖縄方面の「うってぃー」とは、何だか可愛らしいキャラ名ようですね(笑)
「一昨日」の丁寧語
ちなみに、ビジネスなどで使う丁寧語はどうなっているのでしょうか。
標準語 | 丁寧語 |
おととい | いっさくじつ(一昨日) |
きょねん | さくねん(昨年) |
おととし | いっさくねん(一昨年) |
参考:三省堂ウェブディクショナリー
おとといの丁寧語は、いっさくじつ。
ちなみに、「一つ前の年」という意味の「昨年」は、
丁寧語で新聞やニュースなどで使用されます。
一方、「去年」は日常会話で使う表現です。
「2年前」という意味の丁寧語の「いっさくねん」は、
関西方面でも『おととし』としか言いませんね。
「一昨日」の英語と中国語
「一昨日」の英語と中国語で、表現を確認してみます。
英語の「一昨日」は “the day before yesterday“
→直訳すると“昨日の前日“
うん、英語の意味はしっくりきますね。
では、中国語はというと、
中国語の「一昨日」は “前天“(発音:チェンティェン)。
→直訳すると、前の日?ややこしい…
ちなみに、中国語の「昨日」は “昨天”(発音:ズオティェン)
そして、日本語では、「一昨日」のことを、
×「ぜんさくじつ」
×「きのうのまえのひ」
とは言わず
◎「いっさくじつ」
と読むところが、面白いところです。
おとといきやがれ!の語源
不快な相手を追い返すときの表現で、
“二度と来るな!“
という意味で使われる
- 一昨日来い(おとといこい)
- 一昨日来やがれ(おとといきやがれ)
があります。
これについては、
「おとついきやがれ!」
とは聞いたことがありませんよね。
これは、「おととい」を語源にして
があり、いつ頃なぜそのような表現が生まれたかは、はっきりしていないそうです。
参考:語源由来辞典
生まれ関西・ニセ東京人はどっち?
「おととい」「おとつい」、現在の標準語としては「おととい」。
ただ、もともと「おとつい」という言葉は「おととい」が転じて出来た言葉。
大阪生まれ育ち・東京在住15年の筆者はもちろん
ダンゼン「おとつい」派。
おとついは標準語だと思っていたので、東京に来たときは若干カルチャーショックがありました(笑)
だいたい
「おととい」の
「おとと…」って
カミそうになりませんか?
普段、何気なく使っていた言葉ですが、私はこれからも「おとつい」で生きていきます!
改めて、あなたはどっち派でしたでしょうか。